ドロノキ(その2):冬支度の早い樹

1-183.jpg2011.5.15
ドロノキはポプラの仲間(Populus属)で高さが20~30m、太さは1mになる樹です。南区の豊平川沿いや真駒内川のサイクリングロード沿いに大木があり、また、藤野など郊外の住宅地で、道路法面に大きくて目立つ樹があれば、最初にドロノキと考えてもいいほど、あちこちに生えてる樹です。
ドロノキは、材質が柔らかでさっぱり役に立たたず、「まるで泥みたいだ」ということからこの名前がついたそうですが、成長が早く大きくなる樹で、東区の「さとらんど」の駐車場に植えてあるのを見たことがあるぐらいで、公園樹としてはあまり利用されていません。そのため、ドロノキといういまいちの名前と樹形樹姿も他の樹に比べて見るところがないため、この樹に対するイメージは、大きくなりすぎる邪魔な樹程度で、あまりよい印象は持っていません。
しかし、これは人間側から見た目で、ドロノキには、他の樹木との生存競争で生き抜くための手段としてすばらしい能力を持っています。それが冬支度の早さです。
札幌では10~20年に1度ぐらいの割合で、10月に大雪に見舞われます。その時には、大きな樹が根返ったり、主枝主幹が雪の重みで折れたりします。被害を被るのはニセアカシアなどの外来種が多く、元々札幌の気候風土に馴染んでないでためです。しかし、平成22年10月26日に降った大雪は、シラカバなどの自生種も幹から折れる樹が多く見られ、在来種でも季節はずれの大雪の被害を受けるのです。
1-034 ドロノキ 早期落葉2011.9.10
ドロノキを観察していますと、8月お盆頃には樹冠下に葉がたくさん落ちている樹を見かけます。その葉は、部分的に黄色や黒色になっている葉や枯葉ように褐色になっている葉もあります。これらの葉はおそらく光合成などの働きが衰えた役目を終えた葉なのでしょう。そのような葉が夏のお盆頃から見られます。
1-077 ドロノキ2012.10.7
そして、10月上旬には、もう今にでも葉を落としてもいいように褐色に変色した樹を多く見かけます。風が吹けばひらひらと落ちそうです。雪でも降ろうものなら、その重みで直ぐに落ちそうです。冬支度の準備完了です。短い夏に効率よく成長して、思いがけない雪が降っても大丈夫なように、早めに樹体内に養分を戻し、落葉の準備を済ませる北国に適応した樹種のようです。
1-046 ドロノキ2012.9.8
お盆の頃から目立つ現象として、写真のように、樹冠の一部若しくは多くの部分で、葉が真っ白に見えることがあります。調べてみると、うどんこ病のようです。

にほんブログ村 写真ブログ 植物・花写真へ
にほんブログ村

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA