エゾムラサキツツジ  狂い咲き

2019.10.3
我家のご近所さんのエゾムラサキツツジ。 10月初旬に満開。 例年の春と同じくらいきれいに咲いています。 ただし、1個1個の花は小ぶりで、春に咲くものより小さめです。 モクレンの仲間やツツジ類など多くの樹木が夏場に狂い咲きをしますが、通常は2~3輪から数輪で、こんなに花数が多いのは珍しいです。これぐらい花数が多く咲くと狂い咲きとは言えなくなります。 2019.10.3
エゾムラサキツツジの花芽形成は、開花が4月下旬~5月中旬で札幌で開花する花木の中では最も早く咲く部類に属するので、花芽形成(来年花を咲かせるために今年花芽をつくること)もそれ相応に早く、8月には充実度は別にして、ほとんど完成しているのでしょうね。 だから、花は小さめでもこの時期にこんなに花を咲かせることができたのだと思います。
それでは、なぜ、こんなにきれいに狂い咲きしたのでしょうか?

以下の記述は日本植物生理学会「みんなの広場」で花芽の形成の仕組みと狂い咲きについての説明です。

サクラの花芽や葉芽は夏に分化し、秋-冬に向って越冬芽を形成し、成長が停止したまま休眠の状態に入ります。越冬芽は冬の低温で傷害を受けないように芽鱗で堅く守られています。この休眠を誘導するのは多分葉で作られるアブシシン酸(ABA)という植物ホルモンだと思われます。ABAは樹芽や種子の胚などの成長を抑制することが知られています。季節が夏から秋になって日照時間が短くなると、葉はこの変化を冬に向うシグナルとして受容し、葉でABAを多く作り、芽に輸送します。秋〜冬にかけて葉は落ちてしまいますが、気温が低いため芽の成長はありません。しかし、冬の低温を経験する間にABAは減少し、同時に成長を促す植物ホルモンであるジベレリンなどの量が増加して、生長の抑制条件が除去されます。つまり、休眠状態が解除されるのです。そして、春になって気温が上昇しはじめると、越冬芽は成長し始め、開花にいたります。いわゆる狂い咲きは、花芽が分化した後、葉が異常落葉したりしてABAの供給がなくなり、しかもその後高い気温が続いたりすると、休眠状態を経ないで成長し、開花してしまうものと考えられます。

上の記述から、今回のエゾムラサキの狂い咲きは、夏場に形成された花芽が日照時間が短くなる秋口を迎え植物ホルモン(アブシシン酸)により休眠期に入ろうとしていたのが、9月の異常高温(9月は平年に比べ暑かったことと、9月8日:31.3℃、9月9日:32.6℃の異常高温があった)が続いたことが原因で、植物ホルモン(アブシシン酸)の作用する量が少なったのか?、若しくは無かったのか、?それとも、高温の影響で生長を促す植物ホルモン、ジベレリンが作用することで、開花に至ったと考えられます。

<余談>
このエゾムラサキツツジ、今秋樹冠一杯に花を咲かせたので、来春咲くつぼみは残ってないと思うのですが、それでも 来春、花を咲かせることができるのでしょうか?
確認する必要があります。

 

 

 

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