洋ナシ(ブランディ) 追熟

幸水などの和ナシは収穫して直ぐに食べることができますが、洋ナシは収穫後ある一定期間追熟が必要です。 追熟の必要な野菜や果物は意外と多く、サツマイモは収穫後1ヵ月以上、カボチャも2週間~1ヵ月くらい必要です。 両者とも収穫時には果肉はでんぷん質なのですが、それが時間の経過とともに糖分に変化して甘味を増すのだそうです。
追熟が必要な果実には、バナナ、メロン、モモなどがあります。 しかし、それらは樹上で完熟するのですが、輸送中の傷みなどを考慮して熟する前の少し硬めの果実を収穫しているのです。 ところが、洋ナシは樹上では完熟しないのです。 あのジューシーで滑らか、とろっとした舌触りを味わうためには、追熟という工程を必携とします。

ところが、これがなかなか上手にいかなかったのです。
我家には植えて20年以上経つ洋ナシ(品種:ブランディ)があります。 毎年9月上旬〜中旬に30~40個収穫しています。 それをガレージに保管(追熟)しているのですが、10日程するとそれらの肌が黄色味を帯び始め、そろそろ食べごろのものが出始めるのです。 ところがちょうどその頃からナシの肌の一部に茶褐色の部分が出来てきて、包丁で割ると果実の中が黒味を帯びて痛み始めているのです。 食べられないのです。 あのまろやかでとろっとした食感の洋ナシは、収穫した果実、30~40個の内1個あるかなしかだったのです。 2013.9.14
そんなことを10年以上続けていたので、ここ2~3年、洋ナシは追熟が難しいのでそれを伐採しようと思い始めていました。 しかし、もったいないという気持ちもあり、何か良い方法がないかと悩んでいいました。 とりあえず、誰かに聞いてみようと思うのですが、誰に聞いていいのか分からない状態がしばらく続いていていました。 一番良いのは、安定的に洋ナシを出荷している生産者に聞くのが良いだろうということを思いつき、JA余市のサイトにメールをしてみました。 そうしたら、丁寧な回答を頂きました。 それが以下のものです。

お問合せありがとうございます。
ブランデーワインの件ですが、収穫が遅れると、追熟しない、内部褐変の発生が心配、早すぎると果実が小さい、糖度が低いなどの品質や収量に大きく影響します。
満開後日数や種子の着色などを確認しながら、適期に収穫をすることが大切です。
余市町では満開がだいたい5/15〜5/20くらいです。
収穫初めがだいたい満開から120日後となっており(9/15日頃)、果実の中の種を切って、黒く着色が始まり始めると収穫適期となってきますので、目安にしてみてください。
種を切って真っ黒になりすぎていると、収穫遅れとなりますので、追熟しない等の影響が出る可能性がありますので注意が必要です。

収穫後は速やかに予冷が重要で、収穫した果実は直後に呼吸量が急速に多くなり老化が始まりますので、野積みなどは避ける事が必要です。
速やかに冷蔵庫や冷暗所に保管し、熟度のそろいが良い環境で追熟させる事が大切です。
(冷蔵庫で1週間〜10日程予冷し、その後暑すぎない風通しの良い所(常温)で保管し1週間程度たてば食べ頃になるのではないかと思います。(個体差はあります。)

で、JA余市の方の説明通りやってみました。

2019.9.5
・9月5日(6個)、10日(12個)、18日(3個)の3回に分けて収穫。
・それぞれを収穫する前に、試し切りしてタネの色づき具合を確認。 2019.9.10
・タネの皮(表面)は黒くなっているが、その中は白く、収穫遅れではなかった。
・それらをビニール袋に入れて冷蔵庫にそれぞれ10日間ほど保管(予冷)。
・冷蔵庫での保管中に内部褐変しているものが、9月5日収穫で2個、9月10日収穫で4個。
・冷蔵庫から取り出して室内で保管(追熟)。
・1週間程すると果実の肌が黄色味を帯び、匂いを嗅ぐと洋ナシ特有の香りを放つものが出てくる。
・それらを順に食す。
・実際に食することができた数は12個(腐敗果が6個、お裾分け3個)で、その内8個がジューシーで甘みがあり、あのとろっとした食感(舌ざわり)の美味しい洋ナシ(ブランディワイン)。 予冷の重要性を実感。
・残りは少し硬めで舌にざらつく感じというか、要は美味しくない、用なし。

ということで、12個中8個が美味しいもので、その確率は7割近かったので 樹は伐採せずに栽培を続けることにしました。 JA余市さんには感謝です。

<蛇足>
収穫時に樹上には収穫できそうな洋ナシが35個くらいはあったのですが、実際に収穫できたのは20数個に止まりました。 その理由は、この時期になれば虫も来ないだろうと思って徐袋を8月25日に行ったのです(農薬をかけなかった)。 そうするとその後腐るものや落下するものが出てきました。 シンクイムシの幼虫に侵入されたり、スズメバチに食害されたりしたのです。


2019.9.18                  2015.9.15
褐変している中心部に小さな穴があり、         シンクイムシが果実を食害
そこから果汁が滲出   おそらく、シンクキの入った箇所

例年はこれほどでもないのですが、今夏は特に暑かったので、虫の活動も盛んで、それが影響したのでしょう。 来年からは徐袋せずに収穫し追熟しようと思っています。
その理由は2つ。 一つは、洋ナシは徐袋後の太陽に充てることによる甘味を増す効果より、追熟方法と追熟適期の確認の方が重要であること、もう一つは、徐袋後に樹上の果実にスズメバチが寄ってきたり、果実が落下して腐敗するのでその処分がまた面倒(それにもスズメバチが寄ってくる)なのです。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA