ハマナス:石狩浜に咲く

札幌はハマナスの花が最盛期を迎えています。この花は6月に咲き始め8月まで咲き続けます。花数が多く見ごたえのある時期は6月下旬~7月上旬で、それ以降はぽつらぽつら咲く程度で花数はだんだんと少なくなります。それで、最盛期の写真を撮ろうと、先週の日曜日(6月22日)石狩浜へ行ってきました。片道約40km。自転車で約2時間半。六十路を越えると翌日に堪える距離ですが、透き通る青空と体全体を通り抜けるさわやかな風がそれを忘れさせてくれます。途中、ハマナスの甘い香りが風に乗ってすぅーと鼻腔をくすぐります。豊平川幹線沿いに植えられているハマナスです。
002 ハマナス 豊平川2014.6.22
石狩浜は、石狩川が運び込んだきた砂(土砂)がシベリアからの季節風によって沿岸に寄せられて堆積したもので、その延長は、西は小樽市銭函~東は石狩川河口北(石狩市厚田区望来)まで、約25kmに及びます。そして、この砂浜は夏場札幌市民の海水浴場として大いににぎわいます。
石狩浜には、“海浜植物等保護地区”が3ヵ所指定されていますが、、今回行ってきたハマナスの丘公園は、その内の一つで石狩川河口近くにある保護地区の一部に入ります。石狩温泉“番屋の湯”もすぐ横にあります。
011 石狩浜2014.6.22
ハマナスのピンクの花が砂浜を一面に覆っているほどではなく、遠く拡がる緑のマットにぽつぽつと咲いている程度なのです。しかし、見渡す限り、360°、遮るもののない景色の中を6月の青空と浜風に吹かれてこの木道を歩くと、それだけで日頃味わえない爽快な気分になれます。
006 ハマナス2014.6.22
遠くに見える青色は日本海? 空? それとも石狩川?
008 ハマナス2014.6.22
普段に公園などで見かけるハマナスは1~2mの株立状ですが、石狩浜のハマナスは写真のように高さが10~30cmとマット状に地面を這うように生えています。風の作用によってハマナスの生育に都合の良い場所ができるのか?ところによっては100~150cm?になっている場所もあります。しかし、多くは地面を這って、そこに花を咲かせています。
<余談その1:海浜植物の特徴>
海岸に近い砂浜の気象は、直射日光、乾燥、強風、砂の移動、潮風といった砂浜特有の環境があります。この特殊な気象条件は多くの植物で生育が難しいのですが、海浜植物はそれに耐えうる性質を持ち合わせています。 乾燥しやすく、日射しが強い場所であるので葉が厚く表面が固めで、風が強いために背が高くならず砂地を這います。砂は風で移動しやすいために株(葉や芽、茎)が埋もれてしまうので、地下茎を発達させて、砂の中から新たに葉・芽を出せるようにし、砂の下深くに長い地下茎を張り巡らしているなどの特徴を持っています。
<余談その2:i石狩浜に生えている植物>
① ハマニンニク
020 石狩浜 ハマニンニク2014.6.22
写真のように、群落を形成して、砂浜一面を覆います。名前が浜“ニンニク”なので、1本ひっこ抜いて茎のにおいを嗅いだのですが、それらしき臭いはさっぱりしませんでした。ハマニンニクはイネ科に属しニンニクとは全く無縁です。ただ、砂浜で乾燥しやすいという気象条件に適応するために葉が分厚くなり、それがニンニクの葉の形状に似ているために、“ハマニンニク”という名前を頂戴したのでしょうね。
②ハマヒルガオ
021 石狩浜 ハマヒルガオ2014.6.22
ハマヒルガオは街中でもときたま見かけますが、砂浜では海浜植物の特徴である地下茎で結ばれて群落を形成します。
③ハマボウフウ
016 石狩浜 ハマナス、ハマボウフウ2016.6.22
ハマナスの花の右横に照り葉の草が生えています。それが“ハマボウフウ”です。ハマボウフウは人参やセロリと同じ仲間のセリ科ハマボウフウ属で、開花は7月に入ってからのようです(残念ながら)。
もう15年?、いやそれ以上前のことでしょうか?、「天ぷらにすると美味しいよ」とハマボウフウを頂いたことがあります。どのような味だったかは覚えていないのですが、“ハマボウフウ”というもう一度聞き直さないと正確に覚えられそうもない一風変わった名前だったことと、天ぷらにして美味しかったことが頭の片隅にあり、木道のそばに自然に生えているハマボウフウを見つけたとき、ほかの人が見ればただの雑草にしか見えないこの草も、自分にとっては何か大事なものを見つけたような気分になりました。
帰りがけ、石狩市で運営されている“海浜植物保護センター”に立ち寄りました。建物内の一角に、この砂浜に生えている植物の種子の無料配布コーナーがあり、その中にハマボウフウの種子もあったので、1袋いただいてきました。
1970年代以降、RV車の乗り入れやハマボウフウ等の盗掘などにより海浜植生の破壊が進んだため、石狩浜の豊かな自然を守り回復させる目的で、2000年に石狩浜海浜植物保護センターが開設されたそうです。海浜植物の種子をお土産として無料で配布する意図も、このセンターの設立趣旨の一つなのでしょうね。
④その他
上記のほかに、ハマエンドウ、ハマニガナ、コウボウムギ、エゾカワラマツバなどの花も咲いていました。
石狩浜海浜植物保護センター   ← ここをクリックすると左記ホームページへ

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