ナス

一富士二鷹三なすび・・・・・いわずと知れた初夢の吉兆を占うことわざです。松・竹・梅のようにめでたい席で使われる植物はありますが、どうしてナスが?

ものの本によると、富士、その南にある愛鷹山(1188m)、そしてナスは駿河国の三大名物とか。またの説には、徳川家康は富士の偉容、鷹の風格、ナスの漬物を愛好したことから、とも言われています。

原産地はインド、野生種は発見されていませんが、この地方には栽培から逸脱し、野生化したものが見られるそうです。

わが国には中国を経て渡来しましたが、年代は不詳。 古書から推測すると、1200年以前にさかのぼることは確かです。 農業全書(1696年)には、「なすびには紫白青三色あり。又丸きあり長きあり」と、種類の多いことをあげ、作り方も詳しく書かれており、当時としては重要な野菜でした。

中国や欧米では煮物や油いために用いられ、これを漬物としているのはわが国だけ。ぬかみそ、からし、こうじ、あらゆるものによく調和します。 品種も小型で実の締まった形のよいものが育成され、他国に類を見ないほど発達した野菜です。漬物のほか、ふろ吹き、しぎ焼きなど風味のある調理法もあり、古来から日本人の食生活に密着して、いくつかのことわざさえ生みました。

秋なす嫁に食わすな
秋口のナスは、とてもおいしいので、日ごろ折り合いの悪い嫁にたべさせたくない、という姑の心理なのでしょう。 しかし、秋ナスはタネが少ないので、大事な嫁が子無しになっては、また、おいしいナスを食べ過ぎておなかをこわしては、という心配からという逆説もあります。 しかし、これには科学的な裏づけはありませんし、食べ過ぎて悪いのはナスばかりではないですよね。

親の意見となすびの花は千にひとつの無駄もない
最近の親は、こんなことを言わないでしょうが、私たちの小さいころは、さんざん親から聞かされたものです。 さて、果たしてナスに無駄花がないのでしょうか?
花冠は合弁、先端は裂片となり淡紫色、両性花で1本の花柱(雌しべ)を囲み、5~8本の雄ずいが葯頭を形成しています。 雄しべに比べて雌しべの短いものを短花柱花といい、このような花はほとんど落果します。 両者の長さのほぼ等しいものは、中花柱花で、50%の着花率。雄しべより雌しべの長い花は、長花柱花と呼ばれる健全花で高い着花率を示します。 ナスも人の世も、女性上位の方が安泰なのかもしれませんね。
めまぐるしく多様化する現代、ナス同様親の意見にも無駄が多いのかなと、ふと考えさせられるこのごろです。
ナス

★栽培一口メモ
ナスは南方原産、したがって高温と光線が必要で、寒い年は不作です。 6月に入り暖かくなってから苗を植えること。 マルチやトンネルで保温するとよく生育します。枝を整理して日当たりがよくなるようにしてやりましょう。 生育期間が長いので、収穫初期と中期には追肥も必要です。 初夏になると、毎年ナスが枯れる畑※1は、土中に病菌のいる恐れがあります。 このような畑では、当分作付けを見合わせ、ほかの野菜を作るほうが賢明でしょう。
(札幌市農業センター 林 繁)

※1 毎年ナスが枯れる畑  →  半身萎ちょう病 参照
ナス 半身萎凋病

半身萎凋病の症状が出た葉
家庭菜園でナスに半身萎ちょう病がでたら、接木苗を購入するのが一番良さそうです。 値段が安いからといって、接木をしていない株を植えると、一度、病気の出たところでは、実が大きくなりだして、そろそろ食べようかなと思う頃、7月中旬~下旬にかけて確実に病気の症状がでてきます。

我家のミニ家庭菜園でも萎凋病が出てきました。
今から30年程前、家庭菜園を始めて3~4年後?に半身萎凋病が出て、その後毎年で出るので、20年以上?ナスを植えるのを止めていました。 しかし、畑を少し広げたこともあって、再度、ナスを植えてみました。 最初の1年目は病気は出なかったのですが、その次の年から病気が出始めました。
それで、今年は、接木苗と普通の苗を2株づつ購入して植えてみました。 やはり、普通の苗の1株に半身萎凋病らしい症状が最下葉に出てきています。 まだ、上の方に拡がる気配はないのですが、おそらく、その症状は上の葉に拡がっていくはずです。 雨がしっかり降って、高温で晴天の日が何日か続いた後にナスを見ると、症状が既に出ていた株は萎れた葉が増えて、病気の進行が急に早まったのを実感します。 今まで病気に罹っていなかった株にも、半身萎凋病の症状が出ている株があるはずです。 それはナスの実が大きくなってくる7月中旬、ちょうどこれからです。

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