ポプラのある風景(その2)

これは創成川通(旧石狩街道)沿いに植栽されているポプラです。北区太平12条1丁目(トライアル篠路店)から南向き(札幌駅方面) に撮っています。
1-021 ポプラ2012.8.8
国道231号線(創生川通)を北に向かって走り、JR北海道学園都市線の高架橋辺りから約3kmに渡って、このポプラの緑の壁が延々と続きます。
左側に見上げるばかりの緑のカーテンを、澄みきった青空を右前方に見ながら、夏のさわやかな風を体全体に受けて創成川通の何キロにも渡る直線道路を走るとき、その爽快感は普通の道路では味わえないものがあります。
このポプラを管理している国の道路事務所によると、
現在、樹高が23~26mのものが約470本。大正時代に、この地の農家の人々が、家畜が田畑に侵入しないように植えたのが始まりで、その当時、440本程植えられたとのこと。現在の本数が植えた当時に比べて少し多いが、意図的に増やすことはしていない。現状のポプラが交通の支障にならないように管理している。種類は、正確ではないが、クロポプラが約40%、改良ポプラが約60%
とのことです。
すこし改良ポプラの割合が高いような気がしますので、一考してみました。
クロポプラとは、ヨーロッパクロポプラ(ヨーロッパクロヤマナラシ)のことで、樹形がほうき状になるものが有名ですが、クロポプラ自体樹形に幅があり、枝を横に拡げるのもあるようで、雄株は枝を縦に伸ばし、雌株は横に拡げると言われています。北大や羊ヶ丘通(国の農業試験場横)のポプラは、クロポプラ(ヨーロッパクロポプラ)といわれています。
一方、改良ポプラは、ヨーロッパクロポプラとアメリカクロポプラの間にできた雑種にポプラ属の多くの種類をかけ合わせて、その中で成長が早く用材として開発選抜されたもので、林業や緑化樹として、日本に戦後移入されています。
しかし、鮫島惇一郎著「北海道の樹木」(昭和61年)によると、イタリアを中心にヨーロッパで選抜育種された改良ポプラは、「北海道では病気やネズミ、寒さなどによってほとんど全滅してしまった」とのことで、「その代わり、王子育種研究所で育種された系統で、改良ドロノキがある。植えてから20年たつと高さ20m、直径20cmほどになり、病気、ネズミ、寒さに強い。改良ポプラの主流は、この改良ドロノキであろう」と記載しています。(今、私たちが公園などで見る、枝を横に拡げるタイプですばらしく大きくなっているポプラは、鮫島氏が言っている改良ポプラなのでしょうか。たぶん、そんなんでしょう)
1-071 ポプラ  クロポプラ 創成川通2011.9.23
創成川沿いのポプラは、大正4年にこの地域の農家の方が総出で植えたとのことで、その当時のポプラが生きているならば樹齢100年位になります。浅根性で強風に弱いポプラの性質からすれば、その当時植えられたものが現存する割合は相当低いと考えられます。もし、その当時植えられたものがそのまま生き残っているとすると、改良ポプラは無いはすです。しかし、現存するポプラの中で改良ポプラが6割を占めるのは、戦後、台風などの事あるごとに、順次、植え直しが繰り返されてきたのでしょう。
樹種の話など細いことを書いてしまいました。クロポプラであろうと改良ポプラであろうと、創成川通のポプラ並木のすばらしい景観には変わりありません。100年前にこの地の人々で植えられたポプラは、札幌の最も有名な「ポプラのある風景」の一つとなり、おそらく100年後も同じ姿で札幌の人々にそのすばらしい景観と爽快感を与え続けているのでしょう。

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