シモバシラ 氷の花

霜柱(シモバシラ)は、冬期の気温が氷点下になるときに、地中の水分が毛細管現象によって地表にしみ出して柱状に凍結したものですが、草花にも「シモバシラ」という名前の植物があります。 シモバシラは地際に氷の花(結晶)をつくることからこの名前が付けられました。
この現象は、外気温は氷点下になっても、地中は落葉によって保護されて根が活動できる地温を保っているため、根から吸い上げられた水分が枯れた茎からしみだし、冷たい外気に触れて凍っていくことでつくられていきます。

「シモバシラ」という植物を知ってから、一度は見てみたいと思っていたのですが、そのときが今冬やってきました。 札幌は通常11月中下旬から雪が降り始めるので、シモバシラの氷の花は、少しの降雪でも雪の中に隠れてしまうし、気温が上がれば解けてしまうので、この現象を見るには夜温がマイナスで、しかもその前夜に雪が降らなかったときがチャンスなのです。 なので、札幌でこれを見る機会は限られているのです。
以下の表は、今冬11月28日~12月1日までの気温。 札幌管区気象台

月日 平均気温 最高気温 最低気温 降雪 積雪 (cm)
11月28日 5.1 12.1 0.3
11月29日 -2.1 -0.8 -4.2
11月30日 -4.3 -3.2 -5.2
12月 1日 -3.2 -1.3 -5.0

11月28日は最高気温が12.1℃まで上昇して11月下旬にしては暖かい日でした。ところが翌日から最高気温もマイナスの真冬日になり、シモバシラができる条件が整ったようです。 写真を撮った12月1日とその前日に降雪はなかったので、雪はほとんどなくなっていました。

写真は豊平公園の野草園に植えられているシモバシラ。 シモバシラの枯茎を縄で結わえてあります。
2023.12.1
その地際に白い塊が見えます。それが氷の花(氷の結晶)です。

3023.12.1
高さは4~5cmくらいでしょうか。 見た瞬間は枯茎にくっついた雪の塊に見えるのですが、しゃがんで近づいてみると
花弁のような形をしたもの、中央部が空洞になったものなどいろんな形状に結晶化しています。
2023.12.1
ブログに載せているこの写真を豊平公園の関係者に見せると、雪の結晶が一回り大きくなっていると話してくれました。 その方はその前日に観察したようです。

シモバシラは関東以西の山地の林に生えています。特に関東以西の太平洋側は雪が降らないので、シモバシラの氷の結晶を2月頃まで見ることができるそうです。 その間も根から水が上がって氷の結晶が育ち、大きな氷の花が見られる1月上旬では、写真で見る限り10~20cmくらいの高さにまで成長するようです。

高尾山 シモバシラ ⇒ https://www.ces-net.jp/takaovc/?page_id=75

札幌では通常12月上中旬には根雪になるので、大きく育つ氷の花を見ることはほとんど不可能です。 それでは雪の少ない帯広などに植えたら、北海道でも大きな氷の結晶を見ることができるのではないか?と一瞬考えたのですが、このシモバシラは元々暖地性の植物で、帯広のような地下1m近くまで凍り付くような場所ではそもそも生きていけないのです。 すぐにその安易な思いつきを取り消しました。 このシモバシラが豊平公園の野草園で生きていられるのは、札幌が積雪1m近くにまでなる豪雪地帯で、その厚く積もった雪がシモバシラを保護しているのです。

シモバシラの花
2022.10.9
シモバシラは日本特産でシソ科の植物。 草丈は50cm~1m。
シモバシラの茎はしっかりできているので、それが枯れても水を通すので氷の花ができるのだそうです。
2022.10.9
葉は対生で、茎の先端に近い方にそれぞれの基部から穂状に小さな白い花を咲かせます。 豊平公園の野草園では9月下旬?から咲きだすようです。 写真では花が大きく写っていますが、それほど目立つ花ではありません。

 

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