ヤドリギって、どうして樹の垂直面に着生できるの?

樹木の写真を撮る以前は、それほどというよりほとんど気には留めていなかったのです。
樹上にヤドリギがあっても、
それは、鳥の落とす糞の中にヤドリギの種子があって、たまたま、枝と枝の間に都合よく落ちて、そこから運よく芽生えたのだ と思っていました。
016 ヤドリギ2011.1.29
樹種:ミズナラ
しかし、樹木を観察して、写真を撮るようになり、こんな場面に出会うと、
010 ヤドリギ2012.4.10
樹種:ナナカマド
031 ヤドリギ2012.4.15
「どのようにして、ヤドリギは樹木の垂直面に着生できるのか」
と素朴な疑問がわきあがってきました。
樹木図鑑では、ヤドリギの種子は粘着性があり、枝に付着して・・・・・・
とありますが、写真のような状態でヤドリギが生えているのを見ると、
「いくら粘着性があるといっても、そう簡単に樹肌の垂直面に根はおろせないでしょう」
と自分自身に疑問符を投げかけるのです。
それで、調べてみました。ズバリ、目から鱗の回答をしてくれているホームページを見つけました。
ヤドリギの種子の表面には粘着性はありませんが、皮をむいた中身は透明のゼリー状をしています。その中に、伸縮性の強い細長い筋(すじ)のような部分があり、鳥に食べられた後、それが消化後の糞に高い粘着性を与える性質があるのだそうです。
樹上で鳥が糞をすると、種子が包みこまれているその透明な細長い粘着性のある筋が、鳥の肛門から垂れ下がります。それがながーくなって落ちるときに、下にある枝や葉にに引っかかっります。それが風に吹かれ、ブランコがゆれるようにして樹肌にくっつくのだそうです。
このことについては、ホームページ「花*花 flora」2008.2.24 「ヤドリギとヒレンジャク」 に写真入りで詳細に書かれています。興味のある方は是非ご覧ください。

それでは次に、硬い樹皮に付着したヤドリギの種子はどのようにして、樹の中へ根を進入させるのか?という疑問が浮んできます。以下は日本植物生理学会「みんなの広場」というコーナーの「ヤドリギが寄生する理由」の一部を引用しました。
ヤドリギの種子が樹皮の上で発芽すると、根は樹皮に吸着するために吸器という特殊な器官を作ります。そこから不定根が樹皮下に伸びて、宿主の形成層に達して、新しく形成される木部と結合します。吸器からは多分宿主の木部細胞の増殖を促す物質が分泌されて、木部との結合を増やしていきます。
ヤドリギは、このようにして宿主から水分や窒素・燐酸など自分自身に必要な栄養分を吸収し、自分の葉で光合成を行ってデンプンをつくり、体を成長させています。
*木部:根から吸収した水などを運ぶ通路
追記;
樹木を観察していると、1本の樹に何ヶ所もヤドリギが着生しているナナカマドなどそれほど大きくない実のなる樹木にヤドリギを見かけます。
鳥たちと実(液果:果皮が柔らかく汁けが多い果実)を成らす樹の関係を考えると、ハルニレなどの高木についているものは目にとまりやすく多いように思いますが、実際は、目立たないけれども、実のなる樹に着生しているヤドリギのほうが多いのではないのでしょうか
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