シンジュ(その4)

札幌はここ4~5日で数十センチの降雪があり、積雪深は80cmになっています。札幌の積雪が最も深くなるのが3月中旬です。それまでは雪が降るごとに積もっていきます。
晴れた日の雪景色は一種透明感のある美しさで、それは人々の気持ちを一時的に晴れやかにしてくれますが、それ以外の多くの日々は、空は日本海側特有の低く立ち込める雲に覆われ、雪が降るたびに雪はね(雪かき)に追われ、そして、1月、2月と積雪が高くなるにつれて、その雪はねのつらさも増していきます。これらのことは、毎年の当然わかりきったことで仕方がないこと(受け入れざる得ないこと)なんですが、それでもそんなことを考えると気分が自然と滅入ってくるのです。
余計な話をしてしまいました。今回はニワウルシ(シンジュ)です。
1-021 シンジュ2012.3.6
今頃の公園や街路樹で、このような花のようで花でない、枯葉のようで枯葉でないものをつけている樹を見つけたら、それはシンジュ(ニワウルシ)と思ってもよさそうです。
①冬芽
1-096 シンジュ(赤字)2012.5.6
・冬芽 上の写真ファイルの冬芽は、5月上旬に撮っていますので、大きく膨らんでいます。下のが冬芽です。形は山形の半球形で、触るとこりっと硬いです。キハダの冬芽に似ています。
・葉痕 下の写真ファイルは、落葉直後に撮っているので、表面の色が白っぽいです。形は卵形で冬芽の部分が凹んでいます。
・皮目 皮目は斑点状で多数。
・維管束痕 維管束痕が明瞭にわかります。エジプトの古代遺跡で発見された遺物の象形文字のようですね。
シンジュの枝先は、赤っぽくてこのように先細りになり、新葉を展開する位置は枝先から少し(10cm?)下がったところのようです。
1-023 シンジュ(赤字)2012.11.24
1-095 ヌルデ2012.5.27
5月下旬、新芽の展葉です。展葉時期は最も遅い部類に入ります。
1-048 シンジュ 真駒内川2012.6.2
少し赤味を帯びた新葉が太陽に映えて美しさを増しています。
②名前の由来
・ニワウルシは、ウルシに似た、庭植えにできる樹というころから来ているようです。
・シンジュは神樹で、英名の tree of heaven の直訳です。
牧野新日本植物図鑑では、
神樹は、tree of heaven という西洋の俗名を直訳したもので、この樹に対してわが国で最初につけた名である。庭は、ウルシに似た葉の木で庭園に見かけるからである。
③Data
科名 ニガキ科
属名 ニワウルシ属
学名 Ailanthus altissima 属名Ailanthus はMolucca島(どこだかわからない)の方言で、天の樹を意味
花期 6月下旬~7月中旬

④余談
9月12日のブログで「都市の中で野生化するシンジュ」の話をしましたが、最もわかりやすい事例を見つけました。
1-011 シンジュ 南15西11?2012.10.27
これは、南15条前後?西11丁目、国道230号線(石山通)に面するところにある、見たところ普通の住宅のようです。そんなに古い建物ではないのですが、何かの事情でここ数年?空家のようです。玄関の周りにむぞうさにシンジュが数本生えています。これらのシンジュは植えられたものではなく、自然に生えてきたものでしょう。
樹齢は6~7年?なのでしょうか?おそらくそれくらいと思います。あと5年もするとこの倍くらいの大きさになるのではないでしょうか?
1-025 シンジュ2012.3.6
シンジュは、どの樹木の種子よりもこのような環境(都市の中にあるちょっとした裸地)で、発芽して成長する能力は抜群です。
この住宅の裏にはシンジュの樹が大きく枝を広げています。

にほんブログ村 写真ブログ 植物・花写真へ
にほんブログ村

シンジュ(その4)」への4件のフィードバック

  1. SECRET: 0
    PASS: 2c7a5a6bfa4b5baee3b981b7803c3747
    こんにちわ!今年は雪が多くて大変ですね…毎日毎日、悪夢の雪かきです。
    シンジュの樹は大好きです。もとは、シンジュサンという美しい蛾に出会って、この樹を知りました。神の木だなんて、すごいなぁって。
    葉の形が特徴あって、一度見たら忘れられない樹です。
    名前の由来など、勉強になりました!
    植物は本当に素晴らしいです。命が輝いていますよね。

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    こんばんわ~。
    北海道はもう白銀の世界ですね~。
    それがいいかどうかは人それぞれ、そこに住んでる住んでないによるのでしょうが・・・。
    こちらではシンジュの野生化の頻度は地域によるところが大きいように感じています。
    とは言っても、基本的に田畑が多い地域で休耕田などにおいて一斉に発芽し成立したと思われる純林が見られます。
    他にも道路法面、更地、森林崩壊地などにもよく侵入しています。
    若木に近づいてみると枝の色合いや様子から一年で3~4m成長したと思われるものも見かけます。
    そんな樹木が北海道で見られるとは知りませんでした。
    耐寒性が強いのですね。
    札幌以外でも都市部なら見られるのでしょうか?
    気になります。

  3. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    おはようございます。
    いやはや、今年の雪には参りますね。
    それでも、昨日に続き今日も天気が良さそうで一安心です。
    シンジュサンは写真でしか見たことがないのですが、その模様や色合いに魅惑的なものを感じます。本物は大きくて、はっとするような、人を引き付ける美しさがあるのでしょうね。

  4. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    おはようございます。
    今年の寒さと12月の雪の多さには参っています。
    まだ、年も明けてないのに、春が待ち遠しいです。
    札幌以外の地方都市のことはわかりませんが、
    札幌では、周辺部より都心部に多いように思います。
    それは、シンジュが古くは札幌の中心部のお寺に、
    戦後は、都心部の街路樹として植えられたためと思います。
    札幌の郊外や田畑ではほとんど見かけません。(地方都市の古いお寺には植えられているかも知れません)
    コメントで、休耕田や道路法面などに生えていているとのことで、少し驚いています。
    野生化の進行度合いは、こちらに比べると相当進んでいるような気がします。
    こちらでは、ニセアカシアがそのような状態になっています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA