紅葉について(その2) なぜモミジの葉は赤く色づくのか?

寒くなってきました。札幌は最高気温が10℃を下回るようになりました。この気温は、吐く息が白く見えるようになる気温です。今週末に写真を撮るときは、落葉している樹が多くなっていると思います。
1-004 藻岩山 軍艦岬
2012.10.27 藻岩山
さて、今日のテーマは「なぜモミジの葉は赤く色づくか?」です。
モミジ類は秋にクロロフィル(緑色素)が分解されるときに、光合成でつくられた栄養分(デンプン)などを合成してアントシアニンと呼ばれる色素をつくります。クロロフィルが分解される一方で、アントシアニンがつくられるのです。アントシアンは赤くなる色素です。葉の中に元々ある黄色の色素(カロチノイド)と同じ程度に赤色の色素がつくられると橙色の葉になります。 ヤマモミジやハウチワカエデが深紅色に染まるのは、アメリカハナノキが朱色に輝くのは、アントシアンとカロチノイドの量的なバランスの違いによるものです。
緑色の色素クロロフィルが分解されて、量は少ないけれど元々あった黄色の色素カロチノイドが目立つようになって黄葉するというのは、理に適っていてすんなり受け入れられます。しかし、紅葉については、「わざわざエネルギーを使って、赤い色素をつくる必要があるのか?」という疑問が残ります。このことについて、一つに光を多く受けすぎることによる障害「光阻害」を防ぐためであるという説があります。以前、3月20日のブログで、「シャクナゲは、なぜ冬に葉を丸めるのか?」で光阻害のことを紹介したことがありますが、同じ様なことがモミジの紅葉にも起こっているようです。
1-067 中島公園
2012.10.27 中島公園
秋になり、気温が低下してくると、二酸化炭素(CO2)を固定する反応を含めた光合成機能も同じように低下します。太陽の光の強さはあまり変わらないのに光合成機能が低下しているため、葉で受け取る光が強すぎる(光エネルギー過剰)状態になります。葉で受け取った光エネルギーをすべてCO2の固定に使い切れば問題は起こらないのですが、この光エネルギーが余った状態(光エネルギーの過剰な状態)はクロロフィル(葉緑素)に活性酸素を生じるように作用します。これがクロロフィルの機能を低下させ、クロロフィルを分解するようになります。アントシアンは、葉の光合成をできるだけ長い期間継続させるために、太陽光の一部を吸収し、クロロフィルが受け取る光エネルギーの量を過剰にならないようにしていると言われています。しかし、紅葉が始まる葉は老化も始まってもうすぐ落葉する葉で、そのクロロフィル(葉緑素)による光合成の活動は低下してますので、それを守る意義は少ないという説もあります。なぜ赤く紅葉するか?については、まだはっきり解っていないようです。
確かに、落葉時に葉色が赤色系に変わる樹種は多くはなく、黄色系が目立ちます。葉中にないアントシアンをわざわざつくって紅葉することが樹木にとって利益があるなら、もっと多くの樹木が紅葉してもよさそうに思うのですが、いかがでしょう?。
あるとき、遺伝子に変化が起きて(突然変異)、葉が赤く紅葉するようになるのですが、その変化は樹木にとってそれほど負担にもならないし、かといって利益もない(少しは利益があるあるかも?)が、それでもその変化が樹木にとって悪さをするわけでもないので現在でもその遺伝子が生き残っているという考え方はどうでしょうか?
*活性酸素:様々な物質に対して非特異的な化学反応をもたらし、細胞に損傷を与えるために、その有害性が指摘されていいる(ウィキペディアより抜粋)

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