エゾヤマザクラ(その1):森林総合研究所 北海道支所

今(5月4日)、札幌はサクラが満開です。今年は、ゴールデンウィークがちょうどサクラの見頃(最盛期)と重なりました。円山公園、真駒内公園、モエレ沼公園などは多くの人で賑わっているのでしょう。今回は、いつもお世話になっている森林総合研究所のサクラ並木(エゾヤマザクラ)の紹介です。
025 エゾヤマザクラ 森林総合研究所2014.5.4
森林総合研究所の正面入口から研究本館に通じる約200mの道路の両サイドに約130本のエゾヤマザクラが植えられています。樹高は6~12mで、幹径は太いもので60~70cm、30~50cmが多いようです。植栽間隔は3~6m(おそらく植付け時は3m間隔で植えられたようです)。当研究所は、昭和49年に現在豊平公園になっている林業試験場北海道支場(旧名称)を当地に移設したもで、この並木(エゾヤマザクラの樹齢)は、開設当初に植えられたものなら、50年前後なっていると思われます。
042エゾヤマザクラ 森林総合研究所2014.5.4
病気に罹っている樹が少なく、樹の大きさも揃っていて、桜並木としてはなかなかのものです。強いて言うなら、道路両サイドに深い排水側溝が掘られていて危険防止のため仕方がないのですが、赤いセーフティコーンがいまいちいただけないです。
013 エゾヤマザクラ2011.5.14
<余談>ソメイヨシノとエゾヤマザクラ(オオヤマザクラ)の比較
1.分布及び特性等
(1)ソメイヨシノ
エドヒガンとオオシマザクラとの種間雑種と考えられる栽培品種。江戸後期に江戸染井村から「野桜」の名前で広まった。花付がよく生育も早いことから観賞用のサクラとして人気を呼び、明治期になると全国的に広く栽培され、名前も“染井吉野”とされた。今では海外でも数多く植栽されており、日本を象徴する栽培品種となっている。くびれが小さいがく筒には毛が多く、花柄が長く伸び花弁は丸く大きい。(日本の桜 勝木俊雄著)
(2)エゾヤマザクラ(オオヤマザクラ)
北海道から本州・四国およびロシア極東部・朝鮮半島の冷温帯に分布している種。花が紅色なので「紅山桜」、北海道に多いことから「蝦夷山桜」とも呼ばれる。落葉樹林中で樹高が20mを超える大木となり、雪や寒さに強い。ヤマザクラより花弁が大きく鑑賞価値も高い。寒冷地では“染井吉野”と同じ頃に咲くオオヤマザクラがもっとも身近なサクラであり、“染井吉野”が育たない地域ではかわりに植えられることも多い。(日本の桜 勝木俊雄著)
東北地方の北部や北海道の代表的な野生のサクラ。中部地方や関東地方では標高800m以上に見られ、ヤマザクラやカスミザクラより高いところに生える。(樹に咲く花)
2. 花色 : ソメイヨシノは白に近いピンクですが、エゾヤマザクラは濃いピンクからソメイヨシノ近い薄いピンクまで幅があります。
3.花柄(花軸): ソメイヨシノのほうがエゾヤマザクラに比べて長いようです。
006 ソメイヨシノ、エゾヤマザクラ2014.5.5
左:エゾヤマザクラ 右:ソメイヨシノ
4.花数 : ソメイヨシノは2~5個(散形状又は散房状)の花を付けるのに対し、エゾヤマザクラは2~3個を散形状に付けます。
散房花序 (1)散形花序  散房花序散房花序
5.花と葉の出方 ソメイヨシノは花が先に咲いてから出葉するのに対し、エゾヤマザクラは先に出葉します。しかし、エゾヤマザクラは開花時に葉の目立つものと、ソメイヨシノのように開花時にほとんど葉が見えない樹もあり、それは樹によってばらつきがあります。
6.樹肌 : ソメイヨシノの白っぽい樹肌に対して、エゾヤマザクラは黒っぽいです。
001 ソメイヨシノ 2014.5.5
ソメイヨシノ
ソメイヨシノも樹齢を重ねると樹肌は黒っぽくなりますが、幹の上部及び枝は白っぽいです。
002 エゾヤマザクラ2014.5.5
エゾヤマザクラ
7.花柄(花軸)の毛の有無
003 ソメイヨシノ2014.5.5
ソメイヨシノ 有毛
005 エゾヤマザクラ2014.5.5
エゾヤマザクラ 無毛
8.開花時期
ソメイヨシノのほうが数日(3日~5日?)遅いように思います。

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