サクラ:てんぐす病

5月6日の振替休日は、天神山緑地(南区澄川)で樹木研修を兼ねた花見会に行ってきました。この天神山緑地は相馬神社と隣接しており、さらに、相馬神社の隣に澄川墓地があるため、これらが一体となって住宅地の中で豊かな緑地を形成しています。高さ89mの小高い天神山の一帯(面積:18.6ha)は樹木などの伐採が厳しく規制される風致地区に指定されています。
天神山緑地にはチシマザクラやヤエザクラなどのサクラ類、ウメやナシなどが植栽されており、相馬神社には樹齢300年を越すシバグリや雑木林、澄川墓地には見事な樹形をしたコナラなどがあり、散歩に、樹木観察を兼ねた散策には絶好のスポットのようです。
021 澄川墓地 アサダ、コナラ2014.5.6
写真の大きな樹は左から、アサダ、コブシ、コナラ(樹高:15~20m弱、幹径:70~80cm) 澄川墓地
芽だし直前のコナラ。丸い樹冠の中を流れるように伸びていく幹枝。透き通るカーテン生地のような模様をつくりだす膨らんだ葉芽。それらがやわらかさと繊細さを織り成して美しい樹形を作り出しています。あと10日も経つと新葉は展いています。その頃、青空のもと、太陽に照らされて樹冠全体が銀白色に輝くのでしょうか?
前置きが長くなりました。話を本題のてんぐす病に移します。
天神山緑地には、上述したように、チシマザクラ、ヤエザクラ、エゾヤマザクラ、ソメイヨシノなど緑地造成時に植栽された比較的新しいサクラと、造成される前に植えられていたソメイヨシノや元々この山に生えているエゾヤマザクラの老木が混在しています。

てんぐす病
2014.5.6
これは、造成後に植えられた比較的若齢のソメイヨシノ(樹齢:約30年)に発生したてんぐす病。てんぐす病の発生した枝には葉だけが繁茂して、全く花が付いていません。この樹も樹冠全体に花数が少ないようです。

てんぐす病 ソメイヨシノ 天神山緑地
2014.5.6
てんぐす病が目立つのは造成以前からあるソメイヨシノです。樹高は15mを超える、ソメイヨシノとしては大きな樹で、樹齢も50年は優に超している思われ、老樹の部類に属します。ハルニレの大樹でよく見るヤドリギのように、樹冠全体にてんぐす病が発生しているのです。花はちらほらと咲いているだけで、とてもソメイヨシノとは思えない花の咲き方です。てんぐす病がついているから、ソメイヨシノとわかるくらいです。ソメイヨシノはてんぐす病がつきやすいといわれていますが、こんなにてんぐす病が蔓延している樹を見るのも初めてで、さらに、ここまで放置されると樹勢も弱り、ほとんど花が咲かなくなるようです。
エゾヤマザクラにもてんぐす病が発生しますが、花が付かないのはてんぐす病に罹った部分で、その以外の枝はたいてい花をつけていたように思います。ソメイヨシノはてんぐす病に罹ると樹冠全体の花付が顕著に悪くなるようです。
ソメイヨシノ てんぐす病
2014.5.4

<サクラ類てんぐす病について>
てんぐす病は、一部の枝が異常に分枝し、樹冠の一部が鳥の巣状やほうき状になる。てんぐ巣の基部は小さなこぶ状に膨 らむ。罹病枝上の葉は小型で縮れ、葉裏がやや粉白色(病原菌の子実層=胞子をつくる部分)になったのち、早期に褐変落葉する。てんぐ巣部分はすぐには枯死しないがいずれは枯死し、病巣の多い激害木は衰弱する。また、罹病枝は花をつけないため、観賞価値が著しく損なわれる。てんぐ巣基部のこぶ状の部分を含めて幹部を切り取り、焼却する。切り口には、チオファネートメチルペースト剤(トップジンMペースト )を塗布する。(北海道“樹木の病気・虫害・獣害”より)

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