フジ:北海道で一番古いフジ

 今、街中を歩くと、個人の庭にはレンゲツツジやリュウキュウツツジなどのツツジ類、花色の豊富なシャクナゲ類、ボタン、クレマチス、ライラックなどが、公園では、ナナカマド、アズキナシ、サンザシ、ズミ、エゾノコリンゴなどいろんな花が咲き誇っています。その中にフジがあります。
1-R0010512(akaji).jpg2013.6.7
これがタイトルの北海道で一番古いフジではありません。たまたま、偶然に見つけた個人の庭にあったフジです。
常日頃からきめ細やかな手入れがなされているのでしょう。なかなか見事なフジです。毎年剪定しないと藤棚はぼうぼうになって花は咲かなくなってしまします。ここのお宅には園芸好きの方がいらっしゃるのでしょう、フジの手前にあるのはブドウのようです。
1-011 フジ(akaji)2013.6.8
藤棚は鉄製でその高さが3m以上あるため、フジを見上げるようにして鑑賞します。フジの花房が太陽光の加減で藤色の陰影が引き立ち、地面のまだら模様とあいまって独特の空間(雰囲気)をつくりだしています。面積は10m四方の大きさくらいでしょうか。
1-009 フジ(akaji)2013.6.8
2年前にここを訪れたとき、このフジを見に来られた70歳過ぎのご婦人から、「昔はフジの房が今の2倍以上あって、もっともっと見事だった」という話を聞きました。50年前の話でしょうか?それはわかりませんが、現在のフジの花房は30~40cmです。往時は1m近い花房が垂れていたのでしょう。
1-044 フジ(赤字)2013.6.8
フジの根元の方に目を移すと、その古さ(樹齢)に納得します。根回りと言うのでしょうか、それとも幹周り?直径が1.5m前後あります。幾重にも絡まり肥大している蔓幹は北海道の樹木では見られない重質量感と150年の歴史を感じさせます。なかなか以上のものです。

1-008 フジ(akaji2013.6.8
説明板には、樹齢150年余と書かれています。しかし、この看板が書かれた当時(昭和45年)の樹齢が150年余とすると現在の樹齢は200年近いことになります。今年は明治元年から148年目になります。内地より持ってきた盆栽を植えたと書かれていますので、ある程度年数を経たフジを植えたということでしょうか?余計な邪推は止めます。見事なフジです。
場所は豊平区平岸の国道453号線沿いで、昔のアサヒビール園の近くにあります。大きな邸宅の門を20mほど入っていくと藤棚が見えます。私は数回ここを無断で見学させていただいているのですが、なんのお咎めもありません。この時期に行くと、数名の見学者を見かけます。ただし、駐車場はありません。
〇 特別天然記念物 牛島のフジ
上記平岸にある「天神ふじ」もりっぱですが、本州にはすごいフジがあるようです。特別天然記念物「牛島のフジ」です。所在は埼玉県春日部市、昭和3年(1928年)に特別天然記念物に指定されています。樹齢1200年、根元の総周囲長9m主幹の根周り4m、枝張り東西34m、南北17m、藤棚の面積が600㎡あるそうです。
ウェブサイトによると、明治のころは3mにも及ぶ花房をつけ、「九尺藤」とよばれていたとのこと。毎年見事な花を咲かせるために、1tもの油粕や酒粕が年4回施されているそうです(年4回ですから合計4t入れているという意味なのでしょうかね?)
※酒粕は花の艶を引き出す特効肥料で、2月に寒肥として施されるそうです。
img_1037372_41440439_10.jpg bbe12ce50bea801b820314b530ca001b.jpgグーグル画像よりお借りしてきました。
右側写真の根というか、幹というか、蔓というか その存在感に圧倒されます。一度見に行きたいです。
毎年すばらしい花を咲かせるには、それなりの管理が必要ですが、この牛島のフジは4t?の肥料が施されている。驚きです。1200年の老樹でも大事に管理すれば、現在でも2m前後の花房が垂れさがるのだそうです。
平岸の「天神ふじ」は樹齢150年、牛島のフジに比べるとまだ赤ちゃんのようなものです。現在も大事に育てられていますが、牛島のフジのように大量の肥料を施すと、往時の1mに垂れ下がる花房が見られるのでしょうか?
〇 余談
以前、フジの蔓を切る機会があり、ノコギリで切らせてもらったことがあります。蔓の太さは10cm弱ほどでした。普通の木材を切るように、のこぎりを蔓に置いて引くと、抵抗感なく切れるのです。普段ほとんどのこぎりを使わない私にでも超楽々簡単に切れるのです。フジの蔓は非常に柔らかい組織でできているようです。
ほとんどの樹木は自立していて、その重さを自分で支え、細胞組織もそれなりにしっかりしたものにつくり上げる必要があります。しかし、フジは横にある樹に巻き付いて成長するために、自分の重さを支える必要がありません。本来なら細胞組織を頑丈につくるために回すエネルギーを、その余った?養分を花や実の充実に回すことができるようです。毎年毎年あれだけ見事な花を咲かせられるのは、そのためでしょうか?

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