四季折々に変化する樹木など植物を観察して樹まぐれに日記を書いています。
今年(平成26年)の9月9日にハマナス酒をつくりました。 それから3か月ちょっと過ぎています。 飲み頃は、半年は置いたほうが良いと言われていますが、とりあえず、味見をしてみました。
2014.12.20
琥珀色で美しい酒(しゅ)に出来上がっています。 写真ではその透明感が出ていませんが、 保存ビンを光に当てると、透き通った琥珀色が輝きます
ハマナス酒の効用について (北海道の果実酒薬用酒 野洲 健治著)
「花酒は、ハマナス特有の芳香がすばらしい酒で、カクテル用に向いています。 果実酒の方は、ビタミンCを多く含んでいるので、1回に杯で1~2杯飲むと、疲労回復に効果があります。」
と書かれています。
ハマナス酒を口に含むと、最初に焼酎のつんとくる酒の味が、次に、ほんの少し苦味の混じったグラニュー糖の甘さがじわっと拡がります。これがハマナスがアルコールに染み出した味? 焼酎とハマナスが馴染んでないのでまろやかさに欠けます。 もう少し寝かせれば味に丸みが出て多少美味しくなるかもしれないですが 1年置いてもその味は然程変わらないような気がします。 はっきり言って美味しくないです。
上述の「1~2杯飲むと疲労回復に・・・・・・・」とありますが、その記述に「健康増進のために少し我慢して飲む」 という表現を付け加えるのがより正確のようです。
2014.12.20
保存びんから3個取り出して、その内の1個をかじってみました。 果肉は薄くその多くが種です。
<余談:ハマナスのビタミンC含有量>
ハマナス酒は、どのウェブサイトを見てもビタミンCが“多く”又は“大変多く”含まれていると書かれています。 それで、それが他の野菜や果実に比べてどれくらい多いのか調べてみました。
(1) ビタミンCの多い食品ベスト32 (水分が40%以上) 食品100g当りのビタミンC含有量 単位 : mg (簡単!栄養andカロリー計算より)
名称
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数値
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名称
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数値
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赤ピーマン
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170
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レッドキャベツ
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68
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黄ピーマン
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150
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イチゴ
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62
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ゆず(果皮)
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150
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シシトウ
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57
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アセロラジュース
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120
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きょうな(ミズナ生)
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55
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パセリ
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120
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ブロッコリー
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54
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芽キャベツ
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110
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カリフラワー
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53
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レモン(全果)
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100
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レモン(果汁)
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50
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なすのからし漬け
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87
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パパイヤ
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50
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ケール
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81
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ハム(ロース)
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50
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からし菜漬け
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80
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ベーコン(ロース)
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50
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ピーマン
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76
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かぶの葉のぬか漬け
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49
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ニガウリ(ゴーヤ)
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76
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きんかん
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49
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めんたいこ
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76
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ハム(ボンレス)
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49
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柿
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70
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カブ(葉)
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47
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キウイフルーツ
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69
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カイワレダイコン
|
47
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上表“ビタミンCの多い食品ベスト32” にハマナスは載っていません。それで、“日本食品標準成分表※1”で検索したのですが、やはりなかったです。 ハマナスは食品には分類されていないようです。 いまはやりの機能性食品関係書籍“健康食品のすべて”で調べてみると、ハマナスは“チェローキーローズヒップ※2”という名称で出ていました。 が、その効能等は書かれているのですが、ビタミンCの含有量は記載されていません。
※1 : 文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会が調査して公表している日常的な食品の成分に関するデータである。略して食品成分表とも称される。 学校や病院などの給食業務で栄養素を計算する上で重要な資料のひとつである。食品可食部100g当たりの食品成分の含量などが示されている。一般的な健康食品等における「○○何個(何グラム)分」との成分表示はこの表を参考に算出されている。(ウィキペディア)
※2 : バラの花弁の下の丸い部分です。 バラの種子を含んでいます。 乾燥させたローズヒップと種子を用いて「くすりを作ることもあります(健康食品のすべて)
(2) いろいろ調べてみると、信頼性の高い資料がありました。 北海道大学が昭和21年に「北方植物のビタミンCに就いて」の中で、ハマナスのビタミンCの含有量を調べています。 その調査では 果皮、果肉、種子のそれぞれの含有量も調べています。 果実全体では、未熟:469mg、半熟 :733mg、完熟:579mgとなっています。 しかも、採取した果実を2~3週間ほど放置してもビタミンCの含有量は減少しないと書かれています。 上表の食品に比べて飛び抜けて多い含有量です。
→ 北海道大学:ビタミンC含有量
野菜等を生で食べてビタミンCを摂る量と、アルコールで抽出して出てくる量では違いはあると思いますが、それにしてもハマナスのビタミンCの含有量はと飛び抜けています。 これなら、多少我慢してでも、毎日杯1杯くらいなら飲んでも良いと思います。
(3) ところが、酒(しゅ)にして1年ほど置いておくと、ほとんどビタミンCが無くなるらしいのです。
北海道衛生研究所の試験調査によると、
「糖濃度20%のハマナス酒のビタミンC含量は、90日後が最高になり、果実中のビタミンCの35%が果実酒中に存在した。ビタミンCはそれ以降減少し、180日後に13%に減少し、1年後にはほとんど無くなる」
ということです。
ちなみに、今回自分で造った果実酒は、ホワイトリカー600CCに100gのグラニュー糖を入れています。糖濃度は約17%です。 糖濃度が低いほどビタミンCが無くなるのが早いので、 おそらく、来年の12月にハマナス酒を飲もうとしたときには、ビタミンCは分解してなくなっているのです。
→ 北海道衛生研究所:ハマナス
(4) 結論 : ハマナス酒が多少でも美味しければ造る価値はあるかもしれませんが、ハマナスの一番良いところ、ビタミンCが多く含まれていること、それがほとんどなくなるようでは、酒(しゅ)を造る価値は無いようです。