カンボク:

我家から1km程離れたところに、“石山ふれあい”という名前の公園があります。国道に面しているのですが、間口が狭くて両サイドに住宅が建っているため、ハルニレなどの大きくなる樹を避けて、アジサイやツツジ類などの中低木が植えられています。その中に、カンボクが5~6本あります。
このカンボクの葉は昆虫類にとって美味しいのか、それとも、栄養価が高いのか、葉がよく食害されています。しかし、昨年は特に酷く、5月上中旬に芽を出して、葉が大きくなりだしたころには
1-013 カンボク(赤字)2012.6.10
葉がまったく無くなって完全に丸裸状態でした。どんな虫がこのカンボク食害したのか、探したのですが、見つけることはできませんでした。まだ食害が進行中の他のカンボクを探してみると、いました。
1-011 カンボク 3組脚(赤字)2012.6.10
写真のピントが少しずれていますが、この虫です。昆虫は、卵、幼虫、成虫とその成長段階で形態が異なるので、その種類と見分け方についてほとんど知識がないですが、とりえず、図鑑で調べてみました。、ハムシの仲間で、“サンゴジュハムシ”のようです。
図鑑によると、
①加害樹種:サンゴジュ、ガマズミ、カンボクなど
②特徴:終齢幼虫は体長約10mm、成虫は体長7m、成虫、幼虫ともにニレハムシやイタヤハムシに似るが、加害樹種が違う。
③年1回発生。卵で越冬。幼虫は新芽のころに孵化し、葉に孔をあけて食害する。5月末~6月中旬頃土中に潜り蛹になる。2~3週間で羽化し、葉を食害する。秋に若枝に卵をまとめて産み付ける。(樹木の病気・虫害・獣害より)
石山ふれあい公園のカンボクに起こったことを振り返ると、以下のようになります。
その前年秋、2011年秋に、若枝に産み付けられた卵がその翌年の5月上中旬に孵化し、そして、その幼虫が新芽が出るか否かの時期からカンボクの新芽を食害したのです。
そして、6月中旬、美味しい葉を食べつくしたサンゴジュハムシ?の幼虫は、蛹になるためにこの樹の下にもぐってしまったのです。だから、この樹を探しても、1匹も幼虫がいなかったのです。
それから1ヶ月経った7月に、この樹を見ると、この時期で通常の葉量に比べるとぐんと少ないのですが、とりあえず新しい葉を出していました。自分の樹体内にある養分を使って、貯金を引き出して、再度、新芽を出したのです。
さらに、1ヶ月が過ぎて、8月下旬に見てみると、
1-007 カンボク(赤字)2012.8.25
まったく葉がありません。再度、何者かに食害されたのです。地下に潜っていたサンゴジュハムシの蛹が成虫になって、幼虫ではなく、今度は成虫が、カンボクの葉を食い尽くしたのでしょうか? おそらく、そう考えるのが一番理に適っています。
通常、樹木の大小はありますが、全葉量の70%が食害されても樹木は枯死することはないと言われています。しかし、このカンボクは100%葉を食い尽くされています。それも2回もです。
そのとき、このカンボクは枯死すると思いました。
1-002 カンボク(赤字)2013.7.14
2012年の翌年、2013年7月14日現在のカンボクです。生きています。細い枝は枯死していますが、太めの枝から大きめの葉、通常の葉に比べて大きめの葉を出しています。徒長枝につけるような大きな葉をしています。体力を回復するために、体内に再度養分を蓄えるために、このカンボクは必死になって光合成をしているのです。樹木はこれくらい食害されても、大丈夫のようです。昆虫に食害された場合、1年の内ほとんど葉がなくても枯死しないようです。樹木はこれくらいの食害は想定内なのでしょうか? 樹木のしたたかさ、耐える力、底力には驚きです。

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