樹皮・樹肌の履歴(その3) ケヤキ

通常、公園や街路にある樹木は、枯枝が樹木に残っていることは少なく、まして何年も放置されることはほとんどありません。 その理由は、街路樹は定期的な剪定を行うことや、公園内の樹木は枝が落果すると危険なので、気づいた時点で枝を切り落とします。 そのため、
イチョウ 2016.8.29 イチョウ
太枝を切断した面は、師部と木部の間にある形成層が円状に膨らんできて(巻き込みを形成)、最終的に切り口を完全にふさぎます。

ケヤキ 2015.8.10
ところが、護国神社横のケヤキの枯枝はまれなケースで、長さが5~6mで太さが14~15cmほどある枝がそのまま残っているのです。
この枯枝は、樹冠の下のほうで伸びていて、しかも、隣接木の樹冠が上を覆っているために光が入らなくなって、徐々に衰弱して枯れていったようです。
枯枝の基部(分岐部)に、茶褐色の枯れた部分と生きている樹皮との境界部分が灰色をしています。 そして、その部分には横に筋が幾重にも巻いていて、数えると7~9本あります。 おそらく、この枝が枯れ始めてから完全に枯れるまで7~9年かかっているようです。 太枝が自然に枯れていくと樹肌にはこのような痕跡を残すのですね。

これから2~3年?すると枯枝が脱落します。 そして数年?10年以上?、樹種による違いはありますが、それなりの年月をかけて、
ケヤキ  2015.3.26
このように傷口は完全にふさがります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA