キタコブシの花弁数

5月2日に「春を告げる樹の花」でキタコブシを取り上げましたが、各樹木図鑑で、花弁の枚数や用語の使い方が異なっていました。
①北海道主要樹木図譜では、がく片が3枚、花弁が3枚、
②北海道樹木図鑑では、花弁が6枚、
③樹に咲く花では、花被片という用語を使って、外側に小さい花被片が3枚、内側に大きい花弁状のが6片
それで、実際にキタコブシの花を調べてみました。
その前に、花被片という目新しい用語も出てきましたので調べてみました。
「花被片」とは、がくと花弁を併せて花被片という。
花の構造は、がく片、花弁、雄しべ、雌しべの4要素で出来ている。普通の花は、この4つの器官がはっきり区別できるが、チューリップなどのように、がく片も花弁も同じように発達して、両者の色や形が似ていることもある。この場合は、外側のがく片を外花被片、内側の花弁を内花被片と呼ぶ。(「世界の植物」より)
とりあえず、「花被片」の意味が分かりましたので、実際に撮ってきたキタコブシの花を見てみます。
045 キタコブシ2012.5.4
自宅近くのコブシの花です。
キタコブシの花を逆さにして、花の基部を拡大して見ています。白色の部分が一般的にいう花弁です。花の基部から細長い先の尖った緑色の1cm弱のがく片状のものが見えます。写真では2個しか見えませんが、これが3個あります。
044  キタコブシ
この写真は、同じコブシの表側を撮ったものです。
白い花弁が6枚あり、3枚を1組にして2段になっている感じです。
この花のがく片状のものは小さく、花弁とは形状・大きさ共に明らかに違います。いくつかの花を調べたのですが、写真と同じです。
この段階で、私は、「樹に咲く花」でいうように、わざわざ「花被片」という用語を使う必要はないのではないか?、明らかに形状・大きさが違いますから、がく片3個、花弁6枚でいいのではないか と思いました。
北海道主要樹木図譜については、がく片3枚、花弁3枚とするなら、小さいがく片状のものについての説明が必要です。なのに言及されていません。北海道樹木図鑑も同様です。
(初心者用には、そこまで説明するとページ数が膨大になる等の理由から省いているのだと思いますが・・・・)
5月6日、自転車で、真駒内南町にある北海道警察学校の横を自転車で走っていると、手に届くところに花が咲いているキタコブシ3本を見つけました。その樹の花を調べました。
1本目は、先日見たキタコブシと同じで、小さいがく片状のものが3個と花弁が6枚ある花でした。同じ樹の花をいくつか調べましたが、いずれの花も構造は同じでした。
次に、2本目の樹を調べました。
106 キタコブシ
花の基部の左下に、細くて先がカールしているがく弁状のものが見えます。
このがく片状のものは、最初の写真のものより大きめの形をしていますが、1個しかありません。新葉や花柄の軸に隠れて見えないのではなく、1個しかないのです。表側から見ると
107 キタコブシ
花弁数を数えてみてください。何枚ありますか?8枚です。2枚のがく片状のものが花弁に近い形状に変化しているのです。この写真では、花の中心左下に、通常の花弁ほど大きくはないですが、白くて細長い花弁状のものが見えます。これが、がく片状のものから花弁になりかけのものなのでしょう。もう一つはどれが花弁化しているのか分かりません。
この花の花弁の付き方も通常6枚の花に比べるといびつです。
4本のキタコブシしか調べていませんが、花弁が8枚ある花を持つコブシの樹には、別に、小さいがく片状のものが2個と花弁が7枚の花もありました。
キタコブシは、がくのようでがくでない、花弁のようで花弁でない、どちらともつかない中間的な形状の花が少なからず出てくるようです。
その意味で、各樹木図鑑は、そこの部分で説明が不足しているように思います。
もし書くとすると、「がく(外花被片3個)は、多くの個体は細くて小さいが、個体によっては、大きくなって花弁化することもある」ぐらいなのでしょうが、図鑑の限られた紙面からすると、字数が多すぎるのでしょうね。
以上が、キタコブシの花弁について調べた結果です。
自分で読み返しても分かりづらいです。
最後まで読んでいただいた方には、感謝します。

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