こぶ(その1) 剪定こぶ

街路樹は、⓵道路と建物の間に挟まれた狭い歩道に植えられていること、⓶上空には電線や通信線が走っていること、⓷電柱や街路灯・標識など道路の付帯施設が不規則な間隔で並んでいるために、その生育空間は極めて限られています。
2011.11.3
写真は、市街地に植えられている街路樹プラタナスです。
枝の形状を見ると、枝先が丸く膨らんでいたり、枝の途中にもこぶのように膨らんだ部分があります。 このこぶのように膨らんだ部分が剪定こぶです。 これは、同じ位置で長年剪定を繰り返し行ってきたことによってできたものです。

枝の中程にあるこぶは、一度その場所で剪定を繰り返したためにできたものですが、その後、その場所から出てきた徒長枝を伸ばして枝を長く(樹冠大きくする)したために途中のこぶになったようです。
樹冠をそれ以上大きくできなくなった場合やこぶが大きくなって醜くなった場合などは切り戻し剪定を行います。 これは、こぶを切り取って、切り口付近から出てる徒長枝を伸ばす方法です。 2012.5.26
枝先のこぶに、20cm程で切り取られた徒長枝が4本見えます。 来春、ここから枝をの伸ばして葉をつけます。 写真左側の大腸のふくらみのようなこぶ状の枝は、何年かその位置で剪定を繰り返し、少し枝を伸ばして、また何年かその場所で剪定を繰り返したためにできたこぶのようです。

それでは、どうして同じ位置で剪定を繰り返すとこぶができるのでしょうか?

ある枝を中途で切断すると、それまで頂芽優勢で休眠状態にあった切り口付近の潜伏芽が起き出し、シュート(徒長枝)が数本形成される。シュートには各節ごとに脇芽が形成されるが、シュートの基部近くには極めて小さな芽が多数あり、それがほとんど潜伏芽となる。 
そのシュートが基部近くで切除されると、切断部と基部の間にあるごく小さな潜伏芽がいっせいに起き出すので、シュートの数はさらに増える。 シュートが発生すると、そのシュートを支えるための枝の組織がシュートの組織と複雑にからみあいながら基部に被さってくる。 また、枝先から放射状に伸びた各シュートは光合成産物を基部に送るので、枝の先端部に光合成産物が集中して供給されるかたちとなり、きわめて高いエネルギー状態になっている。 ・・・・・・・・(絵でわかる樹木の知識)

上の写真で枝先のぼこぼこに膨らんだこぶは上述の説明を端的に表しています。

 

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