コチョウラン(その2) 花芽ができない

前回の投稿で、我家のミニコチョウランが2回/年花が咲く話でしたが、それ以前に花色が白の大輪系のコチョウランを育てていました。
◇お供え用胡蝶蘭◇ 白(L) 3本立ち
このような豪華なコチョウランは、鉢から取り出すと10cm程のポリポットに入った株が3つ出てきます。

⇒ お供え花ドットコム https://www.flowers-do.jp/osonaehana/item_detail/1/
より写真をお借りしました

写真のような花茎が3本立ち上がっている贈答用の、1鉢が1万円以上する、あの豪華で立派な花の咲く株と同じ性質持つ苗を購入して5年ほど育てていたのですが、一度も花茎は上がってきませんでした。 ミニコチョウランは毎年2回花を咲かせるのに大輪系のコチョウランは一度も花を見ることができませんでした。 育てている場所はリビングでミニコチョウランと同じなのですが、両者は花芽(花茎)を形成する感度が違うようです。

我家のリビングの環境は、夏場の暑い時期は別にして、年間を通して最低気温が20℃を下回らない、21~24℃くらいで、湿度が40~60%の、北海道の戸建て住宅では一般的なものと思っています。
ので、北海道(札幌)では、贈答用にいただいたコチョウランを花が終わったからといって捨てるにはもったいないと、花が咲かないまま水だけやっている株を持っている方が少なからずいらっしゃるのではないか?と思っています。

コチョウランはインドネシアやフィリピンなどの東南アジアの熱帯雨林に、昼間は28℃、夜間でも18℃くらいの温度の環境下で生育し、樹木などに根っこをへばりつけたりぶら下げたりして、空気中の水分を吸って生きている着生ランです。
コチョウランは気温が15℃を下回ると成長を停止し、10℃以下になると株が弱ってきます。その意味で、湿度は別にして、気温が年間を通して20℃を保っている住宅が多い北海道(札幌)はコチョウランにとって理想ではないにしろ、そんなに悪い生育環境ではないのです。 シクラメンやアザレアなど花の咲く鉢花はたくさんありますが、コチョウランは北海道の住宅において、鉢花の中では比較的育てやすい部類に入る鉢花だど思っています。

<コチョウランの花芽形成>

ミニ系と大輪系のコチョウランでは花芽形成(根元近くの茎のように見える部分(葉と葉の基部の間)から先の尖った緑色の小さな花茎が出てくる)において温度がどのように影響しているのでしょうか?

〇 大輪系コウチョウラン
コチョウランの花芽形成には、18℃の夜温(最低気温)が1ヵ月程度続くことが必要条件のようです。
コチョウランの自生地では1年を通して昼間の温度が28℃、夜間(最低温度)が18℃前後の気温で、いつでも花芽ができる条件にあり、株さえ充実していればいつでも花芽を形成して花を咲かせることができるのです。 ところが、このような性質のコチョウランを四季のある温帯地域に持ってくると、花芽を形成する条件が限られてしまします。 以下は札幌市の過去30年間の6月~9月までの半旬ごとの平均気温(1991~2020年)をグラフ化したものです。

コチョウランの花芽形成に必要な条件の夜間温度(最低温度)が18℃前後になる時期は、札幌の場合、7月下旬~9月上旬が当てはまります。 コチョウランを屋内ではなく屋外で育てれば問題なく花芽はつくのです。 ところが、屋外に出すとアブラムシやカイガラムシなど害虫がつきやすいので、どうして室内で育ててしまう傾向にあります。 そうすると、夜間の温度が十分に下がらす、コチョウランにとって花芽をつくりづらい環境になってしまうのです。

それでは夏場屋外で育てたくない場合、我家の場合もそうですが、どうすればいいのでしょうか?

この条件を北海道(札幌)の住宅に当てはめると、我家(札幌)の場合、10月上中旬には暖房を入れるので、室内の最低気温も21℃以上になってしまいます、なので、大輪系のコチョウランに花芽が付かない、花茎が上がってこない条件になってしまうのです。
北海道(札幌)の一般的な戸建て住宅の場合、最近は子供が独立して暖房を入れない空部屋がある方が多いと思うのですが、我家の場合、2階に陽 の当たる使ってない部屋があり、その部屋の温度を調節(サーモスタットを0~1の目盛りにセット)しておくと、真冬でもその部屋の温度は14~16℃を維持しています。
このことから10月~11月に暖房のない部屋で育て、ただし、15℃以下の温度が続くとコチョウランの生育が止まるので、その点には注意しながら、11月中下旬まで置いておくと、花芽形成に必要な「約1月間の18℃の気温」を満たすことができるのです。 そして、様子を見ながら暖かいリビングに移動するのです。 そうすれば、確実?に翌春には花を見ることができると思っています。

それでは、マンションの場合はどうすればいいのでしょうか?
マンションは玄関を含めてすべての部屋が暖かいので、夏場の成長期はベランダで外気に当てて育て、9月上中旬に室内に取り込むのが唯一の方法のように思われます。 そうすると、2月頃?から花が見られるのではないでしょうか?

〇  ミニコチョウラン
ミニコチョウランは大輪系コチョウランと違い、温度に鈍感?なようで、年間を通して室内で育てても、充実した葉が4枚あれば、毎年花を咲かせてくれます。

余計な話ですが、大輪系のコチョウランに花を咲かせるには温度条件を考慮することは必要ですが、その前に、 先ず第一に、夏場しっかり肥培管理して肉厚の張りのある葉を育てることが重要で、葉の枚数が少ない、色つやの良くない葉の株では、いくら温度管理を徹底しても花は咲かない、花茎は上がってこないのです。

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