コクワ 急須の鉉(つる)

写真は、もう30年以上も使っている急須です。 これだけ長く使っていると急須の鉉(つる)、もち手が壊れます。 もう3回壊れました。2回目まではなんとか新しいものを手に入れることができたのですが、3回目はだめでした。 このサイズの急須に合う鉉はなかったようです。長年使ってきて愛着もあるので、何とか使おうと急須の鉉(つる)をつくることにしました。 我家の近くにある雑木林から蔓を採ってきました。
それがこれです。
急須

太目の針金を急須のつるを支える穴に入れてU字型にします。  それと同じ穴に、蔓を入れて針金にまいていきます。 3本を同じように巻きました。 巻き終わったら、針金とつるを穴の部分で折り曲げて、細い針金で縛ります。 これで出来上がり。(左側の穴は、蔓を短く切り過ぎて折り曲げられなかった)。
当初、鉉の湾曲が大きくて持ち辛い感じはあったのですが、慣れてくるとそれほど使い勝手の悪さは感じません。 出来上がりの良し悪しは別にして、とりあえず、使えます。 しかし、蔓の冬芽の部分が出っ張っていて、持つときに引っかかるのが難点です。
材料はコクワ(サルナシ)の蔓です。 当初、使おうと思って探していたのはツルウメモドキだったのですが、採取したのはコクワでした。 この時期、葉を落とした蔓はコクワもマタタビもツルウメモドキも同じに見えてしまします。

以下は3種の冬芽
ツルウメモドキマタタビコクワ
左から、ツルウメモドキ、マタタビ、コクワ

<余談>
急須の鉉(つる)だから、「蔓ならなんでもいい」と思っていたのですが、調べてみるとコクワが正解だったようです。
更科源蔵著 “コタン生物記” には、「実をとるばかりではなく、この細い蔓は自由に曲がるので、深雪の上を歩くときの雪輪(かんじき)の一種であるチルンというのをつくった」とあり、
また、“世界の植物”では、
「サルナシのつるはじょうぶでくさりにくいから、杖、かんじき、※もっこなどをつくったり、いかだなどをしばるのによく用いられ、木曽地方にはイカダムスビの方言名がある。 徳島県祖谷(いや)川の蔓橋(かずらばし)の材料もサルナシである。・・・・」とあります。

徳島県祖谷(いや)川の蔓橋  →  http://setouchifinder.com/ja/detail/830

※もっこ:担い運搬用具の一種。わらむしろあるいはわら縄,フジづるなどを網目状に編んだものの四隅に吊紐をつけ,てんびん棒を使って運ぶ。本体は網目状のものが多いが,袋状のものや皿状のものも見られる。その名称は,元来〈もちこ(持籠)〉から変化したといわれている。形状が不定なものを盛って運ぶのに適しており,土砂,堆肥などがおもな対象である。また,農作物を運ぶ際にも用いられた。(コトバンクより)

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