活性酸素と抗酸化物質

自分がその年齢になってしまったのか、まだ真っ暗な午前5時頃に目覚めてしまうことが多くなりました。何もすることがないのでテレビをつけると、やたら健康食品やサプリメントの宣伝を兼ねた番組が延々と流れています。その中で「抗酸化物質」という言葉を時折耳にします。
この「抗酸化物質」とは、人間が生命維持活動をする上でどうしても体内に発生する活性酸素の働きを抑えてくれる物質です。

人間は食べ物を胃腸で細かく分解し、その分解された食物は小腸で血管内に吸収されて体全体の細胞に運ばれます。細胞に運ばれた栄養分はエネルギーに変換されて人間の体温維持やあらゆる行動を支える源になります。
細胞に運ばれた栄養分が分解されてエネルギーがつくられる過程で多くの酸素を必要とします。空気中の酸素は比較的安定していますが、呼吸によって体内に取り入れられた酸素は、エネルギーを作り出す代謝過程(細胞内で起こる化学反応)で不安定な状態になり、近くにある物質と盛んに結びつき、酸化力が強い「※活性酸素」が生成されます。生きていくために吸った酸素から毒性の強い活性酸素が作り出され、細胞を酸化して傷つけ、それは鉄に例えると、真新しいきれいな鉄が赤く錆びてぼろぼろになったのと同じ状態で、がんや生活習慣病、老化などを引き起こす一因になります。酸素を吸って生きている人間にとって、代謝の過程で発生する活性酸素の害は避けることができないのです。

※活性酸素呼吸によって取り込まれた酸素の一部が通常よりも活性化した状態のことで、ヒトを含む哺乳類の場合、取り込んだ酸素の数%が活性酸素になるといわれている。白血球から作られる活性酸素は細胞伝達物質や免疫機能としての働きがあり、私たちの身体の働きを正常に保つうえで不可欠な役割を担っていている。

この活性酸素といち早く結びついて細胞に害を与えないようにしてくれるのが抗酸化物質で、※ポリフェノール類やカロテン類、ビタミンCやビタミンEがあります。ポリフェノール類では、ワインやブルーベリーで有名なアントシアニン、大豆のイソフラボン、ソバのルチンなどがあります。カロテン類では人参のβーカロテンやトマトのリコピンなどです。
人間の体にはもともと体内で抗酸化酵素(酸化作用を持つ酵素)が作られ、活性酸素の抑制に働いていますが、抗酸化酵素を作り出す能力は20代をピークに低下し、抗酸化作用は加齢と共に減少してくのだそうです。なので、野菜や果物を多く摂りなさいと言われる所以なのです 。
※ポリフェノール類;ポリフェノールは、ほとんどの植物に存在する苦味や色素の成分で、自然界に5,000種類以上あると言われています。ポリフェノールは抗酸化作用が強く、活性酸素などの有害物質を無害な物質に変える作用がある。(健康長寿ネットより)

それでは、植物はどうでしょうか?
植物は動物と違って、光エネルギーと二酸化炭素と水から有機物のデンプンを合成しています。それを使って呼吸による生命維持活動と自分の体を大きくしています。
ところが、面白いことに、植物は光合成に必要な光エネルギーを吸収する際に必要以上のものを吸収してしまうのです。その余った光エネルギーが化学反応を起こして活性酸素を作り出すのです。

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また、球根や樹木の新芽が赤くなっているのを見かけます。 生長すると赤色は消えて緑色になるのですが。 この赤く染まる原因は、新芽や若い葉は紫外線を受けるとそれに伴い発生する活性酸素の害を受ける、受けやすいのです。

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それを防御するために、植物も人間(動物)と同じように体内で抗酸化酵素を生成しているのですが、その他に人間には体内で合成できないポリフェノール類やカロテン類などの抗酸化物質を生成して活性酸素がもたらす害を防いでいると考えれれています。

植物と人間(動物)は外見的にも中身的にも 全く違うものなので、両者は何もかも全てが違ったものであるかのように想像しがちですが、細胞レベルで見ると、植物も動物も細胞内では化学反応を起こして有機物を分解してエネルギーをつくる代謝もしくは呼吸を行っています。生命維持における活動?作用?という点ではほとんど同じなのです。
植物と動物の違いを根源的というか細かい部分は別にして大まかに言うと、有機物を合成できるかどうか?、光合成をする葉緑体をもっているかどうか ?です。 そう考えると細胞レベルでは、動物より植物の方がある意味で高等?、進化している?、より複雑な組織体である?ように思えるのです。

 

 

 

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