キュウリ

キュウリの記事を読む前に、写真(イチョウ)の下にメニューが並んでいます。 その真ん中あたりに 「野菜の花(随想)」という項目があります。、そこをクリックしていただくと、この「野菜の花(随想)」を設けた経緯(趣旨)を書いていますので、読んでいただければありがたいです。

<花の命は1日>
夏の朝は早く、空気が澄んでしじまのころ、開いた鐘状形、5深裂した※1キュウリの花は、鮮やかな黄色で、葉の濃緑にひときわ映えて、実に美しく感じられます。 花は早朝に咲いて、太陽の光が強くなると次第に色があせ、午後になるとしぼんで、翌日には花梗から離れて落ちてしまいます。

キュウリ 雄花※1:キュウリの花
花の付け根がキュウリの元となる膨らみがあるかないかで雄花か、雌花かを区別するのでだそうです。キュウリは、今、流通している品種はほとんど単為結果性といい、雌花に雄花の花粉が付かなくても実が大きくなるようにできているのだそうです。

 

 

「関東のキュウリは、頃合の形で色が青く、イボがたくさんある。匂いも強いようだ。それを見ると、今年も夏が来たなと思う」 と獅子文六の食味歳時記にあります。 かつて、食べ物には旬があり、ことに野菜は季節色が豊かでしたが、ビニールハウスで周年栽培され、輸送や貯蔵が発達した現在では、初ものという言葉は忘れ去られてしましました。

野菜のなかで、一番多くお金を出して食べているのがキュウリであることを意外に知らない方が多いようです。札幌市中央卸売市場の年間取扱量から推測すると市民一人当たり10kg以上もたべていることになります。

<原産地はインド?>
キュウリの野生種は発見されていませんが、原産地はインドあたりといわれ、わが国には1000年ほど前、中国を経て渡来したようです。 江戸時代の農書に「黄瓜又の名は胡瓜、是下品の瓜にて賞習(しょうはん)ならずといえども、諸瓜に先立て早くできるゆへ、いかに多く作る物なり、都にまれなり」 とあり、貝原益軒の書には 「瓜類の下品也、味よからず」 とも記されて、評判の悪い野菜のようでした。 後の世に、キュウリがこれほど重要な野菜になろうとは、時の農聖もゆめご存知なかったようです。

都会の文化人から、下品な野菜として敬遠されながらも庶民には愛好され、地方に土着して交雑や改良が加えられて、刈葉(新潟)、加賀(石川)、馬込(東京)」、落合(埼玉)など、地名が付された数多くの品種が成立しました。 北海道にも、旭川で改良された小城胡瓜があることは有名です。

<むかし漬物、いまサラダ>
私達の小さいころ(、筆者は昭和3年生まれ)の記憶にあるキュウリは、三尺胡瓜といわれたように大型で、いぼも黒く大きく、種が入っており、漬物が主な用途でした。 しかし、現在(昭和50年前半)はそのころと食生活もすっかり変わって洋風化され、生食されるものが多くなり、これに合わせた品質の要求が強くなりました。品種改良もこの方向に進み、果皮が薄くて肉質が良く、いぼが小さく色沢のより白いぼキュウリに変わってしまいまいました。

<曲がりも愛して>
人間にもへそ曲がりがあるように、キュウリにも曲がりが多いことは、作った経験のある方なら誰でもご承知のことと思います。 ※2 曲がりキュウリは価格が安く、最盛期には、そのあまりの安価格のゆえに出荷できないこともあります。キュウリは切って食べるもの、漬け物には安い曲がりキュウリを愛好してくださいと、キュウリの声が聞こえるようです。
(札幌市農業センター 林 繁)

※2:曲がりキュウリ
家庭菜園で7月に収穫するキュウリは、スーパーで売っているような真っすぐなものが多いのですが、8月以降になると、たくさん採れて食べきれないために、2~3日畑を見ないでいると、長さが30cm以上で太さも10cm近くもあるようなキュウリがぶら下がっていることがあります。 そんなこともあってキュウリの株自体も弱るのでしょうか、曲がりくねったキュウリが多くなり、まともなものの割合が少なくなります。 自分の家で食べるので、曲がっていようが多少太かろうが味は変わらないので何も気にせず料理に使っていますが、この曲がりキュウリ、栽培農家さんにとっては、漬物業者さんには引き取ってもらえるのでしょうが、市場には出荷できない、やっかいなものなのでしょうね。
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