ミニトマト 青い実を着色

毎年、お盆を過ぎたころから、雨が降った後、赤く熟したミニトマトが実割れして食べられなくなることが多くあります。 9月に入ると、収穫されない実の割れた赤いミニトマトが株に一杯ついたままになっています。
もう一つ、9月半ばを過ぎると、実が赤くならないので、そのまま放っておいてしまします。 もったいないので、今年は、青い実を採って、室内に入れてみました。
理由は、トマトの実が赤くなるのは温度によるためです。
ミニトマト
2015.9.20
収穫した未熟のミニトマト。 やはり、未熟だけあって、実も小さめなものが多い。 このボールを陽の当たる窓際に置いておきました。

ミニトマト
2015.9.24
幸い、収穫後の3日間(9月21日,22日,23日)は好天が続き、4日目には赤くなってきました。 食べてみると直接に採ってきたものと、味はさほど変わりません。 食べられます。 ところが、収穫後1週間過ぎると、果実表面がシワシワになるミニトマトが目立ってきました。 なぜか、実割れするものや、実と実が重なっている部分が薄黒く変色しているものが多いのです。 味も少し落ちるようようです。 我家の名シェフも料理に使いたがりません。 室内で赤くしたミニトマトは、日持ちが悪いので直ぐ食べる必要があるようです。

<余談 その1>
トマトが赤く色づくのは温度によりますが、正確に言うと積算温度によります。 毎日の平均温度(おおよそ朝9時の気温)を足していった値が、積算温度です。 果樹や果采類では、収穫までの積算温度が概ね決まっています。 トマトでは、開花から900度、ミニトマトは、800度になると収穫期を迎えます。 札幌の夏場の平均気温は、6月:16.7℃、7月:20.5℃、8月:22.3℃ですので、ミニトマトの花が7月1日に咲いたとすると、800℃÷20.5℃=39日となり、開花から39日後の8月10日前後に食べられることになります。  トマトの場合は、900℃÷ 20.5℃=45日でお盆の頃になります。

<余談 その2>
トマトの果実が成熟するにつれて、葉緑素が分解しみどり色が消え、残ったカロテノイド、さらに果実の表皮、果肉で盛んに合成されるカロテノイドによって、それぞれの品種に特有のトマトの果実の色をもつようになります。 カロテノイドはトマト果実に限らず、全ての植物、動物に含まれ、現在までに750種以上のカロテノイドが分離されています。その化学構造から、カロテノイドは(1)カロテン(炭素と水素のみからできている炭化水素)、 (2)キサントフィル(炭素、水素以外に酸素も含む)に分けられますが、それぞれが特有の色をもち、動物、植物に多彩な色調を与えています。トマトの果実に特有の赤い色はカロテンの一種であるリコペンによるものであり、一方、アルファーカロテン、ベーターカロテンを主に含んでいるトマトは黄色になります。他のカロテノイドや、それぞれのカロテノイドがどの割合で含まれるかによって、多くの品種特有の、多彩な、赤色と黄色の中間色になります。
植物に含まれるカロテノイドは、葉や果実など太陽光が当たる組織に多く含まれています。太陽の強い光によってこれらの組織に活性酸素が生じやすく、ヒトの皮膚が日焼けによって痛められるように、活性酸素は植物の組織を痛めます。トマトの果実を初め植物の組織にカロテノイドが多いのは、カロテノイドが活性酸素を効率よく消すことができ、葉や果実の組織を活性酸素から守るためです。カロテノイドを合成できない植物の変異種は、太陽光の下では生育できません。このように太陽光の下で育つ植物は、ヒトの体の中でも常に生じている活性酸素を消し去るカロテノイドなどを多量に含んでいるため、1日に300 〜400gの野菜、果物を摂取することが健康のために薦められています。(日本植物生理学会:みんなの広場より)

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