レンギョウ(その2)あんなに花を咲かせたのに種子がない?

レンギョウの花は、エゾムラサキツツジと共に春一番に咲き、株全体を真黄にするその鮮やかは、周辺をパッと明るくしてくれます。春を告げる花です。
1-077 レンギョウ2012.4.30
4月下旬から咲き出した花は、5月中旬には終わります。
それからしばらくして、7月に種子の写真を撮ろうと、株の中を覗き込むのですが種子がないのです。あんなにたくさんの花を咲かせていたのに、種子が全くないのです。
1-066 レンギョウ2012.10.7
樹木図鑑を調べると、雌雄異株と書いてあります。
それで、たくさん株をまとめて植えてるあるところで探してみました。なかなか見つかりません。やっと見つけて撮ったのがこの写真です。(樹に咲く花:長さ1.5cmほどの長卵形で、先はとがり、表面に粒状の皮目(白色の粒粒?)がある)
1-130.jpg2012.4.30
それにしても、どうして種子をつけないのでしょうか? つけられないのでしょうか?
調べてみました。そこには、植物の進化の過程でできた仕組みと人間の経済性(大量生産のシステム)が関わっているようです(この書き方は、少し?相当大袈裟ですが・・・・)。
先ず、植物の進化の過程で備えた仕組みとは、どういうことかといいますと、
植物は長い進化の過程で、子孫を残すためにいろいろな方法を生み出してきました。その一つとして、近親相姦を避ける仕組みがあります。多くの被子植物はこの仕組みを持っているそうです。たとえば、サクランボを庭に植えるとき、「1本じゃだめだよ、違う種類のサクランボをもう1本植えなさい」と言われます。 同じ樹の中の花同士ではうまく受精、受粉できなのです。これを自家不和合性といいます。この自家不和合性には同型花タイプと異型花タイプがあり、レンギョウは異型花タイプに属するのだそうです。これは、個体によって花の形が違うのです。雌しべが長く雄しべが短いタイプ(長花柱花)と雌しべが短く雄しべが長いタイプ(短花柱花)の二つのタイプがあり、2つのタイプが集団中にほぼ1対1の割合で存在し、同じ花型どうしの交配では受精、受粉がうまくいかず(不和合)、異なったタイプで受粉したときのみ種子ができるのだそうです。
それなら、公園のレンギョウにも異なったタイプのレンギョウが混ざっていても良さそうですが、実際には種子をつける株がほとんどないのですから、そうではなさそうです。同型花タイプの株が大量に植えられているのです。
それは、苗木生産者が、同じ品質のレンギョウを安定的に大量に生産するために、種子で増やすより、挿し木などの栄養繁殖で生産するほうが効率的で経済的であると考えて、同じ遺伝子を持った株(同じタイプ花)を大量に生産しているのです。ある苗木生産者は、長花柱花タイプの株を大量生産し、他の生産者は短花柱花タイプの株を生産しているかもしれませんが、同じ公園で違うタイプの株が植えられることはほとんどないようです。
この自家不和合性と大量生産の二つの要素が公園のレンギョウに種子をつけさせないようです。
<余計な話>
今回、幸運にも種子の写真が撮れたのは、同じ遺伝子を持った株の集まりの中でも、何かの拍子で、何かの手違いで?受精、受粉がうまくいく場合があるということでしょうね

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