レンギョウ  百合が原公園

札幌は春本番を迎えたと思ったら、一昨日(5月3日)は最高気温が24℃、今日も23℃まであがりました。 つい最近まで防寒着と手袋、ニット帽とネックウォーマーの出で立ちで自転車に乗っていたのですが、今日は半袖・ショートパンツです。 札幌は春の訪れから真夏に時空移動したようです。

札幌市の東北部にある百合が原公園に行ってきました。 公園全体の樹林は遠くから見ると冬枯れ状態ですが、エゾヤマザクラやキタコブシがちょうど満開でした。
2017.5.3
サイロの左右に見える白い花がキタコブシ。

サイロについて(百合が原公園公式サイトより)
百合が原公園のある地域は以前は酪農地帯で、公園も元は牧場でした。
サイロは、牧草や飼料を空気(酸素)に触れないように保存し、飼料作物に付着する乳酸菌を活用して発酵させることで長期間の保存を可能にするための装置(建物)です。
牧場が公園に生まれ変わる際、この土地が酪農地帯であった軌跡として保存されることになりました。

2017.5.3
園路沿いに植えられているレンギョウ。その黄色の鮮やかさは人の目をひきつけます。 このようにマスで植えられていると、その黄色に圧倒されます。
手前の褐色の葉はカツラの芽吹き(生垣)
2017.5.4

レンギョウ(チョウセンレンギョウ) 冬芽

2016.11.16
冬芽は対生し、※仮頂芽および枝先の側芽は発達しないで、中~下位の側芽が発達する。 冬芽は紡錘形ないし長だ円形で、先がとがり、基部は細まり、長さ4~8mmあって、短柄をもつ。 しばしば発達した予備芽をともない、ときには平行予備芽さえもつける。 これらは花芽であることが多い。芽鱗は褐色ないし、帯赤褐色をし、無毛で6~9対が覆瓦状に重なる(この写真の冬芽は、11月半ばに撮っているにも関わらず、芽鱗が破れて芽が少し動き出しているようです)
1年生枝は、帯紫褐色ないし帯緑褐色をし、無毛で、4稜をもち、四角柱状になる。(落葉広葉樹図譜より)。
※仮頂芽:冬季や乾期に枝先 (頂芽) が枯死し、最 上位の側芽が頂芽のように振る舞う場合、これを仮頂芽(pseudoterminal bud)という 。 例:ライラックの冬芽は枝先に対で付つく

レンギョウ(シナレンギョウ)とチョウセンレンギョウの違い
この2種の違いを植物図鑑などで調べると、
・チョウセンレンギョウはレンギョウ(シナレンギョウ)より葉の幅が広く、鋸歯が鋭くて多い、また、シナレンギョウは枝が直立するので区別できる(樹に咲く花)。
・チョウセンレンギョウの冬芽は円錐形<レンギョウ:水滴形:レンギョウ(シナレンギョウ)のほうが丸みを帯びている>で枝は弓なりに長く伸びるが、レンギョウ(シナレンギョウ)は枝は長く垂れ髄は中空(冬芽ハンドブック)。
・チョウセンレンギョウの髄は薄板が階段状につく、レンギョウ(シナレンギョウ)より花の量が多い。道内ではレンギョウより多く植えられる(北海道樹木図鑑)。

レンギョウ(シナレンギョウ)の樹形については、樹に咲く花では枝が直立する、冬芽ハンドブックでは垂れると記載されており、はっきりした違いはないようです。
枝を切って中の髄を調べたり、はっきり区別できる2種の葉を調べれば、その違いを判別できるかもしれません。 しかし、公園や庭先のレンギョウを見ても、その多くが剪定されているため、樹形や葉の形状だけでは、その違いを明確に区別はできないようです。

ただ、、北海道樹木図鑑で、「チョウセンレンギョウはレンギョウ(シナレンギョウ)より花の量が多く、道内ではレンギョウより多く植えられている」と書かれているので、私たちが普段公園や近所で見かけるレンギョウはチョウセンレンギョウと思ってもいいのかもしれません。

 

 

 

 

 

レンギョウ(その2)あんなに花を咲かせたのに種子がない?

レンギョウの花は、エゾムラサキツツジと共に春一番に咲き、株全体を真黄にするその鮮やかは、周辺をパッと明るくしてくれます。春を告げる花です。
1-077 レンギョウ2012.4.30
4月下旬から咲き出した花は、5月中旬には終わります。
それからしばらくして、7月に種子の写真を撮ろうと、株の中を覗き込むのですが種子がないのです。あんなにたくさんの花を咲かせていたのに、種子が全くないのです。
1-066 レンギョウ2012.10.7
樹木図鑑を調べると、雌雄異株と書いてあります。
それで、たくさん株をまとめて植えてるあるところで探してみました。なかなか見つかりません。やっと見つけて撮ったのがこの写真です。(樹に咲く花:長さ1.5cmほどの長卵形で、先はとがり、表面に粒状の皮目(白色の粒粒?)がある)
1-130.jpg2012.4.30
それにしても、どうして種子をつけないのでしょうか? つけられないのでしょうか?
調べてみました。そこには、植物の進化の過程でできた仕組みと人間の経済性(大量生産のシステム)が関わっているようです(この書き方は、少し?相当大袈裟ですが・・・・)。
先ず、植物の進化の過程で備えた仕組みとは、どういうことかといいますと、
植物は長い進化の過程で、子孫を残すためにいろいろな方法を生み出してきました。その一つとして、近親相姦を避ける仕組みがあります。多くの被子植物はこの仕組みを持っているそうです。たとえば、サクランボを庭に植えるとき、「1本じゃだめだよ、違う種類のサクランボをもう1本植えなさい」と言われます。 同じ樹の中の花同士ではうまく受精、受粉できなのです。これを自家不和合性といいます。この自家不和合性には同型花タイプと異型花タイプがあり、レンギョウは異型花タイプに属するのだそうです。これは、個体によって花の形が違うのです。雌しべが長く雄しべが短いタイプ(長花柱花)と雌しべが短く雄しべが長いタイプ(短花柱花)の二つのタイプがあり、2つのタイプが集団中にほぼ1対1の割合で存在し、同じ花型どうしの交配では受精、受粉がうまくいかず(不和合)、異なったタイプで受粉したときのみ種子ができるのだそうです。
それなら、公園のレンギョウにも異なったタイプのレンギョウが混ざっていても良さそうですが、実際には種子をつける株がほとんどないのですから、そうではなさそうです。同型花タイプの株が大量に植えられているのです。
それは、苗木生産者が、同じ品質のレンギョウを安定的に大量に生産するために、種子で増やすより、挿し木などの栄養繁殖で生産するほうが効率的で経済的であると考えて、同じ遺伝子を持った株(同じタイプ花)を大量に生産しているのです。ある苗木生産者は、長花柱花タイプの株を大量生産し、他の生産者は短花柱花タイプの株を生産しているかもしれませんが、同じ公園で違うタイプの株が植えられることはほとんどないようです。
この自家不和合性と大量生産の二つの要素が公園のレンギョウに種子をつけさせないようです。
<余計な話>
今回、幸運にも種子の写真が撮れたのは、同じ遺伝子を持った株の集まりの中でも、何かの拍子で、何かの手違いで?受精、受粉がうまくいく場合があるということでしょうね

春を告げる樹の花(その1)

002 レンギョウ2012.4.27
この時期に、最も目立つ樹の花は、やっぱりこのレンギョウです。南区では写真のように、まだ、つぼみのレンギョウが多いのですが、都心部に行くと
 055 レンギョウ 札幌市総合福祉センター2012.4.29
今が盛りと満開です。
058.jpg2012.4.29
モクセイ科 中国原産で、高さ2~3mの落葉樹、髄は中空。雌雄異株
葉の特徴:卵形で長さ4~8cm、鋸歯縁(葉にギザギザがある)若枝の葉は、ときに3出複葉、対生。(北海道樹木図鑑より)
雌雄異株と書かれています。レンギョウには雄花の株と雌花の株があるんですね。
007 レンギョウ2011.5.7
大通公園のレンギョウです。上部の枝を刈り込んでいるようです。こじんまりとした樹形になっています。
レンギョウの枝は暴れやすく、上から2枚目の写真のように、枝が細長く飛び出して、樹形が乱れやすいです。この性質が嫌われ、強く剪定されてドウダンツツジのように丸い形をしたものを見かけます。そんな風に強く刈り込まれても、ちゃんと花を咲かせています。レンギョウが各家庭で植えられている理由は、ただ鮮やかな黄色の花がきれいだけではなく、どんな樹形にしても、ちゃんと花をさかせてくれるところにあるのですね