小金湯さくらの森 サトザクラの自根発生促進処理

7月25日(月)に、小金湯さくらの森公園で、サトザクラに自根発生促進処理を行ってきました。

この公園には今春、開花時期に2度来ているのですが、それ以来です。 今年は昨年に比べて雨も多く降っているので、サクラは順調に生育しているようです。 特にビジターセンター正面左右に植えられている大きなサクラは、昨秋根元に堆肥を施してもらったことで、今夏は枝葉が大きく伸び、葉色も濃くなっています。 植物は正直です。すぐ反応してくれるというか、管理をしている方の気持ちに素直に応えてくれているようです。

前置きが長くなりました。 話をサトザクラの自根発生促進処理に戻します。 この処理(作業)は、今春、「小金湯さくらの森公園の現状と課題」という報告書を当公園の管理者に提出したのですが、その中で、サトザクラについて言及しています。 以下は報告書の一部抜粋引用

(1)接木苗(挿し木と実生の違い)

台木による植え方の違い(日本花の会HPより)

写真1 当園のサトザクラ(ヤエザクラ)の地際

当園に植えられたサトザクラ品種は、アオハダザクラの挿し木を台木にした接ぎ木苗が使用されている。挿し木接木苗は実生台木苗に比べるとその後の成長が遅いために、穂木の自根を出させる目的で接ぎ木部分を土中に埋める。しかし深植えになる恐れがあるため、植栽時には接ぎ木部分を少し土で盛って被うなどの工夫・技術が必要となる。 ところが、当園に植栽されたサトザクラの地際(写真1)を見ると、ほとんどの台木が地上部に出ている状態である。このことは、サトザクラを順調に生育させるには不適切な植え方で、これがサトザクラの生育不良の一因と考えている。

(2)サトザクラ類接ぎ木株の自根発生の方法について

当園のサトザクラ類の成長が極めて悪い原因は、その植え方と根頭がんしゅ病の発生が大きな要因と考えている。後者の根頭がんしゅ病については後述するが、前者の植え方については、花木のボタンを例にとると、園芸店で販売されているボタンのほとんどはシャクヤクを台木に接ぎ木したものである。シャクヤク台木は数年もすると枯れる場合や、自根が出ていないものは十数年で枯れると言われている。そのため自根を出させるために5~10cm程穂木を地中に埋めるのが通常のようである。上述の日本のさくらの会HPの植え方(図1)と、このボタンの植え方を参考に、来春、試験的に穂木自根の発生伸長を促す処置を行ってみては?と考える。具体的には、地上部の出ている挿し木台木部分に直径60cm程の円錐形の盛り土をして、穂木部分を5~10cm埋めて自根の発生伸長を促す方法である。降雨で盛り土が流され台木が露出する可能性が高いので、根の発根伸長には少々不適格であるが、粘土質系の土壌を用いてはどうかと考えている。

ということで、成長の悪いサトザクラの根元に土を盛って穂木(挿し木台木からではない)から自根を出させるための処理(作業)を行ったのです。 2022.7.29
根元周りに土が盛られていますが、これは7月上旬に施された堆肥(動物ふんにおがくず等を混ぜたもの)で、サトザクラの成長を促すためのものです。2022.7.25
根元に盛った堆肥を一旦直径40~60cmの大きさで外側に広げて、挿し木台木を地表に出します。 写真では根元の丸く膨らんだ部分。
2022.7.25
写真は、挿し木台木(根元の膨らんだ部分)の樹肌表面に現れた根頭がんしゅ病と思われるブツブツを除去しているところ。 上の写真1参照2022.7.25
挿し木台木部分の表面をナイフなどで削り取り、それと併せて穂木の一部も削りとります(その部分から自根を出させる) その処理後に、トップジンMペースト(殺菌剤)を塗布。
2022.7.25
塗布したトップジンMペーストは30分程で 乾くので、その後に穂木5cm程度を被せるように赤玉土と土壌改良材を半々にませたものを入れて埋め戻します。 写真のように、台形状の盛り土の外側が堆肥で内側の根元部分に赤玉土と土壌改良材を半々にませた土が入っています。
おそらく、1ヵ月(8月下旬)もすると発根してくると思っています。
サトザクラの来年の成長が楽しみです。

<余談 寄生バチ>
2022.7.25
写真の黄色い葉の上にいるケムシはマイマイガ?の幼虫です。 動かないので死んでいるようです。 その周りに白い卵のよなものが十数個付着しています。
これはコマユバチのさなぎのようです。

コマユバチの成虫がマイマイガ?の体に卵を産んで、その卵は幼虫になり、マイマイガの体内を食い荒らしながら生長して、その時期になると体外に出て、マユをつくりサナギになります。それが写真の白い細長いものです。上の写真は、コマユバチの幼虫がマイマイガ?から脱出して白い眉をつくったところなのでしょう。
話はこれで終わらないのです。
パソコンで調べると、その体外から脱出したばかりのコマユバチの幼虫は外敵には無防備なのでその幼虫の傍に身を寄せて守ってもらうのだそうです(マイマイガの幼虫はコマユバチの幼虫を守っていると思っているかどうかわかりません)。おそらく、コマユバチが体外に脱出するころにはマイマイガ?の幼虫は体内を食い荒らされて瀕死の状態なのでしょう。 その傍でコマユバチの幼虫は眉をつくるのです。
⇒ エゾシロチョウ  ボケ

 

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