イチョウ  道庁前

台風22号は日本列島に沿って北上しながら温帯低気圧になり、現在(10月30日午前)北海道の東方海上にいます。 そのまま北上して、その勢力は938ヘクトパスカルまで気圧を下げるようです。 台風が温帯低気圧なって、それが発達して大型台風並みになる?、今まで経験したこともないようなパターンです。

その影響で、札幌でも雨風が強いです。 昨日まで、イチョウの葉が風で道路上を舞っていたものが、今日は歩道にべったりと張り付いています。 急ぎ足で歩いていると滑ることもあります。 自転車で急ブレーキをかけるとスリップして危険です。 気を付けてください。

札幌は、紅葉も終盤に差し掛かっています。 そして、この強風です。 我家から見える豊平川沿いの山肌は数日前まで黄色に輝いていたのですが、明朝見るものは褐色の、ものさみしい冬枯れに様変わりしているのでしょう、きっと。 長い長い冬の始まりです。

今回の話題は道庁前イチョウ並木
] 2017.10.29
昨日、道庁前のイチョウ並木の黄葉を見てきました。 ちょうど見頃で、赤レンガ庁舎やイチョウの樹を背景に写真を撮ったり、黄葉がめずらしのか?イチョウの樹をじっと見つめている人など、観光客でにぎわっていました。
道庁のイチョウ並木は、北3条通の起点である道庁から駅前通までの一丁間(約100m)に、5~ 8m程の間隔で29本植えられています。 当初は32本植えられたようですが、現在は、北側(日本生命札幌ビル側)が14本、南側(三井赤レンガテラス側)15本。 樹高は15~18mで、幹径は40~80cmくらいでしょうか。
2017.10.29
この写真は、道庁前イチョウ並木と同じ北3条通で、駅前通を挟んで反対側(東側)のイチョウの街路樹。
道庁前イチョウ並木はきれいに黄葉していますが、同じ道路でも、こちら側のイチョウは黄葉の進み方が遅いようです。
イチョウがいつから黄葉するか?は、それぞれの個体の差によるところが大きいのですが、この違いを見ると、樹齢も関係あるように思えてしまします。
 2017.4.7
4月初め、芽出し前のイチョウ。
このイチョウ並木は、大正14年(今から93年前)に木塊舗装(道南地方のブナ材から、長さ15cm、幅9cm、厚さ8.5cmの木片をクレオソート油にコールタールを混ぜた防腐剤を注入したものを敷き詰める)の完成を記念して、当時としては北海道では入手困難だったイチョウを東京土木事務所から譲り受けて、樹齢19年生ものが植栽されたそうです。 今年(2017年)で112年生になります。 北海道で現存する最も古い並木です。 2014.10.7
10月初め、黄葉まで1ヶ月前のイチョウ。

<余談(その1):街路樹としてのイチョウ>

日本で一番多い街路樹は何でしょうか? イチョウです。 次はサクラ、ケヤキと続きます。 それでは、札幌市ではどうでしょう?  赤い実の生るナナカマド。 2番目がイチョウで、3番目がニセアカシア。 イチョウは全国的に多く植えられている樹種です。 縦長の円錐形の樹姿が特徴で、秋に黄葉がきれいです。 これらのことがイチョウが街路樹として一番多く植えられている理由ではないのです。
それは、イチョウが街路樹として管理する側にとって最も理想的な樹種だからです。

一つ目の理由として、病虫害に強く、それが原因で枯死することもないことです。 ニセアカシアではベッコウタケで根株が腐朽します。 プラタナスはプラタナスグンバイが付いて夏場葉が白っぽくなり、また、炭そ病で春期に早期落葉して、枯死する樹も出てきます。 これら落葉広葉樹は、どうしても病虫害の被害が発生します。 その点、イチョウは全くと言っていいほど病虫害にはやられないのです。

二つ目は、比較的成長が遅く、4年に一度程度の剪定で済みます。 プラタナスやニセアカシアは年に1回の剪定が必要です。 これは、剪定費を抑えられるので管理者にとって大変助かります。

三つ目は、太い枝を切る強剪定をしても切り口から芽吹きをしてくれて、樹形を作りやすい樹種、剪定しやすい樹種なのです。

四つ目は、根が地中に深く入る深根性です。 これは台風など強風で倒されにくいのです。 街路樹の場合、車が横を常時走っているので、倒れると大きな事故の原因になります。 強風に強いことは、街路樹にとって重要な要素です。

このように、街路樹を管理する者にとって、病虫害に強く、剪定がしやすく、維持管理費が低く抑えられて、強風に強い、街路樹にとってうってつけなのです。 これが、日本で街路樹として一番多く使われている理由です。

<余談(その2)>

もう10年以上前の話になりますが、道庁前イチョウ並木を管理している方から聞いた話です。
事務所にイチョウに関する苦情があって、その内容が、
「道庁前のイチョウ並木の枝が伸びすぎていて、赤レンガ庁舎が見づらくなっている」
というもので、現場に行って確認したが、伸びていると言えば伸びているようだけれど、苦情を言われる程伸びてるとも思われない。 これは個人的なセンス、感覚なので、いちいち気にしていてもしょうがないが、それでも、苦情となるとやはりどの程度やるか?は意識する。 業者への指示もそれなりに慎重になる」
との話です。
街路樹でも全国的に有名になると、それを管理する側にとっては、一般的な道路に植わっている街路樹と違って、それはそれなりに難しい部分が多々あるようです。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA