イヌエンジュ(その5)

イヌエンジュは新芽が目を引きます。5月中旬、銀白色の新葉が開きます。
1-017 イヌエンジュ 柏ヶ丘2012.5.20
これは、国道453号線真駒内橋(エドウィン・ダン記念公園近く)から柏ヶ丘団地の斜面を撮っています。銀白色~萌黄色の新葉が斜面を連続して覆っています。
①冬芽
1-RIMG0033(赤字)2012.12.15
冬芽 : 形は広卵形で大きさは1cm前後。芽鱗の枚数は少なく2枚のものが多い。芽鱗に短毛が密生。
葉痕 : 形は半円系で、維管束痕が3個で、枝側に寄ってつく。
花軸 : 今年の夏に咲いた花の軸
枝  : 枝にも短毛が密生。接写すると、毛が密生しているのがリアルにわかります。黒い地肌に蜜毛が被うため白っぽく見えます。
実鞘 : 成熟した実(残念ながらピンボケ)
1-RIMG0035(赤字)2012.12.15
②新芽~若葉
1-060.jpg2012.5.17
5月中旬頃芽が吹きます。 葉全体が蜜毛に覆われていて、それで銀白色に光ります。
1-002 イヌエンジュ2011.5.22
芽吹きから1週間前後、銀白色に輝く新葉が目を引きます。
1-027 イヌエンジュ 真駒内めぐみ公園2011.6.2
しかし、銀白色の新芽から若葉に変わる頃、暗褐色の樹肌とそれから伸びる黒っぽい枝先につく萌黄色の若葉は他の樹々ではなかなか見られない美しさがあります。
③名前の由来
エンジュ(イヌエンジュではなく)は、古くはエニスと呼ばれていて、それが転訛したものといわれている。エニスの槐子(エスと読む)はエンジュの種子ことで、それが転訛したとのこと。
牧野植物図鑑には、
犬エンジュは、エンジュすなはち槐(エンジュ)に似ているが品がないのでイヌと名づけた。山の人はこれを単にエンジュと呼ぶので、槐のエンジュと混同することがある。エンジュにエニスという古名があるところを見ると、いわゆるエンジュは昔から日本にあった本種のことであって、槐のエンジュのことではあるまい。
ちなみに、エンジュは中国原産。
④Data
科名:マメ科
属名:イヌエンジュ属
学名:Macckia amurensis 小種名のamurensisは、アムール地方のという意味
花期:7月中下旬~8月中旬
分布:北海道中部以北
⑤余談
1-011 エンジュ 木口2011.4.25
これは、イヌエンジュの木口(断面)です。直径は10cmに満たない細いものです。イヌエンジュの辺材は黄白色、心材が暗褐色で他の樹木に比べて辺材と心材の色の違いがはっきりしています。この材は若いために白い辺材の部分が多いですが、太くなると暗褐色の心材の部分がぐっと多くなります。
このくらいの大きさのものを輪切りにして、表面をサンドペーパーで磨くと、表面につやで出てきます。黒く光って持ち上げると少し重みを感じ(重硬感がある)、コースターとしてはなかなかのものになります。
イヌエンジュはクワの代用としてかまち(床の間や床などの端にわたす化粧横木)、彫り物や彫刻の材料として使われる。また、非常に丈夫で狂いが少ないために洋風家具、机、棚、額縁、タバコ盆、などの比較的高級な材料として使われ、さらに、音響性がよいために三味線の胴に使われる。(日本有用樹木誌より)

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