カエデ類(その4):ヤマモミジ、イロハモミジ、オオモミジ

「イロハモミジとヤマモミジの違いってわかる?」と質問されると、
「イロハモミジはヤマモミジより、葉が小さめで、切込みが深いんじゃないの?」と答えると、
「ほんとに?、それじゃ、オオモミジはヤマモミジとどう違うの?」と、質問されると
全く答えられません。
カエデ類(Acer属:アケル属)は種類が多く、その中でも、普段公園や庭園などでよく見かけて、しかも、遺伝的近い仲間のヤマモミジ、イロハモミジ、オオモミジの3種について、その違いを少し調べてみました。
ヤマモミジ
2011.5.22
1.日本のどこに生えているか?(自生地について)
〇ヤマモミジ
・本州の出版社の樹木図鑑では、中国~東北(島根県~青森県)の日本海側に分布すると書かれているものと、これに北海道を含むものの2種類がある。ただし、日本海側の分布域についてはいろいろあり、とりあえず、ヤマモミジは本州の日本海側に生えている程度でよさそうです。
・北海道の地元で出されている樹木図鑑では、北海道を含んでいる。
〇イロハモミジ
・本州(福島以南)、四国、九州(北海道には自生していない。)
〇オオモミジ
・本州、四国、九州、北海道 朝鮮
※1 オオモミジとイロハモミジは日本以外の朝鮮や中国に自生しています。
※2 これらをまとめると、イロハモミジは本州の福島県以南に、ヤマモミジは、一部意見の分かれるところはありますが、北海道を含めて、本州の日本海側に、オオモミジは日本全国に分布、のようになります。
R0010339.jpg2011.5.25    円山公園
2.学名から見た3種について
①“樹に咲く花”では、ヤマモミジをオオモミジの変種(variety)として捉え、イロハモミジを別種として扱っている。
・イロハモミジ:Acer palmatum(パルマツム)
・ヤマモミジ :Acer amoenum var.matsumurae
・オオモミジ :Acer amoenum(アモエヌム)
②“北海道樹木図鑑” では、ヤマモミジとオオモミジをイロハモミジの変種としている。
・イロハモミジ:Acer palmatum
・ヤマモミジ :Acer palmatum var.matsumurae Makino
・オオモミジ :Acer palmatum var.amoenum Ohwi
③“木の大百科”では、3種をイロハカエデの一群(人里近くの森林にも割合多くあり、また、紅葉を鑑賞するため庭木に植えられ、園芸品種が200以上もるあるイロハカエデの近似の一群)と捉え、3亜種に分けて整理している。
・イロハカエデ:Acer palmatum Thunberg subsp. palmatum
・ヤマモミジ :Acer Palmatum Thunberg subsp. matsumurae KOIDOZUMI
・オオモミジ :Acer Palmatum Thunberg subsp. amoenum
④“日本の樹木”(三上常夫、川原田邦彦、吉澤信行著 (社)日本植木協会編集協力)では、“樹に咲く花”と同じで、ヤマモミジをオオモミジの変種として扱っている。
・イロハモミジ:Acer palmatum
・ヤマモミジ :Acer amoenum var.matsumurae
・オオモミジ :Acer amoenum
※①、②では、北海道がヤマモミジの分布域に入っている。③、④は入っていない。
※分布や分類の仕方については、諸説があるようです。
ヤマモミジ 中島公園
2011.11.3     中島公園
3 葉について
・イロハモミジ :葉の大きさは、3~6cm(4~7cmもある)で5~7深裂(5~9裂もある)
・ヤマモミジ  :葉の大きさは、5~10cm(5~8cm、5~12cmもある)で、7~9裂
・オオモミジ  :葉の大きさは、5~10cm(5~11cm、6~12cm、7~12cmもあり)7裂(7~9裂5~9裂もあり)
※葉縁の切れ込みについても本によってそれぞれです。“樹に咲く花”で3種の写真を見比べると、ヤマモミジの鋸歯が一番粗くて、次にイロハモミジ、オオモミジの葉縁は細かい という感じです。
4 葉の縁のギザギザ(鋸歯)
・イロハモミジ :重鋸歯(大きなギザギザと細かいギザギザがある)
・ヤマモミジ  :重鋸歯か欠刻状鋸歯(大きなギザギザと細かいギザギザが不ぞろいに並ぶ)
・オオモミジ  :細鋸歯
※葉縁のギザギザについては、本によって用語や記述の仕方がいろいろで、ここの書き方もとりあえずというところです。

にほんブログ村 写真ブログ 植物・花写真へ
にほんブログ村

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA