落葉堆肥(その2)

先日(11月14日)のブログで落葉を我家のミニ家庭菜園に土壌改良材として入れたことを記しました。 そのきっかけは 職場の園芸家に刺激されたことです。 しかしそれ以前に、ナスに半身萎凋病が出ること、、家庭菜園に拡げた場所が粘土質で、土が乾くと硬くごろごろに固まってしまい、土をや柔らかくする(土の構造を換える)必要があること、園芸店で売っている1袋数百円もする高い堆肥を買う気がしなかったことなど、それに至るまでにはいくつかの背景があったのです。
それで、今ブログは、“落葉堆肥”と“生の落葉を畑に入れることの問題点とそれでも施用しても大丈夫ではないか”ということについて書いてみます(ただし、これは我家の家庭菜園だけの話です)。
○ 落葉堆肥について
以前、職場で落葉堆肥をつくったことがあります。 時期は11月下旬頃?だったと思います。  落葉の種類は、ハルニレ、オニグルミ、キハダ、イタヤカエデ、シナノキ、エゾヤマザクラなど種々雑多です。確か、エドウィンダン記念公園で採集した落ち葉だったように記憶しています。
つくり方は至って簡単。 先ず最初に、コンパネで簡単な囲い(4辺の内1辺に囲いのない)をつくり、それを2つに仕切ります。その内の1つに落葉を入れておいて、切り替えし時にもう1箇所へ移し変えるのです。 それを3回ほど繰り返します。 切り返し後はブルーシートで覆います。  切り返す理由は落葉の中に空気を入れて醗酵を促進させるためです。 ブルーシートの覆いは、雨(雪)除けと保温です。
最初の切り替えし時に、発酵の促進材としてコンポスト(下水道汚泥を粒状にしたもの)を何層かに入れます(通常は油粕や米ぬかなど)。 そして、途中で水をかけます(水をかけるのは切り替えしの1回目だけ)。 それを1週間置きに計3回切り替えしました。
落葉内の温度を測定すると、1回目の切り替えし後は通常50~60℃まで上がるのですが、今回は全然温度が上がりません。確か30℃くらいだったと思います。 2回目の切り替えし後に50~60℃に上がりました。 3回目は40℃くらいだったと思います。 どうして1回目に温度が上がらなかったか? 落葉が乾いている思い、どうも水をかけすぎたようです。
その落葉堆肥(翌年1月採取)を分析してもらいました。
分析結果は以下のとおりです。
・水分     71.6%
・pH      7.3
・全窒素    2.2%
・リン酸    2.3%
・カリウム   0.3%
・カルシウム  11.5%
・全炭素    35%
・C/N比   16
この結果から読み取れるのは、
・カリウム(K)は少ないですが、窒素(N)とリン酸(P)は、コンポストを入れていることもあって、肥料としての効果も少しはあるようです。
参考 稲わら堆肥  N:P:K=0.6:0.4:0.4(%)
牛ふん堆肥  N:P:K=0.6:0.4:0.5
豚ふん堆肥  N:P:K=1.1:1.5:0.7    「北海道堆肥ガイド2010」(道農政部)
大豆油かす  N:P:K=6.0~7.2:1.0~1.3:1.0~2.5
コンポスト   N:P:K=2.0:3.4:0.5未満  カルシウム:18

・カルシウムの数値が高いのはコンポスト(下水道汚泥)を入れているためです。
最も重要なのは、C/N 比です。  これは炭素と窒素の比率のことです。 C/N率が10ということは炭素(C)が10に対して窒素(N)が1の割合であることを意味します。 この比率は、堆肥の完熟度を知る一つの目安となっています。 通常の樹木ではC/N 比は100~200、落葉では50前後、稲わら70と言われています。 完熟たい肥は13、堆肥は15、堆肥として使用できる目安としては20と言われています。
ので、今回の落葉堆肥は、C/N比が16ですので、堆肥として十分使えるものになっていることです。
これを春先、畑を起こすときに鋤き込みます(通常、落葉堆肥は、秋に落葉を採集して、翌年に1~3回切り替えしを行い、その次の年に利用します。 落葉を2冬寝かせることになります)。
落葉堆肥のつくり方 ← 興味のある方はこのホームページへ
○ 生の落葉を畑に入れること
生の落葉をそのまま畑に入れる長所は、堆肥をつくるために切り替えしをする場所の確保や手間が省けることなどです。特に、切り替えしをする手間が省けることことが大きいです。 しかし、未熟有機物(落葉、野菜くず、オガクズなど植物系、鶏糞、豚糞など動物系)を施用することは、作物にチッソ飢餓を招いたり、根傷みするといわれており、一般的に推奨されません。
推奨されない原因の一つ目、窒素飢餓についてですが、未熟堆肥を土壌に大量に入れることは、落葉内にある炭素(C)を大量に土に入れることになります。 微生物はそれらを餌に自分の細胞を分裂させ成長します。そのときに炭素(C)は当然必要ですが、それとともに窒素(N)も必要になります。 それではなぜ窒素(N)が不足(飢餓)するのか? それは、微生物の体自体のC/N比 が8~10と言われていますので、自分の体をつくるため炭素(落葉)は周りにたくさんあるけれど、窒素は自分の体のCN構成比を満足させるだけありません。そのために、元々土壌中に存在する窒素を吸収して体の細胞をつくろうとします。 この土壌中の窒素はそこに生えている作物が吸収しようとしていた窒素(N)です。作物と微生物で窒素の奪い合いが起こるのです。 これが窒素飢餓が起こる原因です。
次に根痛みする原因はなにか? 鶏糞や豚糞など動物系未熟堆肥を施用するとガスが発生する、オガクズなど木質系の未熟堆肥を施用すると根痛みする物質をだす、それらが原因で根痛みすると言われていますが、この部分については分からないのでこの程度にします。
未熟堆肥を施用することは、上述のようにいろいろと問題があります。 それでも、自分の家庭菜園に落葉(未熟堆肥)を施用するのは、“家庭菜園だから失敗しても大したことはない”という気持ちと、おそらく大丈夫ではないかという“感”です。
というのは、
上述の以前職場でつくった落葉堆のC/N率は16でした。 この値は、堆肥として十分使えるものです。11月中下旬~12月にかけて3回切り替えしをし、翌年の1月(約1ヶ月後)にその落葉堆肥を採取して分析したものです。
今回は11月中旬に自分の家庭菜園に落葉を入れました。 そして、来年雪解け後の4月下旬に畑を起こします。その約1ヵ月後に再度起こし直して、苗の植え込みを行います(とりあえず、この場所には種はまかない)。 ということは2回切り返しを行うことになります。 冬季間は落葉の分解はほとんど進まないと思いますが、春、気温が上がって暖かくなるとそれも進み、苗を植え込む時期、5月下旬~6月上旬には2回目の掘り起こし(切り替えし)で、落葉が細かく砕かれて土に馴染んでくると思うのです。
次に、落葉の入れる“量”です。 堆肥にもいろんな種類があって一概には言えないのですが、通常、堆肥の投入量は2~3t/10aと言われています。これを㎡に換算すると2~3kgになります。 これはとりあえず完熟堆肥の値です。
今回、私の家庭菜園に落葉をどれだけ入れたかというと、水分を含んだ落葉=約10kg 筋状に入れていますが畑を起こして散らかすので、面積にすると約5㎡(3.5m×1.5m)になります。 10kg/約5㎡ → 2kg/㎡となります。  完熟堆肥の一般的な投入量とだいたい同量です。
以前職場でつくった落葉堆肥のC/Nの値が16で、一般的に堆肥として使える値が20であることを念頭において、上述の二つのこと、一つは春に家庭菜園で2回掘り起こし(落葉の切り替えしと同じ意味)を行って落葉の分解も進むことと、落葉の投入量が一般的な完熟堆肥の投入量の範囲内であること、この二つのことが、今回の家庭菜園に落葉を入れることが未熟堆肥としてく問題になるということについて、おそらく問題にならないという“根拠”、“感”なのです。
この件に関しては、今後適宜報告したいと思っています。
<参考までに:肥料と堆肥>
肥料には大別して、化成肥料と有機肥料と有ります。 化成肥料は既に植物が吸収できる状態での肥料で、即効性があり便利な面があります。 有機肥料は、化成肥料に比べ、植物が吸収できるにはバクテリアなどに分解して貰い吸収できる状態にならなければならず、遅効性です。 ですが化成肥料がパッと効いて直ぐに肥料切れをおこすに比べ有機肥料は都合よく長い間肥料を提供し続ける特徴があります。
堆肥はこの有機肥料の発生装置的肥料の一部といえます。 堆肥は肥料を供給するだけでなく、その構造から、通気性、保水性に優れ植物の根やバクテリアに良好な環境を提供します。 土壌改良剤として用いられ、いわゆる肥えた土です。

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