タラノキ(その2)

タラノキは、この名前より「天ぷらにすると美味しいタランボ」のほうがとおりがよいようです。ヌルデやヤマグワなどが自然林の縁や郊外の道路脇に生えているのをよく見かけるように、このタラノキもそれらと同じような場所に生えている樹です。少し違うのは、春先の新芽がもぎ取られて枝先に穴が空いた樹が多いことです。
①冬芽 ~ 新葉
1-016.jpg2012.4.29
これは4月下旬に撮っているので、芽が膨らみ始めて縦長になっています。。タラノキの枝や幹は棘が多いのが特徴です。冬芽の基部には大きな葉痕が見えます。枝先の周りをぐるっと帯状に楔型をした維管束痕が取り囲んでいます。
1-036 タラノキ2012.5.3
新芽の展葉です。天ぷらにするには少し大きめでしょうか?
1-074 タラノキ2012.5.13
この頃の赤味を帯びた新芽は、目を引きます。
②名前の由来
名前の由来を書物やインターネットで調べたのですが、朝鮮語から転訛したという説や「太郎の木」から転訛したなどいろいろと説があるようです。しかし、どれもいまいちはっきりしないのです。そんな中で面白いページを見つけました。名前は「別府街角ウォッチング」です。その中に、草木名の話というコーナーがあり、そこで、タラノキの名前の由来を取り上げているのです。
内容は、3部に分かれていて、1部では「日本書記」の中に出てくるタラノキを詳細に読み取り、2部では、日本全国にあるタラノキの方言を発音(音韻)別に分類し、そこからタラノキの名前を分析しています。最後の3部で、1部と2部を踏まえ、自説を展開する構成になっています。
以下は最後の部分の著者が考えるタラノキの名前の由来(語源)です。
われわれは1節「日本書紀にみるタラノキ」の項で、まだ日本に文字が伝わる以前に、本樹の名称が生まれたことを知った。したがって、古代の植物名は素朴な動機で生まれ、シンプルなものであったに違いない。また、タラノキは日本に自生していたので、その名も日本人の生活のなかから生まれたものと想像される。
次に、2節「タラノキの方言」の項では、方言がオニノカナボウやトリトマラズのほか、イゲ・グイ・バラ・ノバラなど「タラノキの刺」に関連して、その多くが名付けられていることを知った。タラノキの語源を考えるに当たっては、このことを無視するわけにはゆかないだろう。
タラノキは全体に刺がある。若葉の葉柄や葉軸の刺は細かいが、直立する幹の刺は大きく鋭い。これは他の木には見られない特徴であるが、人間にとっては大敵。春のタラの芽採りには大きな障害となる。タラの芽は茎頂につき、背伸びをするようにしてとることが多いので、特に手を痛めやすい。それで、この木が「手荒らしの木」と呼ばれた。
このテアラシが
テアラシ tearasi 手荒らし
↓  ↓ <二重母音の禁止>
タラシ   tarasi たらし
↓  ↓ <末尾脱落>
タラ     tara たら
と変化し、タラノキが生まれた。
タラノキは、春の若菜摘みという生活のリズムのなかから誕生した“ことば”だったのである。  (和泉晃一)
作者の主張(類推)が正しいかどうかは別にして、タラノキに関わる多くの情報と詳細な分析はなかなかの迫力です。興味のある方は以下のホームページをご覧になってください。
ホームページ ⇒ http://www.ctb.ne.jp/~imeirou/soumoku/s/taranoki.html
③Data
科名 ウコギ科
属名 タラノキ属
学名 Aralia elata
花期 8月
分布 日本 サハリン 朝鮮 中国東北部など

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