タラノキ  冬芽

2015.12.8
冬芽は、2/5のらせん生で、淡い帯赤褐色、淡黄褐色ないし灰色をし、多数ある。 数枚の芽鱗と伏生したとげにつつまれる。 芽鱗は葉柄基部起源で、無毛である。 仮頂芽は大きく、円錐形ないし円錐状卵形で、長さ10~15mmある。
(落葉広葉樹図譜)
2015.12.8
側芽は小さく、長さ3~10mmあり、卵形ないし球形で、下位のものは発達しな
い。

⇒ タラノキ:たらの芽の樹

<余談 民間薬>

5月中旬、樹々の芽が膨らんでくる頃、公園や道端、河川敷などでタラノキを見つけるのですが、必ずと言っていいほど、それらの枝先には新芽がないのです。 近所の人たちが早朝の散歩などで摘みとっていくのでしょう。 おそらく、彼らはその場所を知っていて何時採れるか?いつも確認しながら散歩をしているのでしょう。

タラノキは、“タラノメ”、“タランボウ” の名前で呼ばれることが多く、独特の風味と多少の苦みでテンプラとしていただくのが美味で一般的なようです。 タラノキは山菜の王様と呼ばれていますが、糖尿病などに効く漢方薬としても用いられ、タラコンピ(タラ根皮)として、その名を知られているようです。 タラコンピはタラノキの根を干したもので、刻んだものや粉末のタイプもあるようです。

タラノキはウコギ科で、その仲間には二日酔いに効くエゾウコギ、酢味噌和えにすると最高のウドがあります。 同属のハリギリやコシアブラもテンプラにすると美味しいようで、このウコギ科の植物は、食用・薬用に有用なものが多いようです。

 

 

 

タラノキ(その2)

タラノキは、この名前より「天ぷらにすると美味しいタランボ」のほうがとおりがよいようです。ヌルデやヤマグワなどが自然林の縁や郊外の道路脇に生えているのをよく見かけるように、このタラノキもそれらと同じような場所に生えている樹です。少し違うのは、春先の新芽がもぎ取られて枝先に穴が空いた樹が多いことです。
①冬芽 ~ 新葉
1-016.jpg2012.4.29
これは4月下旬に撮っているので、芽が膨らみ始めて縦長になっています。。タラノキの枝や幹は棘が多いのが特徴です。冬芽の基部には大きな葉痕が見えます。枝先の周りをぐるっと帯状に楔型をした維管束痕が取り囲んでいます。
1-036 タラノキ2012.5.3
新芽の展葉です。天ぷらにするには少し大きめでしょうか?
1-074 タラノキ2012.5.13
この頃の赤味を帯びた新芽は、目を引きます。
②名前の由来
名前の由来を書物やインターネットで調べたのですが、朝鮮語から転訛したという説や「太郎の木」から転訛したなどいろいろと説があるようです。しかし、どれもいまいちはっきりしないのです。そんな中で面白いページを見つけました。名前は「別府街角ウォッチング」です。その中に、草木名の話というコーナーがあり、そこで、タラノキの名前の由来を取り上げているのです。
内容は、3部に分かれていて、1部では「日本書記」の中に出てくるタラノキを詳細に読み取り、2部では、日本全国にあるタラノキの方言を発音(音韻)別に分類し、そこからタラノキの名前を分析しています。最後の3部で、1部と2部を踏まえ、自説を展開する構成になっています。
以下は最後の部分の著者が考えるタラノキの名前の由来(語源)です。
われわれは1節「日本書紀にみるタラノキ」の項で、まだ日本に文字が伝わる以前に、本樹の名称が生まれたことを知った。したがって、古代の植物名は素朴な動機で生まれ、シンプルなものであったに違いない。また、タラノキは日本に自生していたので、その名も日本人の生活のなかから生まれたものと想像される。
次に、2節「タラノキの方言」の項では、方言がオニノカナボウやトリトマラズのほか、イゲ・グイ・バラ・ノバラなど「タラノキの刺」に関連して、その多くが名付けられていることを知った。タラノキの語源を考えるに当たっては、このことを無視するわけにはゆかないだろう。
タラノキは全体に刺がある。若葉の葉柄や葉軸の刺は細かいが、直立する幹の刺は大きく鋭い。これは他の木には見られない特徴であるが、人間にとっては大敵。春のタラの芽採りには大きな障害となる。タラの芽は茎頂につき、背伸びをするようにしてとることが多いので、特に手を痛めやすい。それで、この木が「手荒らしの木」と呼ばれた。
このテアラシが
テアラシ tearasi 手荒らし
↓  ↓ <二重母音の禁止>
タラシ   tarasi たらし
↓  ↓ <末尾脱落>
タラ     tara たら
と変化し、タラノキが生まれた。
タラノキは、春の若菜摘みという生活のリズムのなかから誕生した“ことば”だったのである。  (和泉晃一)
作者の主張(類推)が正しいかどうかは別にして、タラノキに関わる多くの情報と詳細な分析はなかなかの迫力です。興味のある方は以下のホームページをご覧になってください。
ホームページ ⇒ http://www.ctb.ne.jp/~imeirou/soumoku/s/taranoki.html
③Data
科名 ウコギ科
属名 タラノキ属
学名 Aralia elata
花期 8月
分布 日本 サハリン 朝鮮 中国東北部など

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タラノキ:たらの芽の樹


追記:10月22日
秋に紅葉する樹は、なんと言ってもヤマモミジやハウチワカエデなどのモミジ類です。そのほかには、ナナカマドやサクラが鮮やかに紅葉します。
そのほかには? ツリバナ、ニシキギ、ヌルデ、ヤマウルシ、ドウダンツツジ、ナツハゼ、ツタウルシ、ナツヅタなどがあります。まだあるのです。てんぷらにすると美味しいタラノキです。。紅色というより、少し褐色を帯びた橙色に紅葉します。
1-017 タラノキ
2012.10.14
上下の写真は同じ樹です。上が今年の10月14日、下が昨年の10月11日に撮っています。今年はやはり紅葉が遅れているようです。
タラノキはモミジ類やナナカマドに比べると鮮やかさは劣りますが、それでもなかなかの紅葉です。タラノキは郊外の道路縁に多く生えていますので、見る機会は多いと思います。
1-010 タラノキ
2011.10.11
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追記:9月28日
1-060(赤字)
8月23日のブログでタラノキの花を紹介してから1ヶ月余が過ぎます。タラノキの果実です。3mm前後の黒い実が成りますが、遠くから見ると、サーモンピンク?鴇色?色あせたピンク?の花柄が目立ちます。
1-033 タラノキ2011.10.8
タラノキの実のつけ方を見ると、花柄の先に多数の小花柄を拡げ、その先に黒い実を付ける成り方は、花柄の長短はありますが、ハリギリ、エゾウコギ、コシアブラなどウコギ科特有のものです。
1-001 タラノキ 2012.6.3
春先、5月中頃の道路際にあるタラノキは、新芽がもぎ取られているものが多く、「山菜の王様」と呼ばれるだけあり、たらの芽の天ぷらや酢みそあえを楽しみしている人は多いようです。
タラノキは、そのほかに、根皮、幹皮の乾燥したものは、腎臓病、胃潰瘍、糖尿病に効果があり、漢方薬として利用されています。
1-024 タラノキ2012.4.12
アイヌの人達は、私たちと同じように若芽を食用にしたり、根の煎汁を胃痛に服用したそうです。また、枝で物干し竿も作ったり、枝に鋭い棘が密生しているので病魔や悪魔が近づかないとし、悪疫流行のときは、家の戸口や窓口、水汲み場や分かれ道などに立てておいたそうです。
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8月23日のブログ
1-010 タラノキ 焼山線2012.8.10
8月に入って、車や自転車で郊外の道路を走っていて、道路際や山の麓などに白い花を見つけたら、おそらく、それはノリウツギかヌルデかタラノキではないでしょうか?ヌルデとノリウツギの花は三角錐をしていますが、タラノキの花は扇を広げたような、ビルや屋根に隠れて上半分しか見えない花火のような形をしています。ので、すぐ見分けがつきます。
1-012 タラノキ2012.8.19
北海道主要樹木図譜では、タラノキの花を以下のように記述しています。
花は、多数散形花序をなし、花序はさらに頂生の複円錐花序をつくり、長さ30cm~45cm
1-010 タラノキ 柏ヶ丘 橋の上から2012.8.10
この写真は、地下鉄真駒内駅前通を真っすぐ歩いて行って、柏ヶ丘の住宅地に上がる橋の上から撮っています。真駒内川の縁に生えています。タラノキの葉の特徴が良くわかります。
このような葉の付き方を二回羽状複葉といいます。ちなみに、ニセアカシアは、奇数羽状複葉です。 このブログで葉の形状の名称を何回も書いているのですが、なかなか憶えられないです。
参考までに
20120601044852b27.jpg

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