ツリバナ  胴枯病

2012.6.10
エドウィン・ダン記念公園(南区)の南側、道沿いに植えられているツリバナ。 このツリバナ3本は公園造成時(昭和40年代前半)に植えられているのであれば、樹齢は55年前後になります。 樹高は約3.5~4.0m。


2017.6.13                                                                          2017.4.30
一昨年の6月(2017.6)に3本あるツリバナの1本が枯れているのを見つけました。 写真(右)は写真(左)の中央の1本の拡大写真です。樹皮が剥がれて完全に枯死しています。 おそらく2~3年前には発病していたのでしょう。 気づかなかっただけです。 左右の2本は元気そうに見えますが幹枝に胴枯病と思われる症状が現れています。

2017.7.28
そして1ヵ月半後の7月下旬。 左右の2本とも落葉が著しいです。 右側の1本はほとんど枯れています。 幹全周(形成層)が病気に侵されると病斑部の上部には水を揚げられなくなり枯死してしまいます。 右側の1本は地際から主幹部全体が胴枯病に侵されてしまったようです。

         2018.7.28                                                 2017.7.28
写真左は、幹枝の樹皮が浮き上がっています。 樹皮はべろべろと剥けます。
写真右は、最近発病した部分のようで、樹肌の黒ずんでいる部分が病気に罹っている
部分でしょうか。
2019.5.13
昨年、2018年の夏には3本とも完全に枯れあがっていました。 中央の1本は処分されています。
それにしても、胴枯病に罹ると枯死までの期間がなんと短いことか。

<胴枯病>
胴枯病は樹木特有の病気で、カビ(子嚢菌)の胞子が樹木の傷口などから侵入して発病します。 この病気が幹を全周する(形成層が枯死)とその上部に水が揚がらなくなり、樹木は枯死します。
この病気は、北海道のサクラ類の枯死の主要原因になっており、明治・大正時代に津軽地方のリンゴ栽培農家を苦しめた腐らん病も胴枯病であり、樹木の世界3大病害の一つ、北アメリカのクリに壊滅的な被害をもたらした病気も胴枯病です。 胴枯病は樹木にとって最も恐ろしい病気です。

モモ、リンゴ、クリ、ブドウなどの果樹類、モミ、トドマツ、カラマツ、ポプラなどの林木、クワなどの木本類に発生する病気。病原菌が木の幹に寄生し、病患部から上部が枯れ、いわゆる「胴枯れ」症状になるため、胴枯病とよばれる。病原は宿主の種類によって異なるが、いずれも子嚢(しのう)菌類、ディアポルテ菌科(胴枯病菌科ともいう)のディアポルテ、レウコストマ、クリフォネクトリア、バルサなどの属に属する菌である。ディアポルテ属ではDiaporthe tanakaeによるリンゴ胴枯病、D. conorumによるモミ、トドマツ、カラマツ胴枯病、D. nomuraiによるクワ胴枯病がある。レウコストマ属ではLeucostoma persooniiによるモモ、スモモ胴枯病がある。クリフォネクトリア属ではCryphonectria parasiticaの寄生によるクリ胴枯病が被害が大きく重要である。バルサ属ではValsa abietisによるヒノキ、サワラなどの胴枯病がある。なおバルサ属の寄生によっておこるリンゴその他種々の果樹類の胴枯れはとくに腐らん病といわれる。胴枯病菌は一般に腐生性が強いため、寒さなどによって樹勢が劣えたときに被害を受けやすい。一度寄生すると病原菌は四季を通じて樹上に残り、長い期間にわたり感染を繰り返すので防除が困難である。晩秋、木の地際(じぎわ)部から地上30センチメートルぐらいの高さまで石灰乳または石灰硫黄(いおう)合剤の原液を塗布して予防する。また発病した木では、病患部を削り取って、チオファネート・メチル塗布剤または有機銅塗布剤を塗布する。
(日本大百科全書::ニッポニカ)

 

 

 

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