オケラ 一度聞いたら忘れられない名前

今回、投稿した「オケラ」は、この植物がきれいな花を咲かせるとか、何か珍しい特徴を持っている、などという理由で取り上げた訳ではありません。この名前を一度聞いただけで、その後その名前を「絶対忘れない」、「必ず思い出せる」名前ということで取り上げ次第です。
「オケラ」と聞くと、先ず最初に昆虫のオケラを頭に浮かべます。 その昆虫を実際に見ていなくても、この昆虫がどこに住んでいて、どのような生活をしているかを知らなくても、

ぼくらはみんな 生きている
生きているから 歌うんだ
ぼくらはみんな 生きている
生きているから かなしいんだ
手のひらを太陽に すかしてみれば
まっかに流れる ぼくの血潮(ちしお)
ミミズだって オケラだって
アメンボだって
みんな みんな生きているんだ
友だちなんだ

これは「アンパンマン」の作者として有名な やなせたかし さん作詞「てのひらを太陽に」の歌詞です。
上の歌詞を読んでいるとメロディが浮かんできます。このブログを読んでいるほとんど?の方は歌詞に併せて思わず頭の中で口ずさんでいるのではないでしょうか。 それほどに有名でみんなが知っている歌です。
「オケラ」という単語が出てくると、自然とこの歌詞の「オケラ」が浮かんできます。
ミミズやアメンボウと一緒出てくるので、「オケラ」を実際に見たことがない人でも、それらと似た?それに近い生き物だということは想像できます。
それでは「オケラ」とはどんな生き物なのでしょうか?

この画像は東京ズーネットさんからお借りしました。 →  https://www.tokyo-zoo.net/
上の写真がオケラです。 正式名称はケラですが、一般的にはオケラと呼ばれることが多いです。 この昆虫はコオロギの仲間で、比較的湿地を好みます。幼虫・成虫ともに土中で生活します。写真では頭部横に熊手のようなギザギザした爪のようなものが見えます。 これ(前脚)を使って土を掘ります。食べ物は小さな昆虫や草根などを食べる雑食性ですが、
ジャガイモやサツマイモをかじるので害虫扱いになります。

以上の理由により「オケラ」という名前は「忘れない」というか「すぐに思い出せる」のですが、それでは、植物のオケラはどのような花を咲かせ、どのような草姿なのでしょうか?

豊平公園緑のセンターの相談コーナーで
「この植物何ですか?」
と携帯電話の画像を見せて尋ねられたのですが、その名前が分からないので別の携帯電話で検索をかけると
「オケラ」と出てきたのです。
その名前が判ったので、その方に
「どこで撮りましたか?」と尋ねると、
「豊平公園の野草園」とのこと。
そこには、四季を通じてたびたび見に行っているのですが、それに気づいたことがなかったのです。
2025.9.2
赤い円で囲った中に白いものが点々と見えます。 それらがオケラの花です。実際に現場で見ると、写真のとおり目立たない雑草の花と思ってしまいます。オケラの奥にあるのがキレンゲショウマ。 → ショウマという名がつく草花
オケラはキク科オケラ属の多年草で、日本では本州・四国・九州を中心に分布していて、北海道に自然分布はありません。 草丈は50~60cmになり、その先にアザミの花を小さくした、直径2cm程の白い花を咲かせます。
 2025.9.23
オケラの花は、雄花と雌花が別々の株に花を咲かせる雌雄異株ですが、雌花と両性花(1つの花に雄花と雌花が混生した花)で雄花がないというブログサイトもあります。写真の花が雄花か雌花か、両性花であるかは分かりません。葉は固めで、常緑広葉樹の葉をイメージします。

〇 余計な話
「オケラになる」という慣用句があります。この句の意味は「無一文になる」「すっからかんになる」ですが、オケラが前足を広げて「万歳」をしているように見えるため、「お手上げ=無一文」の状態を連想させ、これが「オケラになる」と言われるように
なったようです。
もう一つは、オケラは根の皮を剥いで薬用にする植物であることから、「身ぐるみ剥がされる」ことにかけているという説もあるようです。

 

 

シュウメイギク 開花習性

2025.9.17
街中を自転車で走るとシュウメイギクがきれいに咲いているのを見かけます。 それに気づくのがいつも9月に入ってからなのですが、「盆花に使っている人がいる」という話を聞くと、シュウメイギクは8月中旬から咲き始めるようです。

シュウメイギクは、「キク」という名がつき、しかも、秋に花が咲くので、キク科と勘違いしてしまいますが、キンポウゲ科アネモネ属です。 アネモネ属なのでアネモネと似ているのは当然なのですが、その他のキンポウゲ科植物のボタン、クレマチス、オダマキなどとも同じ科で、 それらと花の形状がなんとなく似ている感じはします。
シュウメイギクの名に「キク」がついたのは、やはり、秋に咲き、優美でしとやかな 草姿、それらと相まってキクの花に似ていることが、「キク」の名をつけさせたのでしょう。
シュウメイギクの二つ目の特徴は、その花弁です。 花びらのように見える部分は萼(がく)なのです。 本当の花弁は存在せず、退化してしまったのだそうです。 キンポウゲ科の植物は花弁を持たないものが多いのだそうです。
ちなみに、上述のボタンは萼片ではなく正真正銘の花弁で、オダマキは外側の大きな花びらが萼片で、内側の小さなものが花弁、アネモネとクレマチスはシュウメイギクと同じように花弁が退化し、萼片が色づいて花弁の役割をしているようです。 実際に、この2つの花の裏側を見ると、緑色の星形の萼はないはずです。植物って変化に富んでいるというか、何でもありの世界で面白いですね。

三つ目の特徴は、開花期間が長いことです。シュウメイギクの草姿をよく見ると、
 2025.9.17
上の写真はシュウメイギクの草姿。 草丈は130~40cm。地際から根出葉が出て、その中央から数本~10本ほど茎(花茎)が 立ち上がっています。中央から立ち上がった茎(花茎)は50cm伸びた当たりでほとんど同じ位置で葉をつけています。そこからさらに茎(花茎)を伸ばして花を咲かせています。花の咲いている部分を拡大していみると、
2025.9.17
大き目の葉が数枚出ている部分から花茎が7本伸びています。その内3本が花の咲く茎で、1本が開花中、残りの2本はつぼみです。 その他の4本は、開花中や蕾の花茎に比べて短く、それらはすべて葉をつけています。
葉を持たない花茎=1個のみ花が咲く花茎は、花が終わると花弁を落とし、黄色い丸い玉状になります。 これが種子をつける場所になります。
一方、葉を持っている花茎は、
左右に1枚づつ拡げた葉に大き目のつぼみと、その基部に2個の小さなつぼみが見えます。 大きなつぼみは葉がついていないので花が咲いてタネをつける花茎で、下にある2個の小さなつぼみは、花のみの花茎か、葉をつける花茎か、どちらかなのでしょう。 現在は大きなつぼみと小さなつぼみ合わせて3個ですが、今後、新たに花茎が伸びてきて、最終的には7~8本になると思われます。

以上がシュウメイギクの花の咲き方(開花パターン)で、寒さがくる10月下旬まで何回かこのパターンを繰り返すようです。 なので、花の咲いている期間が長いのです。シュウメイギクの1個の開花期間は5~7日(札幌は9月入ると涼しくなるので、本州に比べると開花期間はもう少し長い)と言われています。8月下旬のまだ夏の暑さが残る時期と冬を感じさせる10月末では寒暖の差は大きいので1個の開花期間も当然違い、一概にこれとは言えないのですが、今現在咲いている花は、地際から50cmほどの高さにつけた葉から50cm程伸びた花茎の先につけた花です。これを1段目の花とし、この1段目の花の咲き始めを9月上旬から咲きだしたと想定すると、今小さな蕾をつけている2段目が9月下旬に咲き始めると思われます。ので、札幌では3~4段まで花をつけるのではないでしょうか?
以上がシュウメイギクの開花特性です。 シュウメイギクの段数が増えるにつれて花茎の本数も増えるので、秋が深まるほどに花数も増え、美しさが増すのです。

キクもシュウメイギクも秋に花を咲せますが、その花芽形成・開花要因は全く違うようです。キクの花は、短日植物(日が短くなると花芽ができて秋に開花する)なので、4~6月の日の長いときに、遮光などして短日条件で育てると花芽をつくり開花します。 しかし、シュウメイギクをキクと同じような栽培しても花は咲かないのです。 キクの開花は日長が絶対的な影響を与えますが、シュウメイギクの場合はその逆で、日長はほとんど影響を与えず、季節の移り変わりに伴う環境の変化が大きくかかわっているようです。 具体的には、気温の低下や昼夜の寒暖差が大きくなること、太陽の位置が引くなることによる日照量の減少など季節要因が花芽形成を促進すると考えられているそうです。
両者は同じ時期に花を咲かせても、それを動かす要因が全然違うところにあったのです。植物の多様性、なんでもありの世界、面白いですね。

 

リンゴ  さび病(赤星病)  

アサイド

2025.9.8
毎年、8月に入ると葉に黄色の円形状の病斑を見つけます。写真 中央の葉の右側中ほどの黄色く真ん中が黒い点が病斑(赤い矢印の先)。
2025.9.8
病斑の大きさは、白線の桝の大きさが1cm角なので、1cm弱です。
2025.9.8
葉裏には、さび病特有の茶色のヒゲの塊があります。
2025.9.8
このひげ状のものを「触手状突起」「さび胞子堆」と呼ぶそうです。 「さび胞子堆」の「堆」は、病原菌の胞子が“うず高く積み重なっている状態のことを意味するようです。 確かに「髭」の下はこんもりと盛り上がっています。この「髭」の中?に胞子があって、風や雨で飛散し、次の感染源になります。
我家の庭にあるリンゴを7月頃から週に1~2回枝透かしを兼ねて、葉に病虫害がないか観察するのですが、7月下旬頃?からこの「髭」を見つけて取り除いています。1回当たり葉を5~6枚取り除くので、一夏で30~40枚の葉を処分しています。葉はポケットに入れて、後でゴミ箱に捨てます。
農薬はダコニール(殺菌剤;予防薬;病気が発生する前にかける薬、ベンレートのような治療薬ではない)を5月~7月にかけて3~4回散布しているのですが、毎年発病します。袋をかけているので果実にはつきません。
リンゴさび病は、落葉についているさび病菌が越冬して、翌春、それが再びリンゴに病気を発生させることはなく、 近くにビャクシン類がなければ発病しないそうです。千葉県の市川市などでは条例を制定して、ナシ栽培地から一定距離内(1~2km)にビャクシン類を植えることを禁止しています。
我家のリンゴの被害は大したことはないのですが、今後のことを考えると、ビャクシン(正確な名前は分からない)を処分する必要がありそうです。

〇 さび病について
リンゴのさび病は赤星病ともいいます。
リンゴのさび病(赤星病)の分類の位置付けは、サビキン目、サビキン科、ギムノスポランギウム属、(Gymnosporangium属)となります。 サビキン目には約14科、約7,700種以上、サビキン科は166属、7000~7500種でサビキン目の大半を占めています。ネットで調べるとサビキン目は出てくるのですが、サビキン科はヒットしません。ので、菌類を研究されている方及びその関係者は、大まかにサビキン目 ≒ サビキン科と捉えているようです。
サビキン科に属するGymnosporangium属には約74種が知られています。この属は、異種寄生型のさび病菌で、主にヒノキ科(ビャクシン類)とバラ科(リンゴ・ナシなど)の植物を交互に寄生するタイプです。

〇 リンゴさび病の一生(生活史)
さび病菌には、1つの植物だけで一生を終えるタイプと、2種の植物を季節ごとに移りかえるものがあります。 リンゴは後者のタイプで、上述の異種寄生型と呼ばれます。
具体的には、
① 5月中下旬、ビャクシン類の枝葉で越冬した胞子 が飛散し、リンゴの若葉に感染
② 7月以降、リンゴの葉に赤褐色の病斑が出現、葉裏には髭状のさび夏胞子堆を形成(上の写真)
③ 7~8月、さび胞子が飛散してビャクシン類に再感染
④ リンゴから感染したビャクシン類の枝葉内部で菌糸が増殖し、冬胞子堆を形成→①に戻る
※我家の庭には半分枯れたビャクシンがリンゴの横にあって、おそらく、サビキン胞子はそこで越冬しているのでしょう。 寒さを感じ始める10月下旬には冬胞子堆を見ることができるのだそうです。
病原菌には、多数の植物に寄生する菌と、一つの作物だけに寄生する菌があります。前者は広宿主域性(こうしゅくしゅいきせい)、後者を宿主特異性と呼びます。前者は少数派で、全体の10~30%だそうです。
前者の広宿主域性タイプには、シクラメンの灰色カビ病やトマトやキュウリなど多数の作物に寄生する土壌性病害菌であり、一旦発病すると抜いて処分以外に手立てなくなる、治療が難しいやっかいな仲間です。
一方、後者の宿主特異性タイプの菌は一つの作物にしか寄生しないので、たとえば、隣家にナシにさび病が発生したから、その近くに植えてある我家のネギにさび病がつくかというと、そうはならないようです。ナシにつくさび病菌の種(シュ)とネギにつくさび病菌の種(シュ)では、名前は同じでも菌のタイプが違うのです。

〇 余計な話

階級 英語表記 説明
ドメイン Domain 最も広い分類。真核生物・細菌・古細菌など
Kingdom 植物界(Plantae)など
Phylum / Division 被子植物門、裸子植物門など。植物では「Division」も使用
Class 双子葉植物綱、単子葉植物綱など
Order バラ目、キク目、イネ目など
Family バラ科、キク科、イネ科など
Genus サクラ属、バラ属など
Species メイヨシノ、タンポポなど
上表は植物分類の階層を表したものですが、上述の
ナシにつくさび病菌の種(しゅ)とネギにつくさび病菌の種(しゅ)では、名前はさび病菌と同じでも菌のタイプが違うのです」の種(しゅ)の意味は、
上表の一番下の「種」(しゅ)のことで、 この意味合いは、エゾヤマザクラとチシマザクラの違いのレベルです。
種の定義;同じ種(しゅ)に属する個体は交配可能で、繁殖能力のある子孫を残せる。 例えば「エゾヤマザクラとオオシマザクラは交配しても種子はできない」が原則的な話です。 しかし、植物の場合、種間雑種(違う種(しゅ)どうしの交配でできた種)が多々あり、動物ではおおむね種の定義は当てはまるのですが、植物の場合、緩やかというか、大まかなようです。 ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの交雑種で属は同じですが、種(しゅ)が異なる種間雑種です。
驚いたことに、属間雑種もあるようです。自然界ではまれなのだそうですが(まれにでもある!)、人工的に行われているそうで、大学などの研究機関では、耐病性や優良系統の作出を目的に、リンゴとナシの交配(属間雑種)を作っているそうです。

 

 

ジンジャーリリー “金閣” 

豊平公園緑のセンタ-の展示温室にジンジャーの花が咲いています。
2024.9.10
昨年、初めてこの花を見ました。
元気に勢いよく、上に向かってすっーと伸びる草姿は爽やかさを感じさせます。草丈は約1.5~2mで、鉢の高さを加えると2.5mくらいになります。 茎から水平に伸びる葉は長さが50cm前後で、互い違い(互生)に出ています。
この植物は、ショウガ科ハナシュクシャ属(Hedycium属;ヘディキウム属)の常緑多年草で、インドや東南アジアに分布しているようです。
ショウガ科の植物は熱帯や亜熱帯に育つものがほとんどですが、例外もあります。 札幌で栽培(越冬)できるミョウガがそれに当たります。

花穂の長さは20~30cmで、多数の花をつけ、熱帯的な雰囲気を漂わせます。
2025.9.2
近づいて一個一個の花を見ると、
花は蝶のような形状をしており、花弁は3枚で、うち1枚がぽっちゃりした?ハート形をしており、残りの2枚はその上部から翼を拡げるように左右に伸び、その中央に突き出た長くて細いものが雄しべのようです。また、花苞のようなもの、これが時間が経つ?と細長くなり、花弁の基部から2~3本垂れ下がっています。 この1個を別の花に例えるならゴクラクチョウカ(ストレリチア)を想起させます。
鉢につけられているラベルを見ると、ジンジャー リリー“ 金閣 ” と書かれています。 “金閣” は品種名で、タキイのネット通販では以下のような説明をしています。
オレンジ黄色で、特大の花房が特徴。別名「花ショウガ」「ショウガユリ」ともいうヘディキウム属の根茎植物。特に夜に匂い立つショウガに似たさわやかな甘い香りをもつ。ショウガ科
ジンジャーリリーは匂いを放つのが夜なので、緑のセンターのジンジャーリリーに近寄っても匂いがしなかったのは、そのためでしょうか。