アボガド

アボガドを健康のために食べている人の中に園芸好きな方がいて、あの大きくて丸いタネに魅力を感じるのか?、それをまいて育ててみようと思う人は意外に多いようです。
豊平公園緑のセンターの相談で、
「アボガドのタネを鉢にまいたら、芽が出てきて葉っぱが2~3枚になった。これからどのように育てたらいいのか? また、アボガドの木がどれくらい大きくなったら実をつけるのか?」
という内容の電話を受けることがあります。 2025.12.21
写真は緑のセンター展示温室のアボガド。高さは2.5m程。
2025.12.21
葉は大きく、長さは30cm以上、幅は10cm弱あります。

アボガドの自生地は中南米で、特にメキシコを中心に分布しており、常緑樹で高さは20mになることもある高木です。 ただし、室内で育てると2~3mに収まることが多いそうです。

 

〇 「札幌のような北国で、アボガドのタネを鉢にまいて室内で育てた場合、何年くらいで花が咲き、実をつけるのか? 」

・札幌は北緯43°と緯度が高く、しかも日本海側に位置しているため、関東以西の太平洋側の地域に比べて、冬期間の太陽光は極端に少なく弱々しいので、年間を通じて温暖な気候に育つ常緑のアボガドにとって好ましい環境ではない
・室内の条件がかなり良ければ(日光に良く当て、適正な時期に鉢替え)、10年前後で花が咲く可能性はある。
・アボガドは1本の木では実がならない場合がほとんど。その理由は、アボカドの花は 1つの花に雌しべと雄しべがある両性花であるが、 雌しべと雄しべが成熟するタイミングがずれるため、同じ花の中で自家受粉しにくい性質を持つ。ので、同じ木に咲いた花の雄しべの花粉を雌しべに受粉させても、結実する可能性は極めて低い。
・本州では、開花が4~6月で、開花から収穫までに半年~1年かかり、収穫時期は11~3月。生育期間の短い札幌では、開花はしても果実の肥大成熟は難しそうである。
・アボガドには2種類の開花サイクル(AタイプとBタイプ)がある

◇ Aタイプ
1日目の午前に雌しべが成熟、受粉可能

花を閉じる

2日目の午後に雄しべが成熟(花粉を出す)

◇Bタイプ
1日目の午後に雌しべが成熟、受粉可能

花を閉じる

2日目の午前に雄しべが成熟(花粉を出す)

※アボガドは、品種によって雌雄の成熟時期(受粉可能時期)にAタイプとBタイプがあるので、1本の木では受粉の可能性は低い。だからといって、2本植えれば良いわけではない。A・B違うタイプの品種を最低1株づつ植えないと結実しない。
そうはいっても、同じ木で花の開花タイミングにはばらつきがあるため、ある花で雌花が受粉可能なときに、別の花で雄花が受粉可能な場合もあるので、同じ木で受粉期の重なりが生じることがあり、自家受粉が起こることもありうる。

サクランボやリンゴなどのバラ科の果樹に多いが、「2種類の異なった品種を植えないと実が成らない」と言われる。これは、両者とも1つの花に雄しべと雌しべを持っているが、自家不和合性といって、同じ木の雄しべと雌しべでは受粉できない。
また、トウモロコシは一つの株に雄花と雌花はつけるが、開花期をずらして、自家受粉の確立を下げるようにしている、これを雌雄異化という。
これらの方法は、遺伝子の多様性を保つためで、子孫を残すための手段。
この目的のために、アボガドは雌しべと雄しべが成熟するタイミングをずらす(これを雌雄異熟という)ことで遺伝子の多様性を図っている。

話が横道にそれましたが、結論として、札幌のような北国でアボカドの実を成らすのは極めて難しいようです。
豊平公園の担当者の話では
「現在展示しているアボガドはタネから育てたと思う。10年以上は経っている。花は1~2回咲いたのか?記憶ははっきりしない。 実は成ったことはない」ということです。

上述したとおり、違うタイプの品種をそれぞれ1株づつ必要なので実が成らないのは当然です。緑のセンターのような生育環境の良いところでこれですから、一般家庭でアボガドに花を咲かせ、さらに実を成らせ収穫するまで育て上げるには、環境の整った場所と適切な管理ができる場合において、多少の可能性があるといったところでしょうか。 この「多少」のニュアンスは、「その可能性は少ないが、ゼロではない、条件によっては起こることもある」。実を成らせることを期待しないで観葉植物として育てるというのであれば、一般的な観葉植物と同様の扱いで問題ないようです。

〇 追記
毎週日曜日の朝放送されるNHKの「趣味の園芸」でアボガドを見ました。 放送日;12月28日(日)
放送内容は、愛媛県のアボカドを栽培されている農家(以前はミカンを栽培)の果樹園を三上真司が訪ね、その農家の方に栽培方法を尋ねたり、試食をする。
・気候が温暖な愛媛県では3~4月に開花し、収穫は11月~とのこと ⇒  開花から収穫まで半年以上かかる
・栽培地は急な斜面で、これがアボガド栽培に適するとのこと ⇒ 水はけの良い土壌を好む
・園地には袋掛けしたアボガドがたくさん落ちていた ⇒ アボガドは生理落下が非常に多いとのこと

 

 

 

 

 

堆肥(5) 樹木・草・菌類のCN率

堆肥の品質をはかる基準にCN率があります。その数値は、おおむね30以上が未熟堆肥、10~20が良質な堆肥と言われています。
それでは、堆肥の材料である樹木や草本などそれぞれ有機物本来のCN率はどれくらいなのでしょうか?

その前に、落ち葉がどのように細かく分解されていくのかを調べて見ました。
① ミミズ、ダンゴムシ、トビムシなどの土壌中の小動物が落ち葉をかじったり、細かく砕いたりして、表面積を増やす。これが微生物の活動を助ける。
② 微生物<※細菌やカビ(糸状菌)>が有機物を分解
・枯草菌     ⇒ 糖・アミノ酸・タンパク質を分解
・トルコデルマ菌 ⇒ セルロース
・放線菌     ⇒ ヘミセルロース
・白色腐朽菌   ⇒ リグニン

● 糖やアミノ酸は細胞内の核や葉緑素などに存在する物質。セルロースやリグニンは細胞壁の物質で、これらは分解しにくく、樹木の堅くてしっかりしているのは、細胞壁にリグニンが多く存在するため。
・糖やアミノ酸、セルロースやリグニンなど有機物の種類によって分解する細菌やカビがそれぞれ異なる。

上述の微生物<細菌やカビ(糸状菌)>によって落ち葉は分解されるが、その意味は、微生物が分解過程で自身の生命維持や組織を増やすためのエネルギーを得ることです。その過程で、有機物はエネルギーの他に水(H₂O)と二酸化炭素(CO₂)に分解されます。
このことは、有機物から酸素(O)、水素(H)、炭素(C)が抜け出て、窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)や微量要素(カルシュウム(Ca)、Ma(マグネシュウム)などの微量要素が残ることになる。

例えば、落ちたばかりの葉に、
炭素(C)が100,窒素(N)が2あったとすると、
それが微生物の分解により、
・落ちたばかりの葉のCN率
C/N = 100/2 = 50
・微生物が分解後のCN率
C/N =  50/2 = 25

落ち葉は微生物の分解により、CN率が
50 ⇒ 25
に下がったことになる。

〇 樹木や草本などのCN率

分類 有機物 CN率
細菌・カビ 細菌・放線菌
糸状菌
光合成菌 80
植物粕  油粕
おから 11
茶粕 12
米ぬか 23
コーヒー粕 23
動物ふん 鶏ふん
豚ふん 11
牛ふん 16
植物繊維 やし繊維 48
ピートモス 52
草本 マメ科植物 10~17
若い草 15~25
成長した草 50
藁(わら) 稲わら 60
もみ殻 75
麦わら 90
樹木 針葉樹落ち葉 20~60
剪定枝 70
樹皮 100~130
おがくず 134~1064
280

・ウィキペディア参照

・菌類のCN率は5~9と低い
・有機質肥料として使う油粕(7)と米ぬか(23)ではCN率に3倍の差がある ⇒ 使い方に注意が必要
・鶏ふん(7)もCN率は低く、化成肥料に近い使い方になる
・若い草はCN率が低いので、落ち葉に比べると堆肥化ははやい
・刈芝は若い草(15~25)と同程度のCN率。ただし、古い芝やサッチ(枯死組織)はリグニンやセルロースが多く、C/N比が高くなる。
・おがくずのCN率が高い理由は、樹皮や辺材は生きた細胞が多く、それらは蛋白質や酵素などの窒素化合物を比較的多く含んでいるため。一方、心材は死んだ組織で、タンニンやフェノールなどを多く含み、これらは、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の3つからなる物質。

 

 

豊平公園緑のセンター クリスマスの装い

豊平公園緑のセンターの展示温室がおしゃれな飾りつけでクリスマスの装いに整えられました。
2025.12.13
樹高が4mほどのコニファー(針葉樹)にイルミーネーションが飾り付けられています。 日が暮れるころ点滅する青い光がより輝きを増します。
2025.12.13
晩秋からクリスマスにかけて、展示温室内はポインセチアの真っ赤な葉で一杯になります。
最近は、ピンク色の葉のプリンセチアもあります。名前の由来は
プリンセス+ポインセチアから来ています。

2025.12.13
2025.12.13
格子状の木製のパネル、ラティスにはリース(円形状)やスワッグ(モミやヒバなどの針葉樹の枝で作った飾り物)が展示されて
います。
2025.12.13
これは、ミニシクラメンのリース。シクラメンの赤味がかったピンクに白い縁取りの花弁がかわいいです。

 

 

堆肥 (4) 落ち葉

今から20年近く前、札幌市南区にあるエドウィン・ダン記念公園の落ち葉(ハルニレ、オニグルミ、モミジ、イタヤカエデ、シラカバ、※エゾヤマザクラ、キハダなど札幌の自然林に生えている北海道を代表する樹木の落ち葉)で堆肥づくりをしたことがあります。
※「サクラの葉は堆肥に適さない」とたまに耳にしますが、その理由は葉の組織が硬いために分解が遅くなるためのようです。また、サクラの葉にはクマリンという物質、桜餅の甘い香り、あれがクマリンの香りで、それが微生物の活動を抑制する働きがあるようです。そのため、サクラの葉だけで堆肥をつくろうとすると上述の落葉樹に比べて時間がかかるようです。 しかし、これらを混ぜて堆肥化しても問題はなかったです。

堆肥の作り方は、
① 事前に、コンパネ(合板)で囲った置き場所を2桝作成して置き、
②11月上旬に落ち葉を集め、それを2桝の片側に積み上げて、ブルーシートで被う
③ 12月中旬までに約10日~2週間の間隔?で落ち葉を3回?程、空いた桝に入れ替える作業、切り返しをする。 そのときに水分を補給するために水をかけ、ブルーシートで被う
※良質な堆肥をつくるには、①水分、②空気(切り返し)③温度、④期間 が必要。

2010.11

以上のように落ち葉堆肥の作り方は簡単です。
以下の表が、そのときの堆肥の成分分析表です。

落ち葉の積み上げ時?、切り返し時?かは、はっきりしないのですが、落ち葉の分解を促進するために粒状の札幌コンポスト(下水道汚泥)を投入し、また、堆肥作成期間中24時間測れる温度計を設置しています。
落ち葉を3回?程切り返しているのですが、それぞれの切り返し後の温度は、最初(1回目)の切り返し時にはそれほど温度は上がらす、2回目の切り返し後に60℃半ば前後まで上がり、3回目は2回目の切り返し後の温度より低かった(50℃には達せず、40℃半ば?)記憶があります。

堆肥作成中の堆肥の温度がどれくらい上がるか?は重要で、
・理想的な温度は60~70℃、最低で50℃以上は必要とされています。 その理由は、前者の温度帯では有機物の分解が活発に進み、病原菌や雑草種子も死滅するため、良質な堆肥ができます。一方、後者の50℃は「発酵が成立する最低温度」で、病原菌や種子の完全死滅には不十分で、50℃以下では未熟堆肥になる可能性があるそうです。

〇 落ち葉堆肥の成分表

水分 71.6%
pH 7.3 酸度はアルカリ性
全窒素 2.2% N
リン酸 2.3% P
カリウム 0.3% K
カルシュウム 11.5% Ca 下水道汚泥の投入が原因
全炭素 35% 完熟堆肥の目安;20~40%
CN比 16 完熟堆肥の目安;10~20

※ 落ち葉堆肥の分析は、翌春(3月?)に実施

〇  全炭素とCN率の関係
CN率は、
全炭素  ÷  窒素全量     CN率
35%     ÷  2.2%  =  15.9 ≒ 16

〇 落ち葉堆肥の評価
・CN率が16で、完熟堆肥の目安が10~20なので、この落ち葉堆肥は完熟堆肥である
・窒素(N);2.2%、・リン酸(P);2.2%、カリ(K);0.3%の割合で入っているが、今回この落ち葉堆肥に入れた札幌コンポスト(下水道汚泥)の窒素;2~4%、リン酸;2~6%、カリ;0~1% の割合なので、これが大きく影響しているようである。
・窒素とリン酸の割合は、前々回投稿した牛糞堆肥と同程度なので、肥料効果もある程度期待できる。
・カルシュウム(Ca)の割合が11.5%と高いのは、札幌コンポスト(下水道汚泥)にCaが多く含まれていることが影響しているようである。
・酸度(pH)が7.3とアルカリ性であるので、「畑土の酸性土壌を矯正する効果はあるか?」については、
酸性土壌を矯正するために使われる資材として苦土石灰があるが、この資材の酸度(pH)は9.5~10.5の強アルカリ性で、また、この資材に含まれるCa量は50~55%とかなり高く、一方、落ち葉堆肥のCa量 は11.5%と割合が低いので、
「少しアルカリ性に片寄っているので酸度を矯正する効果はそれほどではないが、良質な土壌改良剤」と考えて良いと思われる。

<追記>
札幌コンポストは2013年に製造を終了しています。

 

 

 

 

 

 

堆肥(3)  剪定枝

〇 札幌市が配布している堆肥について
豊平公園で緑の相談員をしている方が、
「山本処理場に堆肥を取りに行ったときに、係の人から渡されたものだよ」
と言って、以下の用紙を私に見せてくれました。

その用紙の大きさはA4で、内容は、右半分に堆肥の積込み時等の注意事項と会場の案内図が書かれていて、左半分に堆肥の成分が記載されています。
札幌市では毎年5月~11月の期間中の4週に1回、個人の庭から出る剪定枝などの回収を行っています。 それを堆肥化して、毎年秋に1度、市民に配布する事業を行っているのです。

この堆肥の成分表を見ると、

窒素全量 0.47% N
リン酸全量 0.35% P
カリ全量 0.33% K
※有機炭素 5.75% 堆肥としては低い値
 炭素窒素比 12.4% CN率  この値は完熟堆肥
水分含有量 35.6%
水素イオン濃度 6.9 pH

〇 有機炭素の意味
堆肥成分の中で、有機炭素の割合が多いほど未熟な堆肥を、少ないほど完熟している堆肥を意味する。
未熟堆肥や有機物が多い堆肥:有機炭素含有率は 20〜40%。
完熟堆肥:分解が進み、炭素量は減少して 10〜20%程度になることが多い。

〇  有機炭素とCN率の関係
CN率は、
有機炭素  ÷  窒素全量    CN率
5.75% ÷  0.47% = 12.23 ≒ 12.4
以上の式で表せるが、
CN率とは、 堆肥の肥料効果や分解速度・程度を判断する重要な指標となります。
また、堆肥の分解速度とは、
堆肥中の有機物(炭素C・水素H・窒素Nなどを含む有機化合物)が、微生物の働きによって分解され、最終的に 、二酸化炭素(CO₂)や水(H₂O)、アンモニア(NH₃)などの無機物に変化していく速度や割合 を指します。
ので、CN率が低いほど有機物が分解されて、堆肥の中の窒素分の量ではなく、割合(%)が大きくなることを意味します。

〇 札幌市清掃局が配布している堆肥の評価
・札幌市清掃局が資源回収で1年間の間に集めた剪定枝等は、数回(2~3回?)の切り替えしを行って剪定枝の分解促進を図っている。
・このためにCN率は12.4と低く、完熟堆肥になっている。
・肥料分(N・P・K)は1%以下なので、その効果はあまり期待できないが、土壌の団粒構造の形成や保水性の改善には十分と考えられる。