堆肥(8) 未熟堆肥と窒素飢餓 その2

狭い面積で栽培する家庭菜園で、未熟堆肥が問題になるのは、どのようなケースが考えられるでしょうか?
畑に有機物を入れるのは、未熟堆肥だけではなく、生の有機物を入れる場合もあります。
未熟堆肥は有機物の分解が途中の段階もの、若しくは、分解が不十分な堆肥のことを指します。
それで思い出すのが、料理から出る野菜くずを家庭用コンポスターで堆肥をつくろうと思ったときのことです。

家庭用コンポスター
プラスチック製で、下の底部分が抜けていて畑の片隅に10cm程埋め込む。上部は蓋になっていて、そこから野菜くずを投入

野菜くずはほぼ毎日出るので、その都度コンポスターに入れていたのですが、1ヵ月も経たない 内にコバエが大量発生して蓋を開けるのも嫌になってしましました。 5月半ばに入れ始めて6月半ばには止めてしまいました。その都度かき混ぜて少し土をかければコバエの発生を抑えられたと思うのですが、それが出来なくて、それ以降野菜くずを入れずにそのまま放っておき、翌春畑に混ぜ込みました。

家庭菜園で未熟な堆肥を使うケースは上述の家庭菜園用コンポスターが頭に浮かぶくらいです。それよりも、収穫後に出る野菜残渣、米ぬか、コーヒーかす、落ち葉などの生の有機物を畑に入れることが多いように思うのです。
それで、今回は上述の3種、米ぬか、コーヒーかす、落ち葉をそのまま畑に入れる場合について検討してみます。 収穫後に出る野菜残渣については、連作障害や病原菌の問題もあり、別の機会に改めて投稿します。

米ぬか
家庭菜園をする方は、化学肥料を使わない有機栽培で甘味のある美味しい野菜をつくりたいという理由で、米ぬかを植付時に施用する場合があると思います。

〇 なぜ米ぬかは野菜に良いのか?
米ぬかは玄米を精製して白米にするときに取り除かれる外皮や胚芽の部分のことで、栄養分がとても豊富。 胚芽とは芽と根を出す部分で、イネが成長するためのすべての栄養素が詰まった部分。なので米ぬかには、窒素(N)リン酸(P)、カリ(K)や微量要素がバランスよく入っている。

〇 しかし、生の米ぬかを植付前に施用すると、
米ぬかは微粉性なので、微生物は増殖を活発化して自分の体(CN比;8~10)をつくろうとするが、米ぬか内にある窒素(N)分では不足するので、土壌中の窒素を取り入れようとし窒素飢餓が現われることになる。 米ぬかのCN比は18~23だが、園芸店で販売されているのものは脱脂されているのが多く、CN比;20~23と高い。

〇 植付前の米ぬか施用が窒素飢餓を起こしやすい原因
米ぬかの微粉性とそれに伴う微生物の増殖の活発化(微生物が土壌中の窒素を急速に取り込み、作物が利用できる窒素を一時的に不足させること)が大きな原因である。

〇 窒素飢餓以外に、米ぬかの大量施用が作物に与える影響
施用直後に微生物が急激に増殖するため、土壌中の酸素を大量に消費する。これが根の呼吸障害(酸素不足)や根腐れの原因となる。

〇 どれくらいの量を畑に入れると、窒素飢餓の症状がでるのか?
米ぬかに関するサイトでは、
「1kg/㎡入れると窒素飢餓がでる」
と書かれている。 米ぬかの比重を0.5とすると、1kgは2リットル。2L/㎡を撒いてしまう可能性は十分にありうる。畑にまいたときは土の表面が真っ白になり、まきすぎたかな?と思うが、剣先スコップですき込めば白い粉が散らばる。
AIに尋ねると、
300g/㎡以上は危険と言っている。
それではどれくらいなら大丈夫なのか?
⇒ 100~200g/㎡
この量は少ないように思えるが、植付まで日数、土壌の質、施用時の気温、乾燥しているか?降雨後か?など様々な状況や変動を考えると、100~200g/㎡が妥当な数値になるのか。

この100~200g/㎡は、
・100g/㎡;畑の表面にうっすらと白っぽい粉がかかったような状態
・200g/㎡;表面がうっすらとベージュ〜白っぽく見えるくらいで、地面の色がうっすら透けて見える程度

コーヒーカス
緑の相談で、
「コーヒーかすが相当貯まっている。 畑にまきたいが大丈夫か? 」
という相談を受けることがあります。 相談者はやはりコーヒーのあの苦み成分が作物に害を与えるのではないか?と危惧しているのです。

〇 コーヒーかすの特徴
・コーヒーかすのCN比;約20~25
・pH;5~6(やや酸性)

〇 コーヒーの苦み成分(カフェイン)は作物にどのような作用(影響)をするか?
・カフェインはアルカロイドの一種で、コーヒーの他にお茶、カカオなどにも存在し、他の植物の種子発芽や初期成長を抑制する作用がある
・なので、生のままコーヒーかすを畑に施用すると、タネをまいても発芽しなかったり、根の成長を抑制・阻害する可能性がある

〇 生のコーヒーかすを畑にまく場合、タネまきや野菜苗を植付ける何日前に、どれくらいの量をまくのが安全か?
・施用時期  ;最低でも3~4週間前(他の堆肥と併せて)
・施用量の目安;100~300g/㎡に抑えるのが無難

〇 コーヒーかすを落ち葉などと混ぜて堆肥化すれば、発芽抑制など原因となるカフェインは分解されるので問題なく使える

〇 コーヒーかすにあるカフェインは、害虫を寄せ付けない効果がある。 これを「害虫忌避・摂食抑制効果」という。
・しかし、この効果もコーヒーかすの分解が進むと薄れるので、施用時期と量がポイントになる。
・施用時期;野菜苗の植付直後から数日以内
・施用場所;株元周囲に薄くまく、揮発性成分の効果を生かすために畑土と混ぜない
・施用量 ;5~10g/株(ティースプーン山盛り1~2杯程度)

〇 コーヒーかすを
・堆肥として利用する場合
・害虫の忌避剤として使用する場合
では施用量・使用方法が異なるので注意が必要。

〇 おまけの話
コーヒーカップ1杯に使うコーヒー豆、又は挽いたコーヒー豆の重さは約10g。 毎朝欠かさず1杯飲むとすると1年間で貯まる量は、
・10g/杯 ×365日 = 3650g/年
・畑に200g/㎡をまくとすると、
3650g ÷ 200g/㎡ ≒ 18.25 ≒ 18㎡
・毎日1杯づつ飲んだコーヒーの残りかすを1年間貯めておくと、約18㎡の畑にまき・すき込むことができる。

落ち葉
11月に身近な公園などで集めた落ち葉をそのまま畑にすき込む方もいると思います。これも生の有機物を畑に入れることになり、その量が多くなると窒素飢餓の可能性が出てきます。それでは、どれくらいの量を入れると、その可能性が出てくるのでしょうか?

〇 落ち葉の特徴
・CN比は50~90と高め
・これが高いということは、落ち葉を分解する微生物はより多くの窒素を必要とする

〇 落ち葉の害が出やすい投入量
AIに尋ねると、
・5kg/㎡以上入れると、微生物が落ち葉を分解するときに必要な窒素の量が増え、窒素飢餓の可能性が高まる
・特に、気温が上がる5月中旬以降のタネまき・苗の植付時に影響が出やすい

〇 適正投入量はどのくらいか?
・乾燥した落ち葉2~3kg/㎡が目安

〇落ち葉を化成肥料袋(20kg入り)に入れた場合の重さ
・落ち葉の乾燥状態や詰め方で重量が変わるので、
・乾燥した葉でしっかり詰めたば場合 → 1.5~2.5kg
・葉に湿り気があってしっかり詰め込んだ場合 → 3~4kg

札幌の場合、11月前後なると地面は常時湿気った状態になり、乾燥した葉ばかりではないので、
・公園などで集めた落ち葉を化成肥料袋(20kg入り)に詰め込んだ場合、概ね約3kg/袋と推定。
・畑に入れる落ち葉の適正量が2~3kg/㎡で、化成肥料袋(20kg入り)に詰め込んだ落ち葉の重さは約3kgなので、
・1㎡当たり化成肥料袋(20kg入り)を1袋入れることになる。

〇 我家の家庭菜園で落ち葉を入れていみた
以下は、10年前に公園で集めた落ち葉を我家の畑に入れたときに投稿したブログです。

⇒ 落葉堆肥(その3)

久しぶりに読んでみて、今回の内容とそれほど違ったことを言ってないことに安心しました。

 

 

 

 

堆肥 (7) 未熟堆肥と窒素飢餓

◉未熟堆肥とはどのようなものか?
堆肥とは、菌類などの微生物が有機物(落ち葉や剪定枝、生ごみ、家畜のふん)を分解してできたもので、植物がそれを使って自分の体を成長させる栄養源です。未熟堆肥はその分解が不十分な状態のものです。葉や枝などの原型が残っていたり、強い臭いが残っていることもあります。 ※CN比で25~30以上の数値の堆肥
※CN比30とは、堆肥の中に炭素と窒素の比率が炭素(C)30に対して、窒素(N)が1の割合で存在することを意味します。

◉ なぜ、未熟堆肥を畑に入れると良くないのか?=なぜ、窒素飢餓を起こすのか?
未熟堆肥を畑に大量に入れることは、樹木の枝や落葉など炭素(C)を大量に内在している物質を土に入れることになります。菌類などの微生物はそれらを餌にしてエネルギーを得たり、自分の細胞を増殖して成長します。そのときに炭素(C)、水素(H)、酸素(O)は必要ですが、それとともに窒素(N)も当然に必要です。それではなぜ窒素(N)が不足(飢餓)するのでしょうか?
それは、樹木や落ち葉などのCN比は50~100に対して、微生物の体自体のCN比 は8~10と言われています。なので、土の中には自分の体をつくる炭素(C)などは周りにたくさんあるけれど、窒素(N)は自分の体のCN構成比を満足させるだけありません。そのために、微生物は元々土壌中に存在する窒素を利用することになります。このことは、野菜苗や花壇苗が利用するはずだった土壌中の窒素を奪うことを意味するので、苗類にとって窒素不足=窒素飢餓になるのです。

それでは、具体的に未熟堆肥を畑に入れた場合、どれくらい窒素が不足するのか、言い換えると、菌類など微生物はどれくらい土壌から窒素(N)を取り込んでいるのか?を計算してみます。
〇 条件の設定
・2kg/㎡ の堆肥を入れる(毎年2kg/㎡を畑に入れることが推奨されている)
・堆肥の全炭素(C);60%
・堆肥の全窒素(N);2%
※この堆肥のCN比は30、 60 ÷ 2 = 30
・微生物のCN比を10と仮定 菌類など微生物のCN比は8~10といわれている。

以上の条件で計算すると、
①投入された炭素と窒素の量(1㎡当たり)
・炭素量;2kg × 60% = 1200g
・窒素量;2kg ×  2% = 40g
②微生物がこの炭素を使って増殖するために必要な窒素量
・微生物のCN率;10 なので、
→ 必要な窒素 = 1200g ÷ 10 = 120g
③不足する窒素量
・必要窒素;120g ー 堆肥中の窒素;40g = 80g
・窒素80gを化成肥料8-8-8に換算すると、この化成肥料は100g中に8gの窒素(N)が入っているので、1000gの化成肥料8-8-8に相当

結論
この条件(CN比30の未熟堆肥を投入)では、微生物が堆肥中の炭素(C)を分解する過程で、土壌中から約80g/㎡の窒素(N)を吸収することになる。

それでは、
◉DCMホーマックで販売されている牛ふん堆肥はどうでしょうか?
〇 条件の設定
・2kg/㎡ の堆肥を入れる(毎年2kg/㎡を畑に入れることが推奨されている)
・堆肥の全炭素;18.9%
DCMホーマックの牛ふん堆肥の袋には炭素量(%)が記載されていないので、以下の計算式から推測
全炭素 ÷ 全窒素 = CN比 なので、
X   ÷ 0.9    = 21
X   ≒ 18.9
・堆肥の全窒素;0.9%
・微生物のCN比を10と仮定

以上の条件で計算すると、
①投入された炭素と窒素の量(1㎡当たり)
・炭素量;2kg × 18.9% = 378g
・窒素量;2kg ×  0.9% = 18g
②微生物がこの炭素を使って増殖するために必要な窒素量
・微生物のCN比;10 なので、
→ 必要な窒素 = 378g ÷ 10 = 37.8g
③不足する窒素量
・必要窒素;37.8g ー 堆肥中の窒素;18g = 19.8g

結論 DCMホーマック の牛ふん堆肥のCN比は21で、堆肥として十分に使えるものですが、それでも、微生物は土壌から約20g/㎡の窒素を吸収しています。

◉剪定枝の場合
〇 条件の設定
・2kg/㎡ の堆肥を入れる(毎年2kg/㎡を畑に入れることが推奨されている)
・堆肥の全炭素;5.75%
・堆肥の全窒素;0.47%
・微生物のCN率を10と仮定

以上の条件で計算すると、
①投入された炭素と窒素の量(1㎡当たり)
・炭素量;2kg × 5.75% = 116g
・窒素量;2kg × 0.47% = 9.4g
②微生物がこの炭素を使って増殖するために必要な窒素量
・微生物のCN比;10 なので、
→ 必要な窒素 = 116g ÷ 10 = 11.6g
③不足する窒素量
・必要窒素;11.6g ー 堆肥中の窒素;9.4g = 2.2g

結論 CN比が12.4の完熟堆肥 でも、菌類など微生物は土壌中からの窒素を必要としています。しかし、その量は未熟堆肥(CN比;30)やDCMホーマックの牛ふん堆肥(CN比;21)に比べて少ないです。

◉ まとめ
1㎡あたり2kgの堆肥を入れた場合、

名称 CN比 不足した窒素量
堆肥未熟 30 80g
牛ふん堆肥 21 19.8g
剪定枝堆肥 12.4 2.2g

〇上表で分かったことは、
・完熟堆肥でも窒素の量は少ないが 、菌類は土壌から窒素を取り込んでいる
・堆肥が未熟なほど、菌類など微生物は土壌中からの窒素の取り込み量が多くなる
しかし、上表の数値は投入された2kg/㎡の堆肥すべてを分解した場合で、実際に畑に入れた堆肥がすぐにすべての炭素を分解するわけではないのです。
たとえば、
札幌で5月上旬に堆肥を畑にすき込んだ場合、
・札幌の5月上旬:平均気温は10~15°くらい
・土壌温度もまだ低めなため、微生物の活動はゆっくり始まる
・堆肥は未熟で、CN比が高い ので、分解に時間がかかる

以上のことから、
・窒素の半分が吸収される時期は、6月中旬~下旬頃
・窒素の全量が吸収される時期は、7月中旬~8月上旬(盛夏)

以上のように投入された堆肥2kg/㎡の全量の窒素が微生物に吸収されるのは、お盆前で5月上旬に堆肥を入れてから約4か月かかることになります。
なので、市販されている牛ふん堆肥を前年の秋に、または植付け3週間前にすき込むなど、一般的に言われているような農作業をしていれば問題は起こらないのです。私は家庭菜園を40年近くやっていますが、植付け前日に堆肥(化成肥料と併せて)をすき込むこともたびたびあります。葉が黄色くなる、成長が芳しくないなど窒素飢餓と思われる現象を経験したことはないのです。

それでは、どのような場合に窒素飢餓が発生するのでしょうか?

 

堆肥 (6) 牛糞・剪定枝・落ち葉 比較

下表は、以前に投稿した牛ふん・剪定枝・落ち葉それぞれの堆肥成分を比較したものです。

  項目 単位 牛糞 剪定枝 落ち葉
窒素(N) 0.9 0.47 2.2
リン酸(p) 1.0 0.35 2.3
カリ((K) 1.2 0.33 0.3
有機炭素 5.75 35.0
炭素窒素比 21 12.4 16
水分含有量 35.6 31.6
水素イオン濃度(pH) 6.9 7.3
カルシュウム 11.5

・「肥料取締法」において堆肥を販売する場合、下記①~⑥の6項目を表示することが義務づけられている
① 窒素(N)
② リン酸(p)
③ カリ(K)
④ CN比
⑤ 水分
⑥ 原料
・牛糞堆肥の原料は牛糞の他に、おがくず、樹皮、もみ殻を混ぜたもので、その配合割合は分からない。

⇒ 堆肥(2) 市販されている牛糞堆肥の中身
⇒ 堆肥(3)  剪定枝

 

 

◎3種類の堆肥の比較と評価
・剪定枝や植物残渣など有機物を堆肥化すると、pHは6.5~8.0の範囲で安定するが、
・生芝など草本植物や野菜残渣などには窒素(N)分が含まれているため、アンモニア(NH₃;強アルカリ性 )が生成され、pHが7.5~8.0と上がりやすい
・落ち葉や剪定枝など木質系有機物は元々窒素(N)分が抜けているので、それらからできた堆肥は酸性寄り(6.5~7.0)になる傾向 がある
・落ち葉堆肥は本来は弱酸性に傾くが、今回の落ち葉堆肥は汚泥コンポストが入っているので、pHが7.3とアルカリ性を示したようである
・3種の堆肥のCN率は、
① 牛糞堆肥(市販);21
② 剪定枝堆肥   ;12.4
③ 落ち葉堆肥   ;16
であるが、
・家庭菜園で使用する堆肥の適正CN率の範囲は、10~20なので、②剪定枝堆肥と③落ち葉堆肥がその部類に入る。①市販の牛糞堆肥のCN率は21と適正範囲を1オーバーしているので、前年の秋季にすき込みするがベストで、それができなければ、タネまきや苗の植付けの3週間~1ヵ月前が推奨される。
・その理由;CN率が20以上の堆肥は、まだ分解が進行中の未熟堆肥である可能性がある?、高い?ので、畑にすき込みのタイミングを誤ると作物にダメージを与えることもあるため

〇 完熟堆肥とは
完熟堆肥であるかどうかの判断の目安の一つとしてCN率があり、その数値が10~20とされてます。しかし、それはあくまでも一つの目安であり、完熟堆肥かどうかの判断は、
「腐敗臭がなく、色は黒褐色で、原材料の形があまり残っていない」
など堆肥を手に取って臭いを嗅ぐなど堆肥そのものを確認することが大事です。

〇 我家において家庭菜園での堆肥(市販の牛ふん堆肥)の取り扱い方
豊平公園の緑の相談で、春先に堆肥の使い方の質問があった場合は、
「トマトなどの苗を植え付ける3週間~1ヵ月前に堆肥を畑にすき込むように」とお話をしています。
しかし、実際はなかなかそのように間を置くことが難しい場合もあり、苗を植え付ける前日に堆肥を入れることもたびたびあります。それでも今まで30年以上家庭菜園をやっていて、苗を痛めることはなかったのですが、いくつか心がけていることはあります。
・野菜の種類によって、例えば、レタスやホウレンソウなどの葉菜類は浅めの10~15㎝、ダイコンやニンジンなどの根菜類は少し深めの20~25cmの深さに入れろ  と言われていますが、家庭菜園では小面積に多種類の野菜苗などを植え付けるので、
・剣先スコップで30~40cmと深めに掘り起こして堆肥をすき込む
・堆肥の入れる量は、2kg/㎡。
これをホーマックで販売されている牛ふん堆肥で計算すると、ホーマックの牛ふん堆肥は40lと20lの2種類があり、今回は40l/袋で、牛ふん堆肥の比重を0.5で計算すると、
40L/袋 ×  0.5=20kg/袋
1㎡当たり2kgを入れるので、
20kg/袋 ÷ 2kg/㎡ = 10㎡/袋

となり、ホーマックで購入する牛ふん堆肥40L/袋は、約10㎡の畑にすき込むことができます。

ということで、我家の家庭菜園では、深く起こして堆肥をすき込み、堆肥の投入量は2Kg/㎡、 この2点を守って牛ふん堆肥を入れています。

〇 毎年、畑に堆肥2kgを入れる理由
以前は北海道でも2Kg/㎡ を推奨していたが、現在は過剰施肥の観点から、土壌診断に基づいた施肥が進んでいます。一方、道民向け家庭菜園関連書物では、多くの作物に2kg/㎡が使われています。

 

堆肥(5) 樹木・草・菌類のCN率

堆肥の品質をはかる基準にCN率があります。その数値は、おおむね30以上が未熟堆肥、10~20が良質な堆肥と言われています。
それでは、堆肥の材料である樹木や草本などそれぞれ有機物本来のCN率はどれくらいなのでしょうか?

その前に、落ち葉がどのように細かく分解されていくのかを調べて見ました。
① ミミズ、ダンゴムシ、トビムシなどの土壌中の小動物が落ち葉をかじったり、細かく砕いたりして、表面積を増やす。これが微生物の活動を助ける。
② 微生物<※細菌やカビ(糸状菌)>が有機物を分解
・枯草菌     ⇒ 糖・アミノ酸・タンパク質を分解
・トルコデルマ菌 ⇒ セルロース
・放線菌     ⇒ ヘミセルロース
・白色腐朽菌   ⇒ リグニン

● 糖やアミノ酸は細胞内の核や葉緑素などに存在する物質。セルロースやリグニンは細胞壁の物質で、これらは分解しにくく、樹木の堅くてしっかりしているのは、細胞壁にリグニンが多く存在するため。
・糖やアミノ酸、セルロースやリグニンなど有機物の種類によって分解する細菌やカビがそれぞれ異なる。

上述の微生物<細菌やカビ(糸状菌)>によって落ち葉は分解されるが、その意味は、微生物が分解過程で自身の生命維持や組織を増やすためのエネルギーを得ることです。その過程で、有機物はエネルギーの他に水(H₂O)と二酸化炭素(CO₂)に分解されます。
このことは、有機物から酸素(O)、水素(H)、炭素(C)が抜け出て、窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)や微量要素(カルシュウム(Ca)、Ma(マグネシュウム)などの微量要素が残ることになる。

例えば、落ちたばかりの葉に、
炭素(C)が100,窒素(N)が2あったとすると、
それが微生物の分解により、
・落ちたばかりの葉のCN率
C/N = 100/2 = 50
・微生物が分解後のCN率
C/N =  50/2 = 25

落ち葉は微生物の分解により、CN率が
50 ⇒ 25
に下がったことになる。

〇 樹木や草本などのCN率

分類 有機物 CN率
細菌・カビ 細菌・放線菌
糸状菌
光合成菌 80
植物粕  油粕
おから 11
茶粕 12
米ぬか 23
コーヒー粕 23
動物ふん 鶏ふん
豚ふん 11
牛ふん 16
植物繊維 やし繊維 48
ピートモス 52
草本 マメ科植物 10~17
若い草 15~25
成長した草 50
藁(わら) 稲わら 60
もみ殻 75
麦わら 90
樹木 針葉樹落ち葉 20~60
剪定枝 70
樹皮 100~130
おがくず 134~1064
280

・ウィキペディア参照

・菌類のCN率は5~9と低い
・有機質肥料として使う油粕(7)と米ぬか(23)ではCN率に3倍の差がある ⇒ 使い方に注意が必要
・鶏ふん(7)もCN率は低く、化成肥料に近い使い方になる
・若い草はCN率が低いので、落ち葉に比べると堆肥化ははやい
・刈芝は若い草(15~25)と同程度のCN率。ただし、古い芝やサッチ(枯死組織)はリグニンやセルロースが多く、C/N比が高くなる。
・おがくずのCN率が高い理由は、樹皮や辺材は生きた細胞が多く、それらは蛋白質や酵素などの窒素化合物を比較的多く含んでいるため。一方、心材は死んだ組織で、タンニンやフェノールなどを多く含み、これらは、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の3つからなる物質。

 

 

堆肥 (4) 落ち葉

今から20年近く前、札幌市南区にあるエドウィン・ダン記念公園の落ち葉(ハルニレ、オニグルミ、モミジ、イタヤカエデ、シラカバ、※エゾヤマザクラ、キハダなど札幌の自然林に生えている北海道を代表する樹木の落ち葉)で堆肥づくりをしたことがあります。
※「サクラの葉は堆肥に適さない」とたまに耳にしますが、その理由は葉の組織が硬いために分解が遅くなるためのようです。また、サクラの葉にはクマリンという物質、桜餅の甘い香り、あれがクマリンの香りで、それが微生物の活動を抑制する働きがあるようです。そのため、サクラの葉だけで堆肥をつくろうとすると上述の落葉樹に比べて時間がかかるようです。 しかし、これらを混ぜて堆肥化しても問題はなかったです。

堆肥の作り方は、
① 事前に、コンパネ(合板)で囲った置き場所を2桝作成して置き、
②11月上旬に落ち葉を集め、それを2桝の片側に積み上げて、ブルーシートで被う
③ 12月中旬までに約10日~2週間の間隔?で落ち葉を3回?程、空いた桝に入れ替える作業、切り返しをする。 そのときに水分を補給するために水をかけ、ブルーシートで被う
※良質な堆肥をつくるには、①水分、②空気(切り返し)③温度、④期間 が必要。

2010.11

以上のように落ち葉堆肥の作り方は簡単です。
以下の表が、そのときの堆肥の成分分析表です。

落ち葉の積み上げ時?、切り返し時?かは、はっきりしないのですが、落ち葉の分解を促進するために粒状の札幌コンポスト(下水道汚泥)を投入し、また、堆肥作成期間中24時間測れる温度計を設置しています。
落ち葉を3回?程切り返しているのですが、それぞれの切り返し後の温度は、最初(1回目)の切り返し時にはそれほど温度は上がらす、2回目の切り返し後に60℃半ば前後まで上がり、3回目は2回目の切り返し後の温度より低かった(50℃には達せず、40℃半ば?)記憶があります。

堆肥作成中の堆肥の温度がどれくらい上がるか?は重要で、
・理想的な温度は60~70℃、最低で50℃以上は必要とされています。 その理由は、前者の温度帯では有機物の分解が活発に進み、病原菌や雑草種子も死滅するため、良質な堆肥ができます。一方、後者の50℃は「発酵が成立する最低温度」で、病原菌や種子の完全死滅には不十分で、50℃以下では未熟堆肥になる可能性があるそうです。

〇 落ち葉堆肥の成分表

水分 71.6%
pH 7.3 酸度はアルカリ性
全窒素 2.2% N
リン酸 2.3% P
カリウム 0.3% K
カルシュウム 11.5% Ca 下水道汚泥の投入が原因
全炭素 35% 完熟堆肥の目安;20~40%
CN比 16 完熟堆肥の目安;10~20

※ 落ち葉堆肥の分析は、翌春(3月?)に実施

〇  全炭素とCN率の関係
CN率は、
全炭素  ÷  窒素全量     CN率
35%     ÷  2.2%  =  15.9 ≒ 16

〇 落ち葉堆肥の評価
・CN率が16で、完熟堆肥の目安が10~20なので、この落ち葉堆肥は完熟堆肥である
・窒素(N);2.2%、・リン酸(P);2.2%、カリ(K);0.3%の割合で入っているが、今回この落ち葉堆肥に入れた札幌コンポスト(下水道汚泥)の窒素;2~4%、リン酸;2~6%、カリ;0~1% の割合なので、これが大きく影響しているようである。
・窒素とリン酸の割合は、前々回投稿した牛糞堆肥と同程度なので、肥料効果もある程度期待できる。
・カルシュウム(Ca)の割合が11.5%と高いのは、札幌コンポスト(下水道汚泥)にCaが多く含まれていることが影響しているようである。
・酸度(pH)が7.3とアルカリ性であるので、「畑土の酸性土壌を矯正する効果はあるか?」については、
酸性土壌を矯正するために使われる資材として苦土石灰があるが、この資材の酸度(pH)は9.5~10.5の強アルカリ性で、また、この資材に含まれるCa量は50~55%とかなり高く、一方、落ち葉堆肥のCa量 は11.5%と割合が低いので、
「少しアルカリ性に片寄っているので酸度を矯正する効果はそれほどではないが、良質な土壌改良剤」と考えて良いと思われる。

<追記>
札幌コンポストは2013年に製造を終了しています。