堆肥 (4) 落ち葉

今から20年近く前、札幌市南区にあるエドウィン・ダン記念公園の落ち葉(ハルニレ、オニグルミ、モミジ、イタヤカエデ、シラカバ、※エゾヤマザクラ、キハダなど札幌の自然林に生えている北海道を代表する樹木の落ち葉)で堆肥づくりをしたことがあります。
※「サクラの葉は堆肥に適さない」とたまに耳にしますが、その理由は葉の組織が硬いために分解が遅くなるためのようです。また、サクラの葉にはクマリンという物質、桜餅の甘い香り、あれがクマリンの香りで、それが微生物の活動を抑制する働きがあるようです。そのため、サクラの葉だけで堆肥をつくろうとすると上述の落葉樹に比べて時間がかかるようです。 しかし、これらを混ぜて堆肥化しても問題はなかったです。

堆肥の作り方は、
① 事前に、コンパネ(合板)で囲った置き場所を2桝作成して置き、
②11月上旬に落ち葉を集め、それを2桝の片側に積み上げて、ブルーシートで被う
③ 12月中旬までに約10日~2週間の間隔?で落ち葉を3回?程、空いた桝に入れ替える作業、切り返しをする。 そのときに水分を補給するために水をかけ、ブルーシートで被う
※良質な堆肥をつくるには、①水分、②空気(切り返し)③温度、④期間 が必要。

2010.11

以上のように落ち葉堆肥の作り方は簡単です。
以下の表が、そのときの堆肥の成分分析表です。

落ち葉の積み上げ時?、切り返し時?かは、はっきりしないのですが、落ち葉の分解を促進するために粒状の札幌コンポスト(下水道汚泥)を投入し、また、堆肥作成期間中24時間測れる温度計を設置しています。
落ち葉を3回?程切り返しているのですが、それぞれの切り返し後の温度は、最初(1回目)の切り返し時にはそれほど温度は上がらす、2回目の切り返し後に60℃半ば前後まで上がり、3回目は2回目の切り返し後の温度より低かった(50℃には達せず、40℃半ば?)記憶があります。

堆肥作成中の堆肥の温度がどれくらい上がるか?は重要で、
・理想的な温度は60~70℃、最低で50℃以上は必要とされています。 その理由は、前者の温度帯では有機物の分解が活発に進み、病原菌や雑草種子も死滅するため、良質な堆肥ができます。一方、後者の50℃は「発酵が成立する最低温度」で、病原菌や種子の完全死滅には不十分で、50℃以下では未熟堆肥になる可能性があるそうです。

〇 落ち葉堆肥の成分表

水分 71.6%
pH 7.3 酸度はアルカリ性
全窒素 2.2% N
リン酸 2.3% P
カリウム 0.3% K
カルシュウム 11.5% Ca 下水道汚泥の投入が原因
全炭素 35% 完熟堆肥の目安;20~40%
CN比 16 完熟堆肥の目安;10~20

※ 落ち葉堆肥の分析は、翌春(3月?)に実施

〇  全炭素とCN率の関係
CN率は、
全炭素  ÷  窒素全量     CN率
35%     ÷  2.2%  =  15.9 ≒ 16

〇 落ち葉堆肥の評価
・CN率が16で、完熟堆肥の目安が10~20なので、この落ち葉堆肥は完熟堆肥である
・窒素(N);2.2%、・リン酸(P);2.2%、カリ(K);0.3%の割合で入っているが、今回この落ち葉堆肥に入れた札幌コンポスト(下水道汚泥)の窒素;2~4%、リン酸;2~6%、カリ;0~1% の割合なので、これが大きく影響しているようである。
・窒素とリン酸の割合は、前々回投稿した牛糞堆肥と同程度なので、肥料効果もある程度期待できる。
・カルシュウム(Ca)の割合が11.5%と高いのは、札幌コンポスト(下水道汚泥)にCaが多く含まれていることが影響しているようである。
・酸度(pH)が7.3とアルカリ性であるので、「畑土の酸性土壌を矯正する効果はあるか?」については、
酸性土壌を矯正するために使われる資材として苦土石灰があるが、この資材の酸度(pH)は9.5~10.5の強アルカリ性で、また、この資材に含まれるCa量は50~55%とかなり高く、一方、落ち葉堆肥のCa量 は11.5%と割合が低いので、
「少しアルカリ性に片寄っているので酸度を矯正する効果はそれほどではないが、良質な土壌改良剤」と考えて良いと思われる。

<追記>
札幌コンポストは2013年に製造を終了しています。

 

 

 

 

 

 

堆肥(3)  剪定枝

〇 札幌市が配布している堆肥について
豊平公園で緑の相談員をしている方が、
「山本処理場に堆肥を取りに行ったときに、係の人から渡されたものだよ」
と言って、以下の用紙を私に見せてくれました。

その用紙の大きさはA4で、内容は、右半分に堆肥の積込み時等の注意事項と会場の案内図が書かれていて、左半分に堆肥の成分が記載されています。
札幌市では毎年5月~11月の期間中の4週に1回、個人の庭から出る剪定枝などの回収を行っています。 それを堆肥化して、毎年秋に1度、市民に配布する事業を行っているのです。

この堆肥の成分表を見ると、

窒素全量 0.47% N
リン酸全量 0.35% P
カリ全量 0.33% K
※有機炭素 5.75% 堆肥としては低い値
 炭素窒素比 12.4% CN率  この値は完熟堆肥
水分含有量 35.6%
水素イオン濃度 6.9 pH

〇 有機炭素の意味
堆肥成分の中で、有機炭素の割合が多いほど未熟な堆肥を、少ないほど完熟している堆肥を意味する。
未熟堆肥や有機物が多い堆肥:有機炭素含有率は 20〜40%。
完熟堆肥:分解が進み、炭素量は減少して 10〜20%程度になることが多い。

〇  有機炭素とCN率の関係
CN率は、
有機炭素  ÷  窒素全量    CN率
5.75% ÷  0.47% = 12.23 ≒ 12.4
以上の式で表せるが、
CN率とは、 堆肥の肥料効果や分解速度・程度を判断する重要な指標となります。
また、堆肥の分解速度とは、
堆肥中の有機物(炭素C・水素H・窒素Nなどを含む有機化合物)が、微生物の働きによって分解され、最終的に 、二酸化炭素(CO₂)や水(H₂O)、アンモニア(NH₃)などの無機物に変化していく速度や割合 を指します。
ので、CN率が低いほど有機物が分解されて、堆肥の中の窒素分の量ではなく、割合(%)が大きくなることを意味します。

〇 札幌市清掃局が配布している堆肥の評価
・札幌市清掃局が資源回収で1年間の間に集めた剪定枝等は、数回(2~3回?)の切り替えしを行って剪定枝の分解促進を図っている。
・このためにCN率は12.4と低く、完熟堆肥になっている。
・肥料分(N・P・K)は1%以下なので、その効果はあまり期待できないが、土壌の団粒構造の形成や保水性の改善には十分と考えられる。

 

 

堆肥(2) 市販されている牛糞堆肥の中身

DCMホーマックで2種類の堆肥が販売されています。
I 堆肥 その1
2025.11.10
上の写真は、堆肥の入っているビニール袋の裏面右下に記載されている内容

〇 肥料の名称 ;醗酵牛糞堆肥
〇 肥料の種類 ;堆肥
〇 製造販売会社;森産業(株)
・北海道河東郡士幌町(帯広市の北側)
・森産業(株)は群馬県に本社があり、キノコ菌の分野で国内トップシェアを誇る企業。
・士幌町にも工場があり、バーク堆肥や園芸用土を製造販売
〇 正味重量;16kg(充填時40リットル)
〇 原料  ;牛糞、おがくず、樹皮、もみ殻
〇 主要な成分の含有量等
・窒素全量 ;0.9%
・リン酸全量;1.0%
・カリ全量 ;1.2%
炭素窒素比;21
※この牛糞堆肥の肥料成分は1%前後で、当然ですが、化成肥料(8-8-8)に比べて1/8。
〇炭素窒素比(C/N比)
・堆肥の品質を見るうえで、最も重要な指標(数値)
・有機物(植物体や動物のフンや遺体)に含まれる炭素と窒素の質量比(割合)。
・炭素窒素比(C/N比)は堆肥の成熟度を表す数値で、農林水産省の「土づくりのための堆肥利用指針」の中で、炭素窒素比(C/N比)は目安として20~30程度が望ましいとされている。

II  堆肥 その2 2025.11.10
〇 肥料の名称 ;土いきかえる堆肥
〇 肥料の種類 ;堆肥
〇 製造販売会社;森産業(株)
・I 堆肥その1 の醗酵堆肥と同じ会社
〇 正味重量  ;17kg(40リットル)
〇 原料   ;牛糞、おがくず、樹皮、もみ殻、ココヤシビート
〇  主要な成分の含有量等
・窒素全量 ;1.1%
・リン酸全量;1.1%
・カリ全量 ;1.2%
炭素窒素比;24

◎2種類の堆肥の違い
上の2種類の堆肥を比較すると
・肥料成分は両者とも1%前後で大した違いはない
・炭素窒素比(CN率)も農林水産省の目安(20~30)の範囲内である
・2種類ともに牛糞・おがくず・樹皮・もみ殻が入っている
しかし、「土いきかえる堆肥」には「※ココヤシビート」が付け加えられている。
・二つの価格は、「醗酵牛糞堆肥」が514円/40L袋で、「土いきかえる堆肥」が848円/40L。
・この価格差334円/袋、6割も高いのは、ココヤシビートの有無によるものか?
・肥料分がほぼ同じで、CN率は「土いきかえる堆肥」がやや高めながら目安範囲内に収まっている。2種類の堆肥として品質は多少の違いはあるがほぼ同等と思われるので、実用面では価格の低い「醗酵堆肥」で十分である。

※ココヤシビート
・ココヤシ(ココナッツ)の殻を粉砕・発酵させて作られる天然の有機培土、土壌改良剤。主にインドやスリランカで生産
・多孔質構造で、保水性、通気性、排水性が良い
・pHは弱酸性(5.5~6.0)

次回は、堆肥の品質基準であるCN率について深堀します。

 

 

堆肥(1) 肥料と堆肥の違い

豊平公園の緑の相談で9月末ごろから、時折尋ねられる質問に、
「肥料をいつやったら良いか?」
というのがあります。
札幌のこの時期は、漬物用のダイコン、キャベツ、ハクサイ以外の野菜はほとんど終わっているので、樹木や草花(宿根草類)に対する肥料と思いきや、野菜も含めての質問のようなのです。
質問者に話をよく聞くと、
「本を読むと、お礼肥や寒肥を入れたほうが良いと書いてあるので、それで質問した」
とのこと。
この人は肥料と堆肥を一括りにする、混同しているようなのです。
市販されている園芸書は、関東以西を基準に植物のタネまき・植付け・移植・施肥などの時期を記載しているので、札幌のように寒い地域では当てはまらないことが多いのです。以下は関東以西と札幌の樹木の開花時期です。

       開花時期
札幌 関東以西
サクラ 4月下旬~5月上旬 3月下旬~4月上旬
サツキ 6月下旬~7月上旬 5月下旬~6月上旬
ムクゲ 8月上旬~10月上旬 7月上旬~10月上旬

札幌の樹木の開花期は関東以西に比べて約1か月遅く、秋の紅葉は関東以西での平野部で11月中旬~12月上旬になり、札幌では10月中下旬で1か月ほど早くなます。このことは、植物の植込み、剪定、施肥など植物管理すべてに影響します。

肥料<窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)など>は施されたらすぐに植物の根に吸収されるわけではなく、まず水に溶ける必要があります。また、植物に肥料を施す時期は植物が成長している時期、つまり、春から夏です。植物の成長が遅くなる若しくは成長しない秋や冬に夏と同じように肥料を与えても、根から吸収しきれません。土壌中に溶けた肥料成分は地下に浸透するか外側に拡がっていくだけです。 その意味で、どの種類の肥料をいつやるか?は、肥料の性質を理解しておくことが重要になります。

その前に、お礼肥と寒肥の意味を確認しておきます。
〇 お礼肥
・対象;主に花木・果樹、草花類
・目的;花が咲いた後や実を収穫した後に、翌年の花や実の準備を助けるため
・資材;油粕、骨粉、化成肥料、鶏糞など
〇 寒肥
・対象;花木、果樹
・目的;冬の寒い時期に与える肥料のことで、春からの成長や花・実つきを良くするための施肥
・資材;油粕、骨粉、堆肥など
野菜の施肥用語に元肥(基肥)、追肥が一般的使われますが、お礼肥や寒肥は主に花木や果樹で用いる用語です。宿根草類もこちらの部類に入るのでしょう。

上述の質問者が尋ねた秋以降にまく肥料という意味での、具体的な肥料はどんなものがあるでしょうか? 代表的なものを挙げると
〇 肥料
①化学(化成)肥料
化成20k
写真の肥料は、20kg/1袋、 数字の8-8-8は、窒素(N)ーリン酸(P)-カリ(K)がそれぞれ8%づつ入っているを表しています。
1袋が20kgなので
20kg × 8% = 1.6kg
一袋に窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)がそれぞれ1.6kgづつ含まれています。
この化成肥料の袋の中には、白い小さな粒が入っています。 化成肥料は即効性と言われますが、その意味は、雨が降ったり、水をかけると直ぐ水に溶けて根から吸収されるのです(窒素などの養分は水に溶けて初めて根から吸収されます)。
・札幌のような寒冷地は、植物の生育期間が短いので、野菜など5月からのタネまきや植付後の初期生育を促進するために、即効性のある化成肥料を使います。 また、花木や果樹のお礼肥的な意味合いでの化成肥料の使用は一般的には行いません。

②有機質肥料
・油粕、骨粉、米ぬかなど
・これらは、細かい粉状なので、比較的早く根から吸収されますが、化成肥料に比べると遅いです。
・化成肥料は畑にまいてから数日以内に根から吸収され始めます。 一方、有機質肥料は肥料の種類や土壌条件によって異なりますが、土壌微生物の分解を経て、アンモニア態窒素や硝酸態窒素に変化して吸収去されるため、一般的には7~14日程かかります。
・有機質肥料の成分比率

窒素 リン酸 カリ
油粕 5~7% 1~2% 1~2%
骨粉 4% 17~20% 0%
米ぬか 2~3% 4~6% 1~2%

有機質肥料は、化成肥料(代表的な8-8-8)に比べると肥料成分は少なめです。
・有機化成肥料という名前の肥料も販売されていますが、これは化成肥料と油粕や骨粉などの有機質肥料を混ぜたもので、化成肥料に比べると肥効期間が長くなります。

〇堆肥
①植物性堆肥
・材料;落ち葉、わら、バーク(樹皮、剪定枝など)
・特徴;土壌の通気性や保水性の改善、肥料分は少ない
②動物性堆肥
・材料;牛糞、馬糞
※鶏糞は即効性があり、化成肥料に近い
・特徴;植物性堆肥と同様に土壌改良(土をふかふかにする、微生物の活動を盛んにする)効果と、有機質肥料に劣るが肥料効果もある。
・牛糞堆肥の肥料成分(窒素・リン酸・カリ)は1~2%
・馬糞堆肥の肥料成分は0.5%前後
・化成肥料(8%-8%-8%)に比べると堆肥の肥料成分はかなり低い

③ 堆肥の特性
・堆肥は、堆肥に含まれる有機部が微生物によって分解されると、粘着性の物質が生成されて、それが土壌の※団粒構造を形成します。これが、土壌の通気性・保水性・排水性を高め、根の伸長を促進します。
※団粒構造;土の微細な粒子が微生物や有機物の働きによって結びつき、小さな団子状の塊(団粒)を形成した状態のこと

画像はヤンマーさんのサイトからお借りしました
https://www.yanmar.com/jp/agri/agrilife/kitchen_garden/field/soil/

上図の一番右側の図で、大きい丸が団粒で、その中の小さな丸が単粒。 単粒と単粒の隙間には水分が保持されるが、団粒と団粒の隙間は空気が埋める。ので、植物の根は単粒と単粒の隙間を埋めている水分を吸収し、団粒と団粒の隙間にある空気から酸素を吸っている。
④ 堆肥の投入時期
・札幌のような寒冷地では10月中旬が適期
・その理由 9月に堆肥を投入すると、まだ気温が高いため堆肥の分解が急速に進み、分解で生じた窒素やリンなどの栄養分が冬の雪解け水で地下に浸透・流出してしまうため。
また、11月以降に堆肥を入れないのは、すでに地温が低下しているので、分解がほとんど進まず、翌年の春に投入するのと同じ効果しか得られないため。
また、11月に入ると3時過ぎには暗くなり作業時間が極端に短くなることや、わざわざ寒さの厳しいこの時期に行うメリットがないことが挙げられる。

以上が肥料(化成肥料・有機質肥料)と堆肥の特性と違いです。次回は、実際に園芸店で販売されている堆肥について検討します。

 

 

 

アカエゾマツ  枯らす

2025.6.10
写真中央に丸く刈り込んで褐色になった樹木があります。 樹高が約3.0m程の枯れたアカエゾマツです。 植えて35年程たちますが、毎年刈り込んでいるので、この形状を保っています。毎年刈り込んでいても少しづつ大きくなるので、最近は樹冠上部の刈込が難しくなってきました。
それで、アカエゾマツには可哀そうなことをしますが、これを枯らしてクレマチスでも這わせようかと考え、アカエゾマツの地際近くの幹周をノコギリで1cm弱?切り込みました。 それが一昨年の夏です。
昨年はまだ生きていました。 新芽が出たかどうか自分でははっきりしないのですが、おそらく出ていない、しかし、葉は緑で元気そうに見えました。 さすがに夏を過ぎると、来年には枯れてしまうだろうと思わせるほど、葉に精気が無くなっていきました。
そして、今春アカエゾマツの葉は褐色になり、,完全に枯れました。。
2025.6.10
これは、アカエゾマツの幹周りをノコギリで切り込んだ写真です。 切込みを入れたところから樹液(ヤニ)が滲み出ています。

〇 樹木の幹を一回り切り込むとなぜ樹木は枯れるのか?

画像は「白谷工房」さんの画像をお借りしました。
→ https://shiroitani-koubou.com/news/%E6%A8%B9%E7%9A%AE/

上図は樹木の切断面です。図に形成層という文字があり、断面図には緑色で樹木を一回りしています。この部分は細胞の層で、維管束(導管と師管)を形成する役割を持っています。 導管は形成層の内側に、師管は外側に毎年新しく形成されます。 導管は根で吸い上げた水分や窒素〈N〉リン酸(P)や鉄(Fe)やマグネシュウム(Mg)などの微量要素を葉に運ぶ管です。 師管は葉で行われる光合成でできたデンプンを幹や根に運ぶ管です。
樹木の幹が太くなるのは、形成層で毎年できる導管が増えることによって太ります。それでは導管と同じように毎年形成される師管はどうなるのでしょうか? マツの樹皮が剥がれるのは役目を終えた師管の残骸なのです。師管は形成層の外側にできるので、古いものから順次剥がれていくのです。
次に、上図の樹木断面図に辺材と心材という単語があります。 これは毎年できる導管の古いものです。辺材はまだ生きていて水や養分を通すことができますが、心材は導管の中に樹脂類が詰まって死んだ部分です。 心材は堅いので家屋の柱として利用されますが、辺材は心材よりも柔らかく含水率が高いため、乾燥すると収縮が大きくなり、板材では反りが発生しやすくなります。
以上は樹木内部の説明です。話をアカエゾマツの樹皮切込みに戻します。我家のアカエゾマツは樹皮表面から1cm程切り込んだだけなので、おそらく辺材の一部だけです。このことは、辺材は生きているので根が吸い上げた水分は葉に送られるのですが、葉でつくられた養分(デンプン)は師管部が切断されているので幹や根に送れません。 根にも太いものから細いものまでいろいろありますが、水分や養分を吸収できる部分は細い根から出ている根毛で、その寿命は数日~1週間程度と言われており、非常に短命なので、アカエゾマツは常に新しい根を出し続けなければなりません。新根を出していくということは、どこからか養分をもらわないと出し続けられません。
師管部が切断されて葉でつくられた養分が途絶えるので、アカエゾマツは樹幹や太い根にある養分を受け取る必要がありますが、今回の場合、地際で樹皮が切り込まれているので、樹幹の養分は受け取れません。太い根にためられた養分を使って新根を出し続けます。 このことで、とりあえず一昨年の夏から昨年の夏までアカエゾマツの葉が緑色を保つことができたのです。しかし、夏以降葉に水気が無く葉色が死んだようになったのは、太い根の養分も使い果たし新根も出せなくなったのです。 そして、厳寒期の寒風に晒されて力尽きたのです。
公園などで樹木が野ネズミに地際の幹を一周かじられると、2年くらいは生きていますが、3年目には枯れてしまいます。我家のアカエゾマツもそれと同じような運命をたどりました。
この枯れたアカエゾマツに大輪の花をつけるクレマチスを植えて這わせようと思っています。