webページ BIOTONIQUE から写真をお借りしました。
https://biotonique.jp/article/36844
写真は「カネノナルキ」、「花月」などと呼ばれてよく見かける鉢花です。 葉は艶とふっくらとした厚みがあって丸みを帯びているのが特徴です。 大きいものは、40cm以上ある大きな鉢に高さ幅共に1m以上にもなる鉢物をときおり見かけます。 しかし、花が咲いている株を見かけたことがなかったのですが、豊平公園の緑のセンターでそれに出会いました。
2018.12.9
それはちょうどこの時期で、花は年末~年始にかけて咲くようです。
写真の黒い鉢の大きさは直径30cm程の10号鉢で、株の大きさは高さ幅共に1mを優に越す立派なものです。 小さな白い花が株全体を被うように咲いています。
今冬の緑のセンターのカネノナルキは展示温室2階の片隅に置かれていました。これ以上鉢を大きくしたくなかったのか?強めの剪定をされていて、残念ながら、今冬は花は咲いていませんでした。
それで、この展示温室を管理する方に、この花の咲かせ方を尋ねると、
「年間を通じて灌水を控える、冬季間はほとんどしない」
と教えてくれました。
2018.12.9
花は直径1.5cm前後の5花弁で、花の咲き方は花軸が分かれて多数の花をつける集散花序です。
「金のなる木」または「花月」とも呼ばれるこの鉢花は、ベンケイソウ科クラッスラ属で、南アフリカケープ州南部~ナタール州原産。高さ1~3mの低木。
クラッスラ属の植物は、南アフリカ、ナミビア(砂漠で有名)、マダガスカルに分布し、300種以上が知られ、、草本または低木状の多肉植物。(園芸植物大事典)
ホーマックやビバホームなどの園芸店で下の写真のように販売されている多肉植物はクラッスラ属も多いのではないでしょうか。 2022.12.23
緑のセンターのカネノナルキは毎年12月に花が咲くのですが、そのために、「年間を通じて灌水を控える、冬季間はほとんどしない」ということを職員同士で申し合わせているようです。
それでは、カネノナルキの原産地、南アフリカの気候はどのようなものなのでしょう。
赤:気温、黒;降水量
ケープタウン | プレトリア | 札幌 | 東京 | |||||
1月 | 21.0 | 10.1 | 23.0 | 111.3 | ー0.9 | 113.6 | 5.2 | 52.3 |
2月 | 21.1 | 15.0 | 22.9 | 104.5 | ー3.1 | 94.0 | 5.7 | 56.1 |
3月 | 19.8 | 13.5 | 21.6 | 86.4 | 0.6 | 79.9 | 8.7 | 117.5 |
4月 | 17.3 | 47.4 | 18.8 | 29.1 | 7.1 | 56.8 | 13.9 | 124.5 |
5月 | 15.0 | 80.7 | 15.3 | 17.5 | 12.4 | 53.1 | 18.2 | 137.8 |
6月 | 12.8 | 93.4 | 12.3 | 7.5 | 16.7 | 46.8 | 21.4 | 167.7 |
7月 | 12.2 | 91.5 | 12.2 | 2.7 | 20.5 | 81.0 | 25.0 | 153.5 |
8月 | 12.7 | 78.2 | 15.4 | 4.4 | 22.3 | 123.8 | 26.4 | 168.2 |
9月 | 14.4 | 44.5 | 19.3 | 16.6 | 18.1 | 125.2 | 22.8 | 209.9 |
10月 | 16.3 | 35.3 | 20.8 | 72.2 | 11.8 | 108.7 | 17.5 | 197.8 |
11月 | 18.3 | 23.1 | 21.8 | 100.2 | 4.9 | 104.1 | 12.1 | 92.5 |
12月 | 20.1 | 13.0 | 22.4 | 113.8 | ー0.9 | 111.7 | 7.6 | 51.0 |
16.8 | 545.8 | 18.8 | 666.2 | 8.9 | 1098.7 | 15.4 | 1528.8 |
ケープタウンは海洋に面していますが、プレトリアは内陸に位置するので、かなり気候が違うようです。 気温は両都市共に最高気温が1月の21~23℃、最低気温が7月の12.2℃で、羨ましいことに、1年中日本(関東以西)の春と秋のようです。
しかし、降雨量は札幌の約半分で、ケープタウンは夏季は少なく、冬季にある程度(80~90mm/月)降るようです。 典型的な地中海性気候(夏暑く若しく暖かく乾燥するので、植物の生育は秋~翌年の春までが中心)です。
一方、内陸部のプレトリアは夏に雨が多く、冬はほとんど降らないようです。この両市は気温はよく似ていても、雨の降り方は全く逆です。ケッペンの気候区分では、亜熱帯性の温暖冬季少雨気候)と言うそうです。
ネットなどで調べるとカネノナルキの生育地は、地中海性気候のケープタウンではなく、南アフリカの内陸部(夏季に雨が多く、冬季はほとんど降らない)で、生育パターンは冬型ではなく夏型のようです。 しかし、南アフリカの気候は年中日本の春と秋なので、日本の夏場の高温(特に関東以西)は嫌うようです。
そういう意味で、緑のセンターの潅水方法(夏は少なめ、冬は極力控える)は現地の気候に合ったやり方なので、毎年花を咲かせることができるのでしょう。
「NHKみんなの趣味の園芸」によると、カネノナルキには、小さな株によく花をつける花の咲きやすい系統と、大株にならないと咲きにくい系統があるようなので、普段見かける大株でも花の咲かないものはその系統かもしれません。 2022.12.23
写真は、緑のセンターの売店で販売されている鉢花(カネノナルキ)です。 鉢の大きさは5号鉢(直径15cm)で葉張りは40cmくらいでしょうか。 この時期に、他の園芸店で12cmポリポットに花を咲かせたカネノナルキを見かけます。おそらく、これらが小株でも花を咲かせる系統なのでしょう。