ツリバナ 胴枯病 真駒内公園のツリバナその後  

今から7年前の真駒内公園内少年野球場横のツリバナ。16~
17本列植。 その内1本が枯死(中央やや左側;白色で四角の注意看板右横の枯損木))
2019.6.30 2026.6.12
7年後の今春(2026年6月12日)のツリバナ。16~17本あったツリバナのほとんどが伐採され、生き残ったのは中央に植えられていた3本のみ。  2026.6.12
3本の内、真ん中の1本は元気で、マサキナガタマムシの食害による枝枯れ、幹の損傷は見られない。その左右2本は、枝先の枯れが目立つ。
今まで見てきたツリバナは、マサキナガタマムシによる食害1~3年後には枯死、その後伐採という経緯をたどるが、この3本は生き残っている。特に真ん中の1本は他の2本より元気。

樹木は、キクイムシなどの穿孔虫に食害されると1~3年で枯れてしまいます。 その理由は、幹枝に潜入した幼虫が養分の豊富な樹皮下の維管束部分を食害するためです。葉で作られた養分が幹や根に届かなくなり、また、根から吸い上げた水分や養分が樹幹上部の葉に届けられなれなくなるためです。

🔵 それでは、なぜ真駒内公園のツリバナ3本は生き残れたのか?
要因として以下の2つが考えられます
① 樹勢の強さ
・樹木は、葉を食害されたり樹皮を傷つけられたりすると、防御反応として抵抗物質や樹脂を産生して、自身の体を守ろうとする
・マサキナガタマムシは小さいので細い枝などに卵を産み付け、孵化した幼虫は樹皮下に侵入するが、樹勢の強いツリバナは防御物質の濃度が高く、侵入した幼虫に高い抵抗性を示し、その結果、幼虫の生存率が下がる(ようです)
② 遺伝的要因
・生き残った3本、特に真ん中の1本は、他のツリバナに比べてたまたま防衛物質を大量に、若しくは素早く分泌できる遺伝的な特性?を持っており、マサキナガタマムシの幼虫が樹皮下に侵入しても、この防衛物質によって発育の遅延や、そのまま死滅した可能性が考えられる。

おそらく、生き残った3本、特に真ん中の1本は、遺伝的特性と樹勢の強さの両方を持ち合わせていたのではないでしょうか?

🔵 マサキナガタマムシの防除と予防
・ナガタマムシやキクイムシなど穿孔虫の幼虫が樹幹に入ってしまうと農薬を外から散布しても効果は期待できない
・ツリバナは庭や公園などに植えられていることが多く、本数的にも少ないことから個体ごとの管理が比較的可能な樹種である
・このことから、幹内部に薬剤を浸透させる樹幹注入が適当と思われる
・樹幹に薬剤を注入する時期は
①樹液の流動が活発な時期;5月上中旬~8月中旬?まで
②穿孔虫の成虫が活動を開始する前(5月中旬~)
③穿孔虫の幼虫が活動を開始する前(5月中下旬~)
・おそらく、5月上中旬~6月中旬が樹幹注入最適期と思われる

真駒内公園で今も生き残っているツリバナは、これからもマサキナガタマムシの攻撃に耐え、生き続けることができるのでしょうかね?

 

 

ツリバナ 胴枯病 犯人判明

今から7年前(2019年)に南区にあるエドウィン・ダン記念公園で、胴枯病と思われる症状で枯れかかったツリバナを見つけました。その後、真駒内公園でも同じ症状のツリバナを見かけました。

そのときは、樹皮の枯れ具合から、自分では確信的に何らかのカビ菌が原因でこの症状が出ると思っていました。 以下のブログは、その当時のツリバナの被害状況を記しています。

⇒ ツリバナ  胴枯病
⇒ ツリバナ 胴枯病(その2) 

それから3年後(2022年)の秋、樹木医会北海道支部による研修会が中島公園で開催されました。 そのときに中島公園の関係者から、
「中島公園内の日本庭園とその周辺にあるツリバナが枯れてきている。 これは何が原因か?教えてほしい」という質問が出ました。
現場で症状の出ているツリバナを見ると、エドウィン・ダン記念公園や真駒内公園にあるツリバナと同じ病徴を示していました。
その後、上述の中央区や南区の公園以外にも枯死症状を示すツリバナが見つかっています。

🔵 ツリバナの枯死原因
南区エドウィン・ダン記念公園のツリバナの枯死株を見つけて7年がたちます。今から2年前(2024年9月)に樹木医会北海道支部のホームページに、 ツリバナの枯損原因に関する情報提供が掲載されました。

🔵 ツリバナの新害虫「マサキナガタマムシ」 樹木医会北海道支部のホームページより
札幌市内のエドウィン・ダン記念公園や中島公園など、札幌市内の公園や庭木のツリバナを加害している害虫が判明しました。
 本年(2024年)6月29日に樹木医会北海道支部のメンバーで、中島公園のツリバナから幼虫がいそうな枝を採取し室内飼育したところ、15頭羽化しました。
 成虫を森林総合研究所北海道支部を通じ、※石川県ふれあい昆虫館で同定していただいたところ、「マサキナガタマムシ」であるとのことでした。
マサキナガタマムシは、これまで北海道には生息していないとされていましたが、今回新たに北海道での生息が確認されたことから、今後ツリバナの害虫として注意が必要です。
石川県ふれあい昆虫館の「日本産タマムシ大図鑑」の著者の一人である福富宏和氏に同定していただいています。

🔵 マサキナガタマムシ
⇒ マサキナガタマムシhttps://yohbo.main.jp/Buprestoidea/masaki_naga.html
※「マサキナガタマムシ」は、「対馬のタマムシ」のページの一部。
・体長約6.5 mm前後の小型ナガタマムシ類で、マサキ(柾)などニシキギ科植物を主な寄主とするタマムシ科の昆虫(甲虫)
・ナガタマムシは、卵→幼虫→蛹→成虫の完全変態
・成虫の餌は、花の蜜・若葉が主
・幼虫のエサは木の内部で、形成層付近の師部(葉でつくった養分を幹や根に運ぶ管)や木部の外側(根が吸い上げた水分や養分を葉に運ぶ管)を食い荒らす。
・その部分は水分が豊富で、最も栄養があり柔らかい部分 2023.9.8
・真駒内公園の枯損したツリバナの幹。樹幹の縦横に筋が走っているが、これがマサキナガタマムシの幼虫がエサを食べるために残した痕跡
・樹皮は完全に向けて木部の堅い部分が露出
・マサキナガタマムシは、タマムシ科ナガタマムシ属で、ナガタマムシ属は世界に約3,300種、日本には数十種と推定されている
・マサキナガタマムシは今まで北海道に生息していなかったが、マサキナガタマムシと同属のナガタマムシ類がシラカバなどの樹木に15種以上確認されている

🔵 ツリバナの枯損枯死を胴枯病と見間違った理由(推測)
・写真は、マサキナガタマムシがツリバナを食害した痕。 蛇行する赤い筋は、マサキナガタマムシが樹皮下の師管や若い木部を食害してできた孔道痕。
・この部分が枯死している
・食害痕が赤く見えるのは、樹皮下の組織が酸化して褐変したため(鉄が錆びると赤くなる、リンゴの皮をむくと果肉が赤くなるのと同じ現象)
食害痕(孔道)が枯死後、二次的に腐朽菌が侵入し、樹皮がボロボロになる ⇒ これが胴枯病と勘違いした理由

 

 

ツリバナ 胴枯病(その2) 

2019.6.30
写真のツリバナは道立真駒内公園内の五輪通北側にある少年野球場そばの園路沿い植えられています。

大きさは、高さ:2.5m~3.0m強、幹径:10弱cm~15cm弱で、全部で16~17本植えられています。 少年野球場が造成された時期を昭和50年代前半として、その時期に植えられたとすると、樹齢は50年ほどになります。

このツリバナに胴枯病の症状が見られます。 中央ちょっと左側部分に葉が抜けている箇所があります。 その部分は胴枯病で枯れてしまったのです。 そして、この枯損木の両側の樹木にも病気が移っています。 そのほかのツリバナにも細い枝を中心に胴枯病が拡がっています。
南区真駒内泉町にあるエドウィン・ダン記念公園のツリバナが胴枯病で枯れてしまったように、ここのツリバナも今後2~3年で全枯れしてしまうのでしょう。
⇒ ツリバナ  胴枯病


2019.6.30                                                            2017.6.26
エドウィン・ダン記念館前のツリバナ。
写真右は2年前の健全時に撮ったもの。 写真左は胴枯病に罹って上部枝葉が切除されたもの。

4本ある幹すべてに胴枯病が見られます。 まだ樹冠に葉が残っているのは、胴枯病が幹全周に回っていなくて、幹の一部が生きているからのようです。 発病後3年で完全に枯死するようです。

南区の真駒内で、真駒内公園やエドウィン・ダン記念公園内の、それもある程度の年数を経た、同じくらいの樹齢のツリバナが時を同じくして枯れていっています。 

この現象をどのように考えたらいいのでしょうか?
胴枯病のカビ胞子は数百メートル~1~2km離れていても、飛んでいって伝染するのでしょうか?
それとも、ツリバナはある程度の樹齢に達すると病害に侵されやすいのでしょうか?
また、真駒内に限定するのではなく、範囲を広げて札幌市全域でも、ツリバナにこのような現象が起きているのでしょうか?

 

 

 

ツリバナ  胴枯病

2012.6.10
エドウィン・ダン記念公園(南区)の南側、道沿いに植えられているツリバナ。 このツリバナ3本は公園造成時(昭和40年代前半)に植えられているのであれば、樹齢は55年前後になります。 樹高は約3.5~4.0m。


2017.6.13                                                                          2017.4.30
一昨年の6月(2017.6)に3本あるツリバナの1本が枯れているのを見つけました。 写真(右)は写真(左)の中央の1本の拡大写真です。樹皮が剥がれて完全に枯死しています。 おそらく2~3年前には発病していたのでしょう。 気づかなかっただけです。 左右の2本は元気そうに見えますが幹枝に胴枯病と思われる症状が現れています。

2017.7.28
そして1ヵ月半後の7月下旬。 左右の2本とも落葉が著しいです。 右側の1本はほとんど枯れています。 幹全周(形成層)が病気に侵されると病斑部の上部には水を揚げられなくなり枯死してしまいます。 右側の1本は地際から主幹部全体が胴枯病に侵されてしまったようです。

         2018.7.28                                                 2017.7.28
写真左は、幹枝の樹皮が浮き上がっています。 樹皮はべろべろと剥けます。
写真右は、最近発病した部分のようで、樹肌の黒ずんでいる部分が病気に罹っている
部分でしょうか。
2019.5.13
昨年、2018年の夏には3本とも完全に枯れあがっていました。 中央の1本は処分されています。
それにしても、胴枯病に罹ると枯死までの期間がなんと短いことか。

<胴枯病>
胴枯病は樹木特有の病気で、カビ(子嚢菌)の胞子が樹木の傷口などから侵入して発病します。 この病気が幹を全周する(形成層が枯死)とその上部に水が揚がらなくなり、樹木は枯死します。
この病気は、北海道のサクラ類の枯死の主要原因になっており、明治・大正時代に津軽地方のリンゴ栽培農家を苦しめた腐らん病も胴枯病であり、樹木の世界3大病害の一つ、北アメリカのクリに壊滅的な被害をもたらした病気も胴枯病です。 胴枯病は樹木にとって最も恐ろしい病気です。

モモ、リンゴ、クリ、ブドウなどの果樹類、モミ、トドマツ、カラマツ、ポプラなどの林木、クワなどの木本類に発生する病気。病原菌が木の幹に寄生し、病患部から上部が枯れ、いわゆる「胴枯れ」症状になるため、胴枯病とよばれる。病原は宿主の種類によって異なるが、いずれも子嚢(しのう)菌類、ディアポルテ菌科(胴枯病菌科ともいう)のディアポルテ、レウコストマ、クリフォネクトリア、バルサなどの属に属する菌である。ディアポルテ属ではDiaporthe tanakaeによるリンゴ胴枯病、D. conorumによるモミ、トドマツ、カラマツ胴枯病、D. nomuraiによるクワ胴枯病がある。レウコストマ属ではLeucostoma persooniiによるモモ、スモモ胴枯病がある。クリフォネクトリア属ではCryphonectria parasiticaの寄生によるクリ胴枯病が被害が大きく重要である。バルサ属ではValsa abietisによるヒノキ、サワラなどの胴枯病がある。なおバルサ属の寄生によっておこるリンゴその他種々の果樹類の胴枯れはとくに腐らん病といわれる。胴枯病菌は一般に腐生性が強いため、寒さなどによって樹勢が劣えたときに被害を受けやすい。一度寄生すると病原菌は四季を通じて樹上に残り、長い期間にわたり感染を繰り返すので防除が困難である。晩秋、木の地際(じぎわ)部から地上30センチメートルぐらいの高さまで石灰乳または石灰硫黄(いおう)合剤の原液を塗布して予防する。また発病した木では、病患部を削り取って、チオファネート・メチル塗布剤または有機銅塗布剤を塗布する。
(日本大百科全書::ニッポニカ)

 

 

 

ツリバナ 冬芽

ツリバナ :冬芽
ツリバナ2012.11.24
冬芽は対生し、細長く、紡錘状円筒形で、先が鋭くとがり、長さ6~15mmある。 芽鱗は紫褐色ないし緑褐色をし、つやがあり、無毛で、4~5対みえ、覆瓦状に重なる。頂芽は太く、側芽は下位ほどちいさい。 いくらか開出し、先がやや反曲する。 基部の2~3対の側芽は発達しない。
ツリバナ2012.11.24
ツリバナの枝の出方。
側芽が発達しないので、枝の出方がすっきりしている。 ニガキもこれに似た枝の出方をする。

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