ブドウ  種なし化

台風7号が日本の沖合をゆくりと北に向かっているころから、
「この台風、北海道にやってくるな」
とその予想進路を心配していたのですが、
幸いにも、それは我家に台風らしい風をほとんどもたらすことなく過ぎ去っていきました。
その台風7号の暴風襲来を心配して、昨日(8月16日)は、ブドウやブラックベリーの繁茂しすぎた枝の整理とトマトなどの野菜類が倒伏しないように、支柱の補強など暴風対策に半日以上を要しました。

ブドウの枝を切り詰めるので、その序でに、ブドウ(品種;バッファロー)を2房収穫しました。
2023.8.16
ブドウの房の長さは20cm以上あり、大きさ的にはまあまあなのですが、1個1個の実のつまり具合がいまいちです。 スーパーで売っているようなびしっと詰まった房の形状になっていません。
昨年、この品種を収穫したのは9月8日以降で、その時は甘くて美味しかったのですが、今夏は収穫時期が昨年より20日以上早かったので、甘味はあるのですが残念ながらまだ酸っぱ味が残っていました。

しかし、タネは無かったです。 昨年もタネ無し化のためのジベレリン処理をしたのですがタネはあったので、少々大げな表現ですが、今年はタネ無し化に成功したのです。

ジベレリン処理の時期と実施方法 (令和4年と令和5年の比較)

年度 ジベレリン処理
1回目処理日
ジベリン処理
2回目処理日
備考
令和4年
(2022)
6月9日 7月8日 錠剤2個を100ccの水に溶かし、ブドウ房を浸漬
令和5年
(2023)
6月8日 7月4日 1回目の6月8日は錠剤3個を150ccの水に溶かし、ブドウ房を浸漬
2回目の7月8日は1回目と同じ溶液を霧吹きで散布

※ ジベレリン処理には「「STジベラ錠5」を使用。 5錠/箱で1,000円

ブドウのタネ無し化でジベレリン処理は2回行います。 1回目はタネ無し化のため、2回目は熟期促進や実の肥大化を目的としています。 なので、1回目の処理日が重要になります。 しかし、昨年と今年では処理日が1日違いです。 昨年はジベレリン処理が初めてで、とりあえず、満開予定日14日前を6月9日と推定して処理したのです。 しかし、今年は、新梢の展葉枚数が10枚をジベレリン処理の一つの目安になするという情報があったので、それを参考に、小さな葉も展葉していれば1枚と数えて、多くの新梢の葉が10枚が開いたと思われる時点で処理をしています。 ので、昨年の展葉枚数は分かりません。 とりあえず。展葉枚数が10枚の時点で処理すればタネ無し化ができるということが分かったので、来年も同じ方法でやってみようと思っています。

⇒ ブドウ(その1) ジベレリン処理

⇒ ブドウ(その2) ジベレリン処理(その2)開花

 

ブドウ この時期の枝の切断

2023.5.9
豊平川に沿って連なる山々で新芽が吹いて新緑の美しい季節になっています。 それと時を合わせるように我が家のブドウの芽が膨らみ始めました。

ブドウの剪定時期は晩秋の落葉後と言われています。 その理由は、春夏に枝を切ると切り口から樹液が出るからです。 それは樹勢を弱めることを意味します。 それで我家で育ているブドウ(品種;バッファロー、デラウェア)も毎年葉が落ちる11月に入ってから剪定しています。

しかし、本当にそうなのか?と思って、この時期(5月6日)に枝を切ってみました。 そうすると、一昨年伸びた少し太めの枝も昨年伸びた少し細めの枝も、それらを切ったとたん、その切り口は樹液で丸く膨らみ、そしてぽたぽたと樹液が滴り落ち始めました。
2023.5.9
写真は枝を切断した5月6日から3日後の5月9日に撮ったものです。 切り口から大きな水滴(樹液)2つがもうすぐ垂れ落ちそうに膨らんでいます。
2023.5.12
これは枝を切断してから6日後のものです。 まだ切り口に水滴(樹液)はありますが、ほとんど落ちなくなったようです。ブドウの枝をこの時期切断すると、樹液が1週間近く落ち続けるようです。
2016.5.8
この写真は、北大植物園の北方民族植物標本園で見つけたコクワ(サルナシ)で、アーチ状のトレリスに絡まっています。 5月上旬のちょうどこの時期に枝が切られて、樹液が雫のように垂れ下がっています。

ブドウやコクワ、フジなどつる性樹木の剪定時期について、参考図書では本州でも北海道でも落葉後に行うことになっています。 その理由は枝を切ると樹液が出て樹勢を弱めるからです。

それではなぜつる性樹木はこの時期に剪定すると樹液が滴り落ちるのでしょうか? 逆に言うと、30m以上になる針葉樹や高性落葉樹はなぜこの時期に剪定しても樹液が出ない?出にくい?のでしょうか?

高性樹木は自分の大きな体を支えるために、また、台風など強風に耐えるために幹枝を頑丈につくっておく必要があります。 細胞レベルで見ると植物特有の細胞壁(動物には細胞壁はない)を頑丈につくっておく必要があります。

「細胞壁リグニンの分子構造を変える新しい方法を開発」のページを参照

上図は4つの細胞を拡大したものです。水色の部分がそれぞれの細胞で、黒色と茶色の部分が細胞壁です。 黒色が一次壁で茶色が二次壁です。
植物の細胞壁は,細胞分裂時に細胞膜の周囲に構築され る一次細胞壁と細胞成長終了時に一次細胞壁の内側に構築される二次細胞壁に分類されます。 上図の茶色の部分の二次壁にはセルロースとリグニンが生成されます。 この細胞壁は鉄筋とコンクリートの関係に例えられ、コンクリートに該当するのがリグニンと呼ばれる高分子で、鉄筋に該当するのがセルロースで、この鉄筋コンクリート構造が巨大な樹木の重量を支えているのです。

一方、つる性樹木はつるを伸ばして他の樹木の枝に巻き付いたり、若しくは持たれかかったりして自分の重さを支えてもらっています。 つる性樹木は頑丈な細胞壁を他の樹木に比べて厚くつくる必要がないのです。高性樹木は光合成でつくったデンプンを細胞壁に多くを費やしていますが、別の言い方をすると、多くのエネルギーを細胞壁の生成に費やしているのですが、つる性樹木はその必要性がないのです。

このことは、つる性樹木の枝の断面積に占める水の通る面積の割合が大きいのではないか? 導管(根で吸い上げた水を樹上の葉まで通す管)の面積の割合ではなく、その内側にある細胞壁の内側を通る水の断面積の割合が大きいのではないか? と思えるのですがどうでしょうか?
なので、上述のブドウのように、枝を切ったとたん枝の切断面から水がにじみ出し水滴をつくり滴り落ちるのです。

 

 

 

ブドウ  剪定

2012.11.8
昨年は11月末まで葉は残っていたのですが、今年は11月10日前にほとんどの葉を落としてしまいました。
ブドウの剪定は落葉後と言われていますが、少し早いですがやってしまいました。
ブドウの落葉後剪定の理由は主に2つあります。 一つは、葉が残っていると剪定する枝が分かりずらいこと、2つ目は、切り口から樹液が出ない時期という理由です。 特に後者は大事で、リンゴやナシと同じように春先に剪定すると切り口から樹液が滴り落ちて止まらなくなります。 これは樹勢を弱める原因となります。
しかし、夏場ツルが伸びて葉が大きくなると、不要な枝を剪定したくなります。その場合、当年枝(今年伸びた枝)を剪定しても切り口から水がでることはありません。 ご安心を!!
2022.11.8
とりあえず、剪定しました。昨秋とあまり変わらない木姿です。
品種 左;バッファロー 右;デラウェア
2022.22.8    品種;バッファロー
赤い文字; 今夏伸びた枝、昨夏伸びた枝
緑の丸印; 昨年伸びた枝を剪定した個所。 この先に昨夏伸びた枝があった。その枝の葉腋から今夏、新梢が伸びた。 その新梢の基部から3~4節の葉腋にブドウの花・房をつけた。
緑の横棒線; 昨夏伸びた枝で、この枝の葉腋から新梢が伸び、その新梢の基部から3~4節の葉腋にブドウの花・房をつけた。
黄色の点; 黄色い点は来年伸びる枝となる芽の部分。 この部分から来年新梢が伸び、その新梢基部3~4節に花・房をつける。 黄色い点の部分は、おそらく新梢それぞれすべてに3花(3房)咲くと思うので、すべて咲かせる(実を生らせる)と、
① 葉が混み過ぎぎること
・葉が重なることで光合成の効率が落ちること
・葉が込み合うことで病虫害の発生原因になりやすこと
② この果樹に負担になる(来年実が穫れなくなる)こと
③甘いブドウが穫れない可能性があること、
上記3つの理由で、新芽が2~3枚開いたら、半分くらい芽かき(芽を取り除くこと)をしようと思っています。

 

 

ブドウ収穫 品種;バッファロー、デラウェア

3022.9.10
昨年春に苗木を植えて、2年目で収穫できました。 品種はバッファロー(左)、デラウェア(右) )です。
「北の果樹園芸」によると、上のブドウ2品種の収穫適期はジベレリン処理を行った場合は9月上旬、処理をしなかった場合は、バッファローが9月下旬、デラウェアが10月上旬、とあるので、参考書のとおり9月上旬の9月6日に最初の収穫をしました。 ジベレリン処理は2回行うのですが、1回目は種なし化、2回目が熟期促進を目的としていますので、2回目は効果があったようです。
ブドウの出来は、スーパーで売っているものより一回りも二回りも小ぶりで、粒と粒の間にすきまがあるというか、粒がびっしり詰まった房ではない、見た目の品質はあまり良くはないのですが、甘味があって美味しかったです。 食後のデザートとして十分に食べられます。
ところが、味はまあまあなのですが、2品種ともタネがしっかりとありました。 種なし化のためにジベレリン処理は効果がなかったのです。
ジベレリン処理は満開日の14日前にするのですが、今年は初めてなので、それがいつ頃なのか分からず、とりあえず、満開を6月下旬(6月23日)と推定して6月9日に処理をしました。 これが適当な日ではなかったようです。

最も重要なことは、来年以降のために今年の満開はいつだったのか?ということですが、ブドウの花は、花弁がなく雄しべがピョオンピョオンと数本飛び出しているだけの小さな花です。 それが房になっているので、一斉に咲くのではなく、ぱらぱらと咲くので満開がいつ頃なのか?いまいちわかりにくいのです。
[ 2022.6.22    左;バッファロー  右;デラウェア
ジベレリン処理日(6月9日)から13日が経過した開花状況

それでも、自分なりに判断したところでは、バッファローは6月20〜22日頃、デラウェアはバッファローより2〜3日?遅く満開したたように見えたのです。
その意味で、今春のジベレリン処理日はそれほど満開日14日前から離れてはいないのですが、タネがあるのは。やはりどこかに問題があるのでしょう。
ジベレリンの処理濃度?、それは能書きとおりにしたし、浸漬の仕方?、もうすこしじっくりと漬けた方がよかったか? ジベレリン錠はホーマックで購入すると5錠/1,000円で、1錠を50ccの水に溶かすのですが、これは高価と思い、溶かした液が少なく十分に浸漬できなかった、いずれにしろ、ブドウの種なし化には3~4?年の試行錯誤が必要なようです。
ジベレリン処理日を決める要素として、推定満開日14日前以外に、新梢の展葉枚数が10~12枚というのがあったので、来春はこれを目安に処理日を決めたいと思っています。

 

 

ブドウ(その3) 花ぶるい

6月9日に1回目のジベレリン処理(推定満開14日前、種なし化)をして、約1ヵ月後の7月8日に2回目のジベリン処理’(満開10日後、果実肥大と熟期促進)をしました。
その処理の時期が適正かどうかははっきりしませんが、とりあえず、処理をしたので、種なしぶどうができるのを楽しみにしています。
ところが、ブドウの生り方(房の状態)を見ると、下の写真でもわかる通り、スーパーで売っているような実がびっしり詰まった房にならないで、バラバラというか、歯抜けの房なのでです。 調べると、この現象を「花ぶるい」と言うそうです。
2022.7.11
左;デラウェア、右;バッファロー

原因は、
① 樹勢が強くて、若木の場合
② 短く切り詰める強剪定をした場合
③ 窒素肥料の与えすぎ
④ 巨峰など大果系に品種にこの傾向が強く現れる
などがあるそうですが、
②の枝を短く切り詰める強剪定はしておらず、昨秋、枝に7芽残す長枝剪定をしていて、
③の窒素肥料の与え過ぎについては、今春まったく肥料は与えていないし、
④の巨峰などの大果系品種ではなく、中果系のバッファローと小果系のデラウェアなので、
②、③、④は該当しません。 残るは①の樹勢が強くて若木の場合ですが、
「花ぶるい」が起きる大きな要因は、
樹勢が強いため新梢がよく伸び、そのために養分が新梢の生育にのみ奪われて、果実の肥大まで行き届かない
ということなので、①が大きな要因として当てはまりそうです。
その対策として、
① 短く切り詰めるような強い剪定をしない
② 徒長枝を出さないように気をつけ、徒長した枝は開花3~5日前に、新梢先端を軽く摘心する
③ 冬季剪定では、大果系は7~8芽残す長枝剪定、小果系品種のデラウェアでは、1~2芽残す短枝剪定が良い実をつけやすい
とあるようですが、
①の「短く切り詰めるような強い剪定をしない」とありますが、小果系のデラウェアは③にあるように「1~2芽残す短枝剪定が良い実をつけやすい」とあり、どうすればいいんだ という感じです。
②の「徒長枝を出さないよう気をつける」とありますが、徒長枝とは花房をつけない新梢のことと理解すると、我家のブドウは、昨秋剪定時に約7芽残す長枝剪定をしたのですが、その枝のすべての芽から出た新梢に花房ができていたので、徒長枝はないのです。この徒長枝とはどういう意味なのでしょうか?
ブドウは、今年実をつけた枝は秋に剪定します。来年実をつける枝は今年実をつけてない枝を使います。その意味で、徒長枝とは来年の成枝(実をつける枝)のことを言っているのでしょうね。
そう考えると、我家のブドウはほとんどの枝に花房をつけたので、来年の成枝を育てるには、現在実をつけている枝の房を取って、成枝にする必要があります。
いやはや、ブドウはリンゴなどの果実に比べて病虫害が少なく育てるのが比較的楽と思って植えたのですが、スーパーに売っているようなものをつくろうと思うと、なかなか手間のかかる作物のようです。
さらに、若木は樹勢がお旺盛なので、花ぶるいが出やすいと言われていますが、若木とは何年くらいまでのことをいうのでしょうかね? 我家のブドウは昨年植えたばかりなので、これから数年?十数年?はこの「花ぶるい」を防ぐ対策と、どの枝を残す?、どれくらい切り詰める?という剪定に悩まされることになるのでしょうか。
これからしばらくは、経験と勉強が必要なようです。