エゾノウワミズザクラ(その2):芽吹き

先週土曜日(4月12日)に大通公園(西7町目~西11丁目)、道庁、北大植物園と札幌の都心部を歩いてきました。この辺りは道庁や国の出先機関など公共の建物が多く、ビル街に沿って歩いていると、大きく育った街路樹のプラタナス、道庁のポプラ、大通公園のハルニレやイタヤカエデなど大きな樹々に出会います。それらの樹々の冬芽は膨らんできているようですが、まだ、芽吹いていはいないようです。
そんな中で、一つだけ冬芽がほころび始めている樹を見つけました。北大植物園のフェンス越しに。エゾノウワミズザクラです。  参照 サクラ類:エゾノウワミズザクラ(芽だしの早い樹)
007 エゾノウワミズザクラ2014.4.12
ほんの少しですが芽吹いています。
006 エゾノウワミズザクラ」2014.4.12
<エゾノウワミズザクラについて>
・樹高が10~15mになる落葉高木です。生育場所は北海道と青森県のみで、日本以外では極東ロシア、東アジアからヨーロッパに至るユーラシア大陸の冷涼な地域に広く分布するそうです。 本当に寒冷な地域に生育する樹木のようです.
・河畔や沢の下部の緩斜面など湿った肥沃な場所に成育し、開拓前の北海道には広く分布していました。開発が進むに伴い、低地の湿性林は伐採されて農地や放牧地などに転用されたため、絶滅危惧種に指定されているクロミサンザシより個体数が少ない可能性があるのだそうです。
・この樹は種子による繁殖のほかに、萌芽や伏条枝※1など栄養繁殖で株を拡大する性質が強く、富良野東大演習林でその大きさが最大68mになっている樹があるそうです。
008 エゾノウワミズザクラ2014.4.12
主幹がなんらかの理由で伐採された後に、その脇から萌芽枝(ひこばえ)が多数でています。
※1 伏条枝:圧雪などで地面に伏した枝から根が出て、そこか立ち上がった枝のこと。
エゾノウワミズザクラについて詳しく知りたい方は、以下のページへどうぞ
http://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/raretree/10_PRindex.html

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エゾノウワミズザクラ:芽出しの早い樹

5月26日(日)は気温も24℃近くまで上がりすばらしい天気で、いつものように都心部を中心に自転車で樹木の様子を探ってきました。
1-R0010352(赤字)2013.5.26 石山通側
写真の樹々は北大植物園の樹木群です。電信柱が邪魔をしていますが、中央に白い花をつけた樹木が見えます。エゾノウワミズザクラです。同植物園は周囲約1.6kmでそれを一周すると、このエゾノウワミズザクラの白い花をフェンス沿いにところどころで見ることができます。いまちょうど満開のようです。
1-R0010359(赤字)2013.5.26 道庁側の通
樹木群の中央少し右側フェンス沿いに白い花を咲かせている樹が見えます。エゾノウワミズザクラです。
1-020 エゾウワミズザクラ(akaji ) 2012.5.13
このように白い花をたくさん咲かせます。樹木の大きさは6~7mでしょうか。
1-078 エゾノウワミズザクラ(akaji2012.5.13
近くで写すとこのように見えます。花は10~15cmの筒状をしており、その中に1cm前後の小さな白い花を多数咲かせます。
1-RIMG0016(あかじ)2013.4.24
エゾノウワミズザクラは芽吹きが早く、他の樹木がまだ枯れ木同然の時期に青々とした葉を展げるのです。
1-022(赤字)2013.5.12
新葉を開いている樹が数本道路沿いに見えます。エゾノウワミズザクラです。その近くに芽吹きから少し新葉を開けたエゾニワトコを見かけました。エゾニワトコは芽吹き・展葉が最も早い部類に属する樹ですが、これはそれよりも芽吹きが早いようで、この地方でおそらく最も芽出しの早い樹ではないでしょうか。
厳しい冬が1年の内半分近くを占める札幌では、人々は何よりも春を待ち遠しく思っています。暖かい太陽と青々とした樹木の新葉を待ち遠しく思っています。1週間でもいいから早く草木の芽吹き=みどりを見たいと思っています。その点で、このエゾノウワミズザクラは打ってつけの樹木と思えるのです。樹形、花色等特別に特徴があるわけでもないのですが、この芽出しの速さは極め付けで、それだけで公園や街路樹などの植物材料として十分利用価値があると思えるのです。外来種のプラタナスやニセアカシアのように6月中旬にならないと樹冠が緑に覆われない樹に比べると約1ヶ月芽出しが早いのです。4月下旬に芽吹いてゴールデンウィークには樹冠全体が新葉で包まれる樹々が街中にあることを思い描くと、札幌の5月の景観は少し変わるように思うのですがいかがでしょうか?
〇 エゾノウワミズザクラとウワミズザクラの花の違い
1-027 エドノウワミズザクラ(akaji)①エゾノウワミズザクラ1-061 ウワミズザクラ(akaji②ウワミズザクラ
北海道主要樹木図譜では以下のように説明しています。
① エゾノウワミズザクラ
花は若葉に遅れて開き、総状花序は開出または下垂、花は疎らで長さ7~15cm。・・・・・・・雄しべは30個、花弁よりはるかに短く・・・・・・・。
② ウワミズザクラ
花は白色、出葉半ばに開き、径1.3cm、・・・・・、花序は直性で花を蜜につけ、花柄はなく(?)、長さ9~20cm。雄しべは30個で、長さは不定、長いものは花弁より長い
一見してその違いは直ぐわかるのですが、ウワミズザクラの雄しべの長さとその多さが印象的で、雄しべが花を覆っているとように見えます。
〇 Data
・科名 バラ科
・属名 サクラ属
・学名 Prunus padus
・花期 5月中旬~下旬
・分布 北海道、サハリン、朝鮮など  ウワミズザクラ:日本、中国中部、本道は南西部

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