シャクナゲ  石灰硫黄合剤

2014.5.18
写真のシャクナゲは我が家の庭に植わっているものです。撮影したのが今から9年前で、現在は1周り大きくなっています。現在も毎年、樹冠全体を真っ赤に染めてくれます。
2023.4.14
その横に7年前?にリンゴ(フジ)の苗木 を植えたのですが、それが大きくなってシャクナゲを被うようになりました。

リンゴを植えて5年目から個数は少ないですが穫れだしたのです。 それが美味しくてフジ特有の食べたときのシャキシャキ感と私好みのレッドゴールードや紅玉のような甘酸っぱさがあってとてもおいしかったのです。 それでこのリンゴの木を大事にしたいと思い、農薬の石灰硫黄合剤をかけるようになったのです。
2024.4.14
リンゴの主幹近くのシャクナゲの葉が白くなっています。 その部分が石灰硫黄合剤が多くかかった部分。

石灰硫黄合剤は、害虫やカビなどの病気に効果のある殺虫殺菌剤で、果樹農家の方は春先の芽吹き前に必ずかける農薬です。
この農薬は強アルカリ性の色は黄で、原液を7~10倍に薄めて使うのですが、この薬を散布した後は樹冠下の根雪が黄色くなります。 硫黄の匂いが強烈で、早朝早く散布しても午前中は付近にその匂いが漂っているというか、散布後防除用カッパやマスクを外して洗顔しても、その匂いが顔や手に残っている感じがするくらい、この薬の匂いは強烈です。
また、この農薬は強アルカリ性なので、樹木の冬芽や枝、樹幹皮の割れ目などで越冬している害虫の卵、幼虫、成虫にかかると、その強烈なアルカリ性がしみ込んでそれらの害虫等を殺す作用をするので、この石灰硫黄合剤を散布するときは、樹肌の割れ目に十分入り込むくらい、液が樹肌を垂れ流れるくらいかけろと言われています。

このような農薬をリンゴにかけるのですが、その樹冠下にあるシャクナゲにも当然かかります。石灰硫黄合剤は、主にリンゴやナシなどの落葉果樹に春先の冬芽がまだ動いていない、まだ芽出し前に7~10倍液に薄めたものをかけるです。常緑のシャクナゲにかけるものではありません。しかし、どうしてもかかってしまうので、当初はブルーシートを被せようか?とも考えたのですが、少々?心配したのですが、何も被わずにエイヤーでかけました。ところが?、しかし、葉に薬害が出ることもなく、花も咲いてくれたのです。

登録農薬情報で調べてみると

作物名 希釈倍数 使用時期
落葉果樹 7~10倍 冬期
果樹類(柑橘類) 20~40倍 冬期
マツ 20~40倍 新梢発生前
チャ類 20~40倍 冬期

石灰硫黄合剤は常緑樹に20~40倍液なら冬期でもかけられるようです。
だからと言って、たまたこの2年は石灰硫黄合剤の10倍液がシャクナゲにかかっても薬害が出なかっただけで、日照の有無、薬剤散布の時間帯など気象条件、シャクナゲの樹勢などによっては薬害の出る可能性があるので、努努(ゆめゆめ)まねをしないでください。

 

シャクナゲ  冬芽

2015.4.21
ハクサンシャクナゲの冬芽(花芽)。 大きさは1.5cm程
花芽は長さ1.5cmほどの卵状長楕円形。 黄緑色で芽鱗のふちに細毛がある。(樹に咲く花)
2020.12.12
西洋シャクナゲの冬芽。 花芽は大きく2.5cm程。 葉芽は細く長楕円形で小さい。

<余談>
日曜日(12月13日)から真冬並みの寒気が日本列島に入ってきて、札幌はその翌日の月曜日から最高気温も0℃以下の真冬日が続いています。
この急激な気温の低下で、シャクナゲはこの寒さをしのぐために葉を丸め垂れ下げました。
 2020.12.17
この写真は、上の西洋シャクナゲ(12月12日撮影)の5日後に撮ったもの。 5日前の葉は横にピンと開いていますが、13日からの寒波で葉を丸め垂れ下げています。
2020.12.17
これは我家のハクサンシャクナゲ。 すっかりと葉を丸め垂れ下げています。 この横にヒメシャクナゲを植えているのですが、この葉も葉を丸め垂れ下がっています。

冬に見られるシャクナゲのこの現象については、以下の題名で投稿しています。
⇒  シャクナゲはなぜ冬に葉を丸めるのか?

 

シャクナゲはなぜ冬に葉を丸めるのか?

030 シャクナゲ2012.3.10
この写真は、豊平公園の緑のセンター前にあるシャクナゲを撮ったものです。樹高は3m程あり、なかなか立派なシャクナゲです。樹冠全体が赤茶けて見えるのは、種子がはじけ飛んだ後に残った殻が原因です。
031 シャクナゲ2012.3.10
種類は、葉裏が赤っぽく見えますので、おそらくアズマシャクナゲだと思います。
シャクナゲは、冬になると葉を丸めます。そして、写真のように垂直に垂れ下がります。
その理由は、葉から水分を幹の方に移動させて、細胞内の水分(溶液)の濃度を濃くすることで細胞内の凍結を起こりにくくし、耐寒性を高めるためと思っていました。それが葉を丸めるという現象となって現れていると考えていました。
しかし、それだけではないようなのです。
一つは、葉からの蒸散を抑えて乾燥から身を守ること(量は少ないけれども冬季間でも葉からの蒸散は行われる)この点については納得できます。
二つ目は、葉を巻くことで光の当たる面積を小さくしているというのです。説明を読んでもいまいちピンとこないのです。いろいろ調べてみました。
植物は、通常夏場には、根から吸い上げた水分、葉から吸収した二酸化炭素と太陽の光をエネルギーに変えて、これらを使ってデンプンを作っています。中高生のとき習った光合成です。
ここまではいいのですが、植物は葉から吸収した二酸化炭素と光エネルギーを同じ量を使えば問題はないのですが、高温で太陽光線の強い場合には吸収した光エネルギーが余ることが起こるのだそうです。余った光エナルギーが化学変化を起こして活性酸素になるというのです。その活性酸素が悪さをして、細胞が枯死する葉やけ起こしてしまうというのです。このことが、冬季間でも同じようなことが起こるため、なるべく光を受けないようにするために葉を丸めるというのです。人間でも活性酸素が細胞を傷つけて癌化させるとか、老化や病気の原因の多くは、この活性酸素だといわれています。これらのことを考えると、人間=動物もシャクナゲ=植物も、根源的なところでは同じなのですね。
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