キカラシ 緑肥 タマネギ畑

2023.7.28
地下鉄栄町駅を降りて、市道東16丁目線を百合が原公園に向かって15分ほど歩くと右手に写真のタマネギ畑が見えます。 白っぽく見える畑と青く見える畑があります。 これはタマネギの品種が異なり、収穫時期が違うのですが、どちらの畑のタマネギも茎は横に倒れています。 前者の畑のタマネギが先に※根切作業を終えて、後者は葉が青っぽいのでつい最近根切作業が行われたようです。

※根切りとは? なぜ収穫前に根を着る必要あるのか? 家庭菜園では、畑から引っこ抜いて食べているのに。
根切りには、収穫前と収穫後の二通りがあるようですが、栽培農家さんは、収穫前に行っています。
タマネギ栽培の多い札幌の篠路・丘珠地区では、この時期、タマネギがタテヨコ高さ約1.5mのコンテナにぎっしり詰め込まれ、何段にも積まれて屋外に保管されているのを見かけます。 これらは、これから来年の春にかけて順次出荷するタマネギなのです。 その間(長期間保存)、タマネギが腐らないように、品質が落ちないように乾燥して保存する必要があるのです。 なので、根切りの目的は、先ず第一に乾燥させて長期保存が効くようにするためのようです。そのほかの目的として、収穫作業の効率化はもちろん、大きくなることによる裂皮や皮ムケを防止することや、黄色の皮の着色促進など、品質向上を目的としているようです。
 タマネギ(その5) 収穫  より抜粋引用

7月末に、このタマネギ畑を見て「8月上旬に収穫されるな」と思っていました。 ところが、
2023.9.7
1ヵ月余の9月上旬にこの畑を見ると、収穫した後は裸地ではなく草が生い茂っているのです。 草丈は40~50cmで、花も咲いています。 満開ではないのですがちらほらと咲いています。
2023.9.7
近づいて見ると、ナノハナ(菜の花)に似ています。 おそらく、アブラナ科で、ナノハナの仲間のキカラシと思われます。2023.9.17
そして、10日後の9月17日にはキカラシはなくなって、畑に漉き込まれていました。 3~4年前に、この畑で10月中旬に堆肥を漉き込んでいるのを見たことがあるので、今秋はキカラシを緑肥として利用したのです。
タマネギの収穫直後の8月上旬にキカラシのタネをまき、9月中旬に漉き込んでいるいるので、キカラシの生育期間は40日余です。 キカラシの成長は早いようです。

北海道では畑に堆肥の入れる量を毎年2t/1000㎡(2kg/1㎡)を推奨していますが、草丈が40cm程に成長したキカラシは、堆肥量で2t/1000㎡(2kg/㎡)になるのでしょうか?
これを大まかに計算してみると、

草本の❊堆肥化率は一般的に50~80%と言われているので、今回は50%で計算すると、キカラシを4kg/㎡を漉き込めば、4kg/㎡ × 0.5 = 2kg/㎡になり、北海道の基準値になります。 上のキガラシの写真で、畑1㎡当たり4kgの生物質が生えているか?といえばあるような気がします。地下には根もあるのですから。

堆肥化率;草本の堆肥化率とは、草本の生物質を堆肥にする際に、その重量や体積がどれだけ減少するかを表す指標。 堆肥化率は、草本の種類や水分含量、堆肥化方法などによって異なるが、一般的に50~80%程度とされている。つまり、草本の生物質を1トン堆肥化すると、0.5~0.8トンの堆肥が得られる。

2013.7.14
写真は、百合が原公園のリリートレインの線路沿いに咲いているナノハナ若しくはキカラシです。ナノハナもキカラシも秋にタネをまけば、おそらく、札幌では5月から花を咲かせます。 春まきすれば7月上旬?から咲き始めます。 写真の花は春まきのようです。

<キカラシについて>
キカラシはアブラナ科の緑肥作物ですが、園芸植物大辞典などの辞典やウィキペディアで調べても「キカラシ」という項目が出ていないので、属名など植物としての詳細 な情報が得られないのです。 雪印種苗のホームーページを見ると、緑肥作物種子にシロガラシ キカラシ(品種;メテックス)とあるので、このキカラシという名称は、もしかして、雪印種苗が作出したものなのかもしれません。 キカラシがシロガラシから生まれたものならば、アブラナ属(Brassica属)になり、ナノハナと同属です。 このアブラナ属(Brassica属)は地中海沿岸を中心とした南ヨーロッパと小アジアに40種あり、カブ、カラシナ、カリフラワー、キャベツ、ケール、ツケナ、ナタネ、ハクサイ、ブロッコリーなど、日ごろ食卓に登場する多くの野菜がこの属に含まれています。
キカラシ(シロガラシ)は上述のカラシナの仲間になり、シロガラシの学名は、 Brassica.hirta、Brassica.alba、Sinapis.albaと3つ(学者によって見方が異なるため)もあります。 シロガラシはヨーロッパで広く栽培されていて、種子からカラシを採るそうです。 ホットドッグにケチャップと一緒につけるマスタードは、この種子からつくられています。