キハダ  黒い実

「キハダ(黄膚)の名は、樹皮の内皮が鮮やかな黄色であることによる。 内皮をかむとやや甘味のある苦い味がする。 これは塩化ペルペリンを含むため。 胃腸の薬に使われ、外用薬としてねんざや打ち身にも効果があるとされている。 果実も苦味があり、薬用にされた。」 (樹に咲く花)
のように、キハダは生薬の黄檗(おうばく)として良く知られた樹木ですが、今回の話題は、キハダの実(果実)についてです。
2013.11.18
南区泉町にあるエドウィンダン記念公園に生えているキハダの樹です。 公園造成時に植えられて樹ではなく、元々この地に自生していた樹のようです。 樹高は15~20m弱くらいでしょうか。
2013.11.18
このキハダの樹は、毎年秋になると枝先に黒い実をたくたくさんつけます。2012.11.10
果実は球形で、1個の大きさは1cm弱で、ブドウの房のように実をつけます。2015.1.14
ここ何年か毎年、秋口~真冬にかけてこのキハダの樹を気にかけて見ているのですが、11月末になるとこの黒い実の多くがなくなっているのです。 残念ながら、小鳥がこの実を啄ばむ姿を見たことがありません。 年末になると黒い実がどこかにあるか?捜すのに苦労するくらいほとんどなくなって、1月半ば以降に見ると、完全になくなっています。

このキハダの実は小鳥にとってご馳走というか、美味しいのでしょうね。
と言うのは、我家の近くにズミと思われる樹が2~3本あって、毎秋、赤い実をたくさんつけます。 この時期にこれらの樹を見ると、小鳥が食べた形跡はあるのですが、年が明けてもまだしわしわになって黒ずんだ実が残っていることが多いのです。  また、公園や街路樹のナナカマドは2月に入ってもまだ多くの樹で赤い実をつけています。 ときどき、2月末に赤い実が突然なくなっているのに気づくことがありますが・・・・・・・・。
私もナナカマドの実を食べたことがあるのですが、苦くて美味しくなかったことを憶えています。小鳥たちも美味しいものから先に食べて、食べ物がなくなってくる頃に、仕方なく、このナナカマドの実を食べているのでしょうかね?
“ 樹に咲く花 ” では、キハダの果実は苦味があると記載されていますが、人間が感じる苦味も小鳥たちにとっては、もしかして、美味しいのかもしれません。

追記 2018.1.17
今から3年前の2015年1月16日のブログで、キハダの黒い実について書いていました。 書いたことをすっかり忘れていたようです。 内容はほとんど同じなのですが、一つ面白いことを書いていました。 それは、キハダの実には甘い実と苦い実があって、アイヌの人たちは甘い実を採って保存し、お客さんが来た時の料理の食材として使っていた ということなので、もしかして、このキハダは甘い実をつける樹なのでしょうか。 

 

キハダ(その2):黒い実

南区のエドウィン・ダン公園には3~4本のキハダ(シコロ)の樹があります。公園が造成される前から生えていたものらしく、幹径が50~70cm、樹高は15mくらいはある立派な樹です。  その内の1本は実生りも良く、ここ2~3年、毎年黒い実をたくさんつけています(キハダは雌雄異株)。
1-009 キハダ2014.11.20
枝先に黒いつぶつぶがたくさん付いています。 全てキハダの実です。
1-010 キハダ2014.11.20
果実の大きさは1cm弱で、房状にたくさんの実をつけます。
どんな味がするのか?と食べみたいのですが、樹上高くに実をつけているので、思いが叶いません。  苦い味がするらしいのですが、 キハダの実には甘い実と苦い実があって、アイヌの人たちは、甘い実を採って、保存し、お客さんが来た時の料理の食材として使っていた という話もあるようなので、一度は食べてみたいと思っています。
1-017 キハダ2014.11.20
1-002キハダ2015.1.14
ところが、先日、1月14日にエドウィン・ダン記念公園に行ってきました。 樹上を見上げると、キハダの実がほとんどなくなっているのです。 11月中旬にはあれほど付いていた実が写真では枝先に数えるほどになっています。
12月中旬と1月上旬に冬台風が北海道を襲いました。 猛烈な風が吹きました。 もしかして、その風で吹き飛ばされたのか? と思ったのですが、ナナカマドを見ると、しっかりと赤い実をつけているので、やはり、小鳥に食べられたようです。
ナナカマドは、2月に入っても赤い実が残っている樹が多いのです。 他の樹の実が小鳥達に食べつくされた?3月になってから、ナナカマドの赤い実がなくなっている樹があることに気づきます。 3月上旬にナナカマドの実を食べたことがあるのですが、確かに美味しくありません。苦味が口に残ります。 その意味で、1月中旬に無くなるキハダの黒い実はおいしいのかも知れません。 小鳥達にとってはご馳走なのでしょうね。

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キハダ(その1):冬芽 

先週は北海道東部の沿岸近くに停滞する低気圧の影響で、札幌は真冬並みの天候が続きました。ことろが、今週は南からの高気圧の圏内に入り、4月中旬並みの10℃を上回る日が続いています。やっと札幌にも雪解けの季節がやってきました。昼間に少し時間を見つけて玄関前に張り付いている氷割りの作業をしました。
今冬は2月中旬~3月中旬にかけて雪の降る日が多く、その分、雪解けが例年に比べて相当遅れいているようです。都心部でも道路脇に土の混じった黒っぽい雪がいまだに残っています。
012.jpg
写真は、豊平幹線(南9条大橋と幌平橋の中間)から都心部を撮っています。手前の樹木は、豊平川の河川敷に生えているヤナギ類です。
今回の冬芽はキハダです。
キハダ22011.3.4
小枝は暗褐色をし、典型的な二股分枝の枝ぶりを示す。1年生枝は太く、径5~10mmあり、無毛で、赤褐色ないし黄褐色をし、つやがある。
キハダ32011.3.4
皮目(白いつぶつ)は大きく、だ円形ないし円形で、やや突出する。
葉痕は大きく、長さ6~13mmあり、灰色をし、馬蹄形ないしU字形で、冬芽を取り囲み、3グループの維管束痕を持つ。
冬芽は対生で、円錐形ないし半球形。
021 キハダ2011.7.16
016 キハダ2012.3.6
南区真駒内にあるエドウィン・ダン記念公園(旧真駒内中央公園)に生えているキハダ。高さ15m以上ある老木。この公園には、あと2~3本老木のキハダが生えています。
キハダは、公園ではほとんど見かけない樹ですが、札幌周辺の山々には普通に見られる樹木です。
085 キハダ(シコロ)の樹肌-0012010.9.10
キハダの樹皮は厚いコルク質で、樹皮だけを見てキハダと判別できるくらい特徴的です。自信が持てない場合、樹には申し訳ないですが、ナイフで樹皮を剥がすと黄色い内皮が出てきます。
128.jpg2011.8.13
この写真のほうが一般的?というか、色は白っぽい灰褐色、深くごつごつした網目状の溝がある外観で、老齢樹に見られる樹肌です。
<余談>キハダを別名シコロといいます。北海道の材木業者さんの間ではこの名が一般的なのだそうです。これは、アイヌの人がキハダのことを“シケレペニ”と呼んでいることからきているそうです。
このキハダは公園には馴染みの薄い樹なので、“シコロ”と呼ばれることを聞いたことがなかったのですが、数年前にただ一度、定山渓に住んでいる老人の方(林業に携わっていない)がそう呼んでいるのを聞いたことがあります。定山渓は今は温泉だけの町になっていますが、昔は営林署があって林業関係者も多く住んでいたからなのでしょうね。

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