マグノリア アシェイ  百合が原公園

百合が原公園に世界の庭園という一画があります。 これは、札幌市の3つの姉妹都市(ミュンヘン市、ポートランド市、瀋陽市)を代表する庭園と日本庭園の4つを見ることができるコーナーですが、その中の瀋陽市の中国庭園の近くにマグノリア  アシェイが植えられています。
2023.6.18
写真のマグノリア  アシェイの高さは約4m、葉張りは2m強でしょうか。2023.6.18
葉の大きさは葉柄まで入れると80cmはありそうです。 バナナの葉を連想させます。 写真中央に三角錐の白いつぼみが見えます。 大きさは15cmはあります。 葉もつぼみもデカいです。
2023.6.18
つぼみはいくつかあるのですが、開花しているはものはこの花1個でした。 おそらく、今朝(6月18日)に咲き始めたのでしょう。花弁が開き切ると花の大きさは30cm以上という話です。 ホウノキの花を二回り大きくした花が咲き、開花すると良い香りがするそうです。 写真の花は木の上の方で咲いていたので香りは漂ってきませんでした。 ちなみに、花が咲いていいるのは2~3日と短いようです。
このマグノリア アシェイは札幌では冬越しが難しいので、百合が原公園では櫓を組んでその中に落葉を入れて越冬させています。

百合が原公園のマグノリア・アシェイ ⇒ https://yuri-park.jp/odheo/32361/

<マグノリア アシェイについて>
マグノリア  アシェイ(Magnoria .ashei)はモクレン科モクレン属です。 同属は世界で90種知られており、札幌でもお馴染みのハクモクレン(Magnoria.heptapeta) やコブシ(Magnolia.praecocissima)、ホオノキ(Magnolia.hypoleuka)もマグノリア  アシェイと同じモクレン属です。
モクレン属は、太平洋を挟んでアジア大陸とアメリカ大陸に隔離分布し、アジア大陸に多い。 アジアでは、ヒマラヤ、東南アジア、マレーシア、東アジアに、アメリカでは、北アメリカ東、東南部、中央アメリカ、南アメリカ北部に分布し、ほとんどの種が山地生である。 また、全種数のうち大半は熱帯・亜熱帯産で、残る温帯性のものが広く栽培されているが、高木性のものが多い。(園芸植物大辞典)

上記園芸植物大辞典ではモクレン属90種のうち14種を紹介しているのですが、すべてが温帯性の種で、熱帯・亜熱帯性のマグノリアはありませでした。今回紹介したマグノリア  アシェイは載っていませんでした。最新園芸大辞典や園芸大百科事典も同様です。
パソコンで調べると、GKZ植物辞典では以下のように書かれています。
・常緑樹で、
・原生地は北アメリカフロリダの森林地帯
・樹高は3~5m

マグノリア  アシェイは熱帯・亜熱帯性の種で、日本ではほとんど普及していない珍しい種のようです。

さらに調べていくと、マグノリア アシェイは※落葉樹で樹高は5~10mになるようです。※落葉樹;熱帯に生えるマグノリア  アシェイは葉を落さないのでしょうか?
また、マグノリア  アシェイは学者によって分類上の「種」について 意見が分かれている樹木で、ある学者はマグノリア  アシェイを固有種と考えており、別の学者は、マグノリア  マクロフィラ(Magnolia macrophylla)、英名をgreat-leaved magnolia(大きいはのマグノリア)の亜種※1と、さらに他の学者は変種※2と考えています。

※1 亜種生物分類における種より下位の区分の一つ。新ラテン語もしくは英語の “subspecies” の和訳語で、しばしば subsp. や ssp. とも略記される。 動物学では種の直下の区分は亜種のみであるが、植物学では変種および品種と併用している。動物学では亜種の下位区分として品種を用いる場合があり、犬種や人種などがこれに該当するが、これらを品種と認めない研究者もいる。

※2 変種;植物学における変種は、植物命名規約によって定められた、植物分類における階級の一つ。二名法で記載される学名の後ろに「var.」と省略されて表記される。なお植物新品種保護国際同盟では、変種の語を法律用語として扱っている。 国際動物命名規約では、種小名の後ろにつけられる階級は亜種のみが認められており、変種という階級は認められていない。 キタコブシはコブシの変種

亜種と変種の違いをイメージ的に言うと、
亜種は、火山の噴火など地形的な変異が起こって、1つの種が地形的に分断されて長期間に渡り交雑もなく独自の進化をすることにより、同じものであった一つの種が形質的に異なった形状を示すようになったもの。
変種は、ある地域で紫色の花が咲いていた草木に、突然変異で白花が咲くものができて、それが継続的に生存しているもの。
という感じでしょうか。
これを、マグノリア  アシェイに当てはめると、
マグノリア   マクロフィラという種が北アメリカの南東部に自生していて、地形の変動や突然変異など何らかの変異により、その種から新しい形質を持った個体群がフロリダの限定的な地域に現れたのです。それを研究していた学者さん達がマグノリア  アシェイという新しい独自の種と見るか、マグノリア  マクロフィラの亜種か変種と見るか、学者さんたちの考え方の違いにより学名が違ってくるのです。

マグノリア マクロフィラ;北アメリカ原産の落葉高木で、ホオノキよりさらに大きい葉をつける。長さ1m近い葉はモクレン属中最大で、枝端に集まって輪生状を呈する。葉色は白見を帯びた淡緑色。 花は帯黄白色で芳香を持ち、径30cmと大型である。(園芸植物大辞典)
原生地では樹高は20m以上になるようで、マグノリア  アシェイはそれの小型化、矮性化したもののようです。

 

 

 

 

 

 

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