ドウダンツツジ  紅葉と肥料


2015.11.5                                                       2020.10.27
2枚の写真は同一のドウダンツツジ。 我家の庭に植わっています。 葉色は違いますが、これは天候の違いによるものです。 左は晴れた日の午後3時過ぎ?で、右は午前の曇った日。 しかし、どちらもドウダンツツジ特有の朱色に染まる美しさはありません。

以前、下記の投稿で、ドウダンツツジの紅葉の美しさは、その樹がもともと持っている性質、素性であるというようなことを書きました。

 ドウダンツツジ 紅葉

ところが、そうではないようです。
我家のお隣さんで以前住んでいた方の庭にあったドウダンツツジは毎年目の覚めるような朱色に染まっていたので、我家のドウダンツツジの葉色の冴えなさを嘆いていたものです。
それが、今から5年程前に新しい方が住まわれるようになってから気づいたのですが、そのきれいに紅葉していたドウダンツツジがどす黒い赤色に変わってしまっていたのです。
その新しく転居してきた方は私と同じように家庭菜園が好きで、トマト、キュウリ、ダイコン、スウィートコーンなどを作っていて、毎春、苗を植え付ける前に油粕や骨粉など肥料をまいて畑を起こしていました。 その畑の横にそのドウダンツツジが植わっているのです。
盆栽が趣味の方の話ですが、「モミジがきれいに紅葉しないが、これはどうも肥料が原因のようだ。」と聞いたことがあります。

このことが落葉系の樹木すべてに当てはまるかどうかは分かりませんが、おそらくモミジ類や紅葉する種類の樹木は、肥料を与えるときれいには紅葉しないように思えるのです。

話を我家のドウダンツツジに戻すと、このツツジの紅葉がきれいでない原因は、一つは元々その樹が持っている性質か、もう一つは、造成時に入れた土が肥料分を多く含んでいたか です。 もし、その土が肥料分を多く含んでいるものだったら、植えてから30年以上経ち、その間肥料を一切与えていないので、もうそろそろというよりもっと以前からきれいに紅葉してもよさそうに思えるのですが・・・・・・。

ヌルデ、ヤマウルシ、ヤマブドウなど山野で美しく紅葉する樹木には人間が与える肥料は全くありません。 公園などに植えられているモミジ類などにもほとんど肥料は与えられていません。 それでも年によって紅葉の美しさに良し悪しが出ます。

樹木が美しく紅葉するかどうかは、与える肥料やその樹が持っている性質だけではなく、その年の天候にも影響されます。 なので、もし庭のモミジをきれいに紅葉させたいのなら、とりあえず肥料は与えないのが良さそうです。

 

ドウダンツツジ(その2) スズランに似た花

ヤマツツジ、カバレンゲツツジ、キレンゲツツジ、ヨドガワツツジ、リュウキュウツツジ、オオムラサキ、ヒノデ(クルメツツジ)などなど、都心のビルディングの外構植栽に、公園で、個人の庭で、札幌はツツジが満開です。
今回採り上げるのはドウダンツツジです。 このツツジ、ツツジという名前を付けてもらっていますが、一般のツツジの花とは全く異なり、スズランに似た白いかわいい花を咲かせます。 ツツジ科の中では最も原始的な種類だそうで、サツキなどの大きな花を咲かせるツツジ類とは同じ科といっても遺伝的にはかなり離れた関係にあるよ
うです。
ドウダンツツジ 2016.5.24
花の大きさは、1cmくらいで、枝先に釣鐘状の花を数個下垂して咲かせます。ドウダンツツジ 2012.5.26

ドウダンツツジ 2011.7.3
森林総合研究所
樹高は3~3.5 mくらい。 普段見るドウダンツツジは丸く刈り込んだ株物か生垣なので、改めて自分の背丈より高い成木を見ると、「このようになるんだ」と思ってしまいます。

ドウダンツツジ
2016.5.24  南区真駒内 ドウダンツツジの生垣

<余談>
札幌市では、昭和40年代後半から、サツキ、レンゲツツジ、リュウキュウツツジ、ヨドガワツツジなど多くの種類のツツジ類が公園造成時に植えられました。 しかし、現在サツキは公園で見ることは出来ません。 全て枯れてしまいました。 カバレンゲ・キレンゲツツジの多くも枯れてしまいました。 現在残っているのは、土壌表面が乾燥しないなどレンゲツツジが生き残れる条件に適したところだけのようです。 それに反して、このドウダンツツジは、土質を選ばす植えられた環境に適応する能力が高いようで、公園造成時植えられたものが比較的多く残っているようです。

ドウダンツツジ 紅葉

豊平川沿いに連なる山々の紅葉も終わりに近づき、カツラやイタヤカエデ、シラカバなどほとんど葉を落とし、残るのはミズナラの褐葉とカラマツの黄葉です。 山肌は冬枯れの様相を呈してきました。 一方、街中に目を移すと、ビルディングの外構、公園や個人の庭で見られる生垣やきれいに刈り込まれた株物など、ドウダンツツジの朱色がかった紅葉が俄然目立ってきます。 ドウダンツツジの紅葉は少し遅め(赤い葉が長くついている、なかなか落葉しない)で、冬の寒さが身に沁みるこの時期から、その美しさが際立ちます。
石山緑地
2015.11.3  石山緑地
ドウダンツツジに挟まれているのは、リュウキュウツツジ。 園路左側の株物はヨドガワツツジ。

ドウダンツツジ 豊平川河川敷(藻岩上の橋)
2015.11.3  ドウダンツツジの群植  豊平川河川敷 藻岩上の橋下流方向

1-001ドウダンツツジ (2)
2015.10.31  玄関前の四角く刈り込まれたドウダンツツジ  通路と門には石山軟石が使われている。

<余談>
ドウダンツツジ
2015.11.3
これは、我家の庭にあるドウダンツツジです。 植えて25年以上経っています。 植えたころからこの色で、どす黒い赤でお世辞にもきれいとは言えません(写真では茶褐色に見えるが、これは種子とその花軸が黄緑色で、それがたくさん生っているためにこのような色に見える)。10年以上前になりますが、植え替えたら少しはきれいな紅葉に変わるかと思い、ピートモスを多めに入れて今の場所に移しました。 しかし、さっぱりです。 元々持った性質は、土壌を改良するくらいでは変わらないようです。 「目黒のサンマ」ではないですが、教訓、「ドウダンツツジの入手は、秋に限る」のようです。