ギボウシ

<余談>
今から35年?程前、昭和から平成に変わるころの話。現在は国道453号と言って国土交通省北海道開発局が所管管理していますが、その前は支笏湖線という道道(北海道が所管する道路)で、札幌市が政令指定都市になってからはそれを札幌市が管理しています。 その道路の歩道脇に植えられていた宿根草の話です。
場所は南区の石山陸橋から芸術の森の約3km程です。 その区間の道路は2車線で歩道幅も狭く、そこに街路樹を植える程のスペースがないために幅50~60cmの細長い植栽スペースが設けられていました。 そこに、ギボウシを含む宿根草が10種類以上、1つの種類を10~20mの区画別に細長く植えられていました。 現在は、「芸術の森フラワーロードに花を咲かせる会」の皆さんを中心に地元の方々で1年草が植えられています(これはなかなか大変な作業)。
植えられた当初はそれらの宿根草はきれいに咲いていたのですが、何年?かすると空きスペースが出てくるようになってきました。 そして次第にその空きスペースの割合が多くなって、植えられたほとんどの宿根草が消えてしましました。 そこに最後までしぶとく生き残っていたのがギボウシ(矮性種)だったのです。
植物の生育にとって道路(歩道)環境は厳しいものがあります。 太陽は1日じゅう当たるので、それはいいのですが、降雨がしばらくなかったりすると周囲が舗装面なので乾燥しやすいことや、舗装面の照り返しなど温度の急激な上昇や車が通り過ぎるときに吹く乾風など環境の振幅が大きいのです。 また、冬期間は除雪により植栽スペースに重い雪が堆積されることや、その堆積された雪を排雪する際に、重機でそれを傷めたりします。 小さな植物にとって道路環境は、雨のない夏は砂漠のような乾燥地帯、冬は数メートルの雪が積もる豪雪地帯に生息しているようなものです。
そんな環境で最後まで生き残っていたのがギボウシだったのです。 なので、私にとってギボウシは、公園や道路であろうと、家の片隅みに植えられ1日じゅう日陰になるような環境でも、要はどんな環境でも育つ、耐え抜く、生き抜く力のある植物というイメージがあるのです。

東アジアにおよそ20種~40種が分布する、毎年花を咲かせる多年草。分布の中心は日本で、多くの種があり、やや湿り気のある土壌を好み、主に山野の林の中や草原、湿原などに自生。日本では古くから観賞用に庭などに植えられ、園芸品種ができたのは江戸時代中期から後期。ヨーロッ パにはシーボルトらによって紹介され、その後、アメリカにも導入されて数多くの園芸品種が作られた。葉の色や姿、大きさにさまざまなバラエ ティーがある。
(ヤサシイエンゲンゲイより)
2013.6.16
滝野すずらん公園 比較的草丈の低いギボウシ(斑入り)
2017.8.6
南郷通の央分離帯に植えられているギボウシ(オオバギボウシ?)
大型の葉を放射状に拡げながらコンパクトにまとまった草姿の先から高さ1.5m前後の花梗を伸ばし、白や薄紫の花を咲かせる。
2019.7.16
地下鉄真駒内駅前通 ちょうど花の満開時期
ギボウシは、花をというより草姿を楽しむというイメージが強いのですが、この写真を見ると、花もきれいです。 2017.8.31
百合が原公園内
 
2020.7.14
左;オオバギボウシ、右;タチギボウシ(北大植物園)
〇 オオバギボウシ(Hosta.sieboldiana);九州の屋久島から北海道中部まで分布。種の形容語は長崎のオランダ商館の医師として来日したシーボルトにちなむ。
〇 タチギボウシ(Hosta.rectifolia);コバギボウシ(Hosta.sieboldii)は西日本では小型で、北方ほど大型になり、変異は連続し、北海道、東北の型をタチギボウシとする見解もあるが、区別することはできない。
(園芸植物大辞典)

 
2022.8.4
ギボウシの園芸品種
左:葉が淡緑もしくは黄緑色の品種、右:斑入り種

<追記>
古い植物図鑑などは、ギボウシをユリ科ギボウシ属(ホスタ属)と記載していますが、最近の分類ではキジカクシ科  リュウゼツラン亜科  ギボウシ属 です。