オヒョウ 果実

2017.5.23
奥深い山の中で撮ったように見えますが、道路脇の斜面の写真です。
遠くから見ると、その樹に何か白い花のようなものが咲いているように見えるのですが、はっきりとわかりません。 近づいて見ても、すぐにはそれが何であるか?わからないし、その樹がなんであるかも分らなかったのです。
葉を見ると、オヒョウの特徴である葉先が3~5列する葉を見ることができました。
2017.5.23
オヒョウは公園や緑地など街中ではほとんど見かけない樹です。 同属で花や果実がよく似ているハルニレと違って山に生える樹です。 円山や真駒内公園、藻南公園など自然林の中を歩くと、葉に特徴があるので、容易に見つけることができます。
手前の白い樹肌の樹はシンジュ。 ちょうど赤い新芽が出てきています。
2017.5.23
近づいてしっかり見ると、花と思っていたものは、オヒョウの果実、※翼果です。
※翼果 : 果皮の一部が羽のように発達しており、風により飛散する果実。この羽の部分を翼(よく)という。ニレ、ハンノキ、トネリコ、カエデ、モミジなど。

2017.5.23
オヒョウの果実は、ハルニレのものに比べて一回り大きいです。 2014.5.24
拡大して撮ると、サクラの花、緑色の花びらをした八重サクラのようにも見えます。

ハルニレ:翼果は倒卵形で扁平、長さ10~15mm、先はくぼむ、6月成熟、緑黄色から褐色になる。
オヒョウ  :翼果は広楕円形、長さ15mm、6月に成熟。初め緑色のち灰褐色になる。
(北海道樹木図鑑)

ハルニレは、新葉が出る前に果実(翼果)が緑色になっている樹を見かけます。 そのため、翼果を新葉と勘違いしてしまうことがあります。 その点、オヒョウはハルニレと違うようで、翼果になる頃には、十分に葉も大きくなっているようです。

 

オヒョウ 冬芽

オヒョウ : 冬芽
オヒョウ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冬芽は、二列互生であり、かなり開出し、長卵形で、先がとがり、長さ3~6mmある。芽鱗は暗栗褐色ないし黒褐色をし、、短軟毛が疎にはえ、3対が見えて。覆瓦状に重なる。仮頂芽はやや大きく、長さ5~7mmある。 オヒョウは※葉脚不斉がとくに明らかで、冬芽が葉痕の真上になくて、冬芽が葉痕の真上になくて、日向側に寄っている。(落葉広葉樹図譜)
※葉脚不斉(ようきょくふせい):葉の基部が左右対称でないこと

 

オヒョウ2011.4.24
花芽が膨らみ始めています。 このあと直ぐに開花します。
花芽の上を包むように覆っていものはなんていうのでしょうね。

オヒョウ

1-050 オヒョウ2013.3.17
2月23日(日)に枝を採ってきて水挿しておいたものです。3週間ちょっと過ぎています。冬芽から葉が少し出てきているのに気づいてから、この大きさ(長さ3㎝×幅1.5㎝)になるまでにしばらく(10日程?)かかっています。
1-081 オヒョウ 真駒内 めぐみ公園近く 2011.6.5
真駒内の団地内に植えられた?生えている?オヒョウです。このオヒョウの立っている位置が、植えられたにしては道路に近すぎるし、元々ここに生えていたものを残したにしては樹が若い(老齢樹ではない)のです。なぜ、このオヒョウがここのあるのか、この位置に立っているのか?不思議です。もしかして、どこからか種子が飛んできて自然に大きくなった樹なのかもしれません。
1-006 オヒョウ2012.7.14
札幌市の郊外(南区藤野焼山腺沿い)に生えているオヒョウです。札幌市周辺に広がる山々は、円山・藻岩山の原始林(天然記念物)を除いてほとんど人間の手が加わったところ(二次林)です。このオヒョウも、明治以降に開墾されて畑地であったところが現在は耕作放棄地となってしまい、そこに生えてきた樹のようです。
1-037 オヒョウ2012.7.2
円山に登る山道沿いに生えているオヒョウです。樹高は見上げるだけで検討もつかないですが、幹径は1.5mくらいはありそうです。明治以前の札幌の周辺の山々には、このような大きなオヒョウがあちこちに生えていたのでしょうか?
<札幌市の中心部からほど近い円山と藻岩山は、北緯43°という高緯度にありながら、植物の種類が豊富(世界的に見ても珍しい)でしかも、カツラ、ハルニレ、シナノキなどの大きな樹が存在するということで、大正10年に天然記念物に指定されています。私は山歩きはしないのですが、それでも南区周辺の自然林を歩くことがあります。それらの自然林と円山・藻岩山を比較すると、樹林下の下草から高木に至るまで円山・藻岩山の植物の種類が明らかに多いよう思います。そのように感じます。>
オヒョウはニレ科でハルニレと同じ仲間(Ulmus属)です。その違いは、まず葉の見た目(形状)が違うことと、オヒョウはハルニレほど大きく巨木にはならないことです。しかし、開花時期、花の咲き方やその形状はほとんど同じと言っても差し支えないくらいよく似ています。
もう一つの違いは、ハルニレが札幌市の中心部や北海道大学など豊平川が運んでくれた豊かな土壌地帯(扇状地)に、現在でも大きな樹が多数残っているのに対し、オヒョウは全く見当たらないことです。ハルニレが平地のやや湿った肥沃な土地を好むのに対し、オヒョウは山の中に生える樹のようです。
冬芽 ~ 新葉
1-048 オヒョウ2011.4.10
オヒョウの冬芽は、ハルニレに比べてその色が黒く見えます。黒紫という色があるかどうかは知りませんが、そんな感じです。
1-009 オヒョウ2011.4.24
つぼみが顔を出してきてます。その周りに白い毛で覆われたアーチ状のものが見えますが、何なんでしょうね?ガクですか?それとも葉ですかね?ハルニレやオヒョウは葉が出る前に花を咲かせますから、葉ではないと思うのですが・・・。
1-013 ハルニレ2012.4.25
これは、ハルニレの花です。オヒョウではありません。ハルニレほど身近な樹ではないので、写真に撮ってないようです。とりあえず、ハルニレの花を載せています。
1-064 オヒョウ2012.5.6
4月中?下旬から開花し、5月の中旬には結実します。そのころ新葉が展がり始めます。
下の写真で、ピンクっぽい三角形のものは、冬芽を包んでいた芽鱗です。
1-047 オヒョウ2011.5.14
1-001 オヒョウ2011.5.18
オヒョウの葉の特徴
同一樹種にもかかわらず葉形に違いがあって、同じパターンの葉形をもたないものを異葉性というそうです。しかし、どうしてそうなるか?は分っていないようです。、オヒョウはその代表格ですが、そのほかにヤマグワがあります。
1-022 オヒョウ2011.5.30
名前の由来
牧野新日本植物図鑑によると
オヒョウはアイヌ名である。一名ヤジナは葉が矢筈状(やはずじょう)をしたシナノキの意味。他の一名ネバリジナは、樹皮がねばるシナノキの意味で、本種もシナノキもともに樹皮が丈夫で、このようにたとえたのである。
※矢筈とは:矢を弦につがえるために、凹字がたになった矢の頭部をいう ということらしいです。
他には、
アイヌ語でオヒョウの樹皮をオピウと呼び、これから和名のオヒョウが生まれたという説があるが、これが有力であるらしい。
Data
・科名 ニレ科
・属名 ニレ属
・学名 Ulmus laciniata 小種名Laciniataは細く分裂した という意味
・花期 4月下旬~5月上旬
・分布 北海道、本州、九州、朝鮮、中国

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