サビタの花

今、アジサイやガクアジサイ、ツル性のツルアジサイ、イワガラミなどユキノシタ科の花が公園や大きな公園の自然林で、花を咲かせています。これらと同じ仲間のノリウツギ(サビタ)も、今、ちょうど満開です。
018 ノリウツギ2012.7.17
山鼻川緑地に植えられているノリウツギです。
021-001.jpg2012.7.17
同じく山鼻川緑地です。川に沿って生垣状に植えられています
062 ノリウツギ2011.4.9
4月上旬の芽出し前の芽です。冬芽はもう少し四角張っているのですが、この時期から少しずつ膨らみ始めているのですね。
019 ノリウツギ2011.6.19
新梢の先につぼみが出てきました。6月の中旬です。
019 ノリウツギ-0012012.7.17
ノリウツギは円錐形の花(集散花序)をつけます。外にと飛び出している白い花は、無性花(装飾花)で、真ん中の雄しべがたくさん出ている小さな集まりが有性花です。それらが種子になります。そして、翌年の芽出しが過ぎてもしっかり茶褐色の実殻をつけています。
012 ノリウツギ2012.7.15
樹木図鑑などでは、ノリウツギの大きさを3~6mと記していますが、通常、公園などで見かけるノリウツギは3m程度のものがほとんどです。
013 ノリウツギ2012.7.15
これは、南区藤野焼山線の道路沿いに生えているノリウツギです。樹高は5mはあると思います。国道230号線から相当奥(3km?)に入ったところ生えていますので、おそらく人間の手で植えられたものではないと思います。
014 ノリウツギ2012.7.15
幹は太いもので10cm強のものが叢生しています。ノリウツギは自然に大きくなると、このような樹形になるのでしょうか?
ノリウツギとう名前より、”サビタ”という語感、響きがよく、地元の人、特に70才以上の年配の方にノリウツギのことをサビタと呼ぶのを聞きますので、なぜこの名前が北海道で使われるようになったのを調べてみました。ウェブサイトに図鑑等で記載されたのをまとめたものがありましたので、いくつか紹介します。
①増補版 牧野日本植物図鑑:昭和34年増補)
幹の内皮を以って製紙用の糊を製す。故に和名を糊空木或いは糊の木といふ。また、北海道では、サビタと呼 ぶ。故に、其の根材を用いて造れるパイプをサビタのパイプという。
②北方植物園
サビタ(ノリウツギ)の材は、木クギにできるほど硬く、これで造ったパイプやステッキは、アイヌ細工の中でも早くから知られ、特に、日高沙流川流域の製品は人気を集めた。・・・・・・・
③北大植物園HP
ノリウツギの茎や根には太い髄が通っておりストローのようになっているので、それを利用して煙管(パイプ)やスッテキなどが作られ北海道や日光の名産品になっています。和名はかつてこの木の皮から製紙用の糊をとったことから糊をとるウツギ(空木)に由来するほか、ノリノキ(糊の木)、ネリキ、トロロノキなどとも呼ばれています。北海道ではサビタと呼んで、これからとれる糊は「サビタ糊」「北海道糊」として、高級紙を作るのに利用されていましたが、名前の由来ははっきりしません。
そのほかにも、いろんな出版物の記載例が乗っているのですが、肝心の「なぜ北海道で使われるようになったか」については言及していません。
辻井達一著“日本の樹木”に
「このサビタという名前は、何となくアイヌ語からきたように思えるが、アジサイの仲間が別名としてサワフサギとかサワップサギ、サワフタ、サワブタなどと呼ばれることからの転訛だと考えられる。サワブタからサビタへの変化は十分、考えられるだろう。・・・・・・・」
と記述していますが、、やはり一番肝心な、「どうして北海道で使われるようになったかについては書かれてないのです。
“サビタ”という名前についての疑問は解けないのですが、ノリウツギより“サビタ”という名前の方が,その響きからすると数段上のような気がするのですが、いかがでしょう?

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