サクラはどのようにして生きているのか?

これは、真駒内エドウィン・ダン記念館横にある「オンコザクラ」と呼ばれている樹です。
エゾヤマザクラ オンコザクラ
2012.5.3

オンコ(イチイ)の幹(高さ3~4m)の途中からサクラが幹を伸ばしています。鳥の糞の中に入っていたサクラの種が、偶然このオンコに落ちて成長したものと思われます。今から22~23年まえの平成始め頃に、このサクラを見た記憶があり、その頃の大きさ(樹高)は、2~3m前後ではなかったかと思います。 このサクラの樹齢は30年は経っているのではないでようか?
30年生のサクラとなると、幹径は40cm前後になり、、樹冠も7~8mぐらいにはなります。通常に育ったサクラに比べると小ぶりなのは当然ですが、いまや、オンコを圧する勢いがあります。

031 オンコザクラ2012.5.6
一方、サクラの台木というか親元であるオンコ(イチイ)は、高さ7~8m、葉張りは10m前後あります。目通径は70cm前後ある老木です。
この樹の説明板には、以下のように書かれています。
このイチイは、現在地から約1.5km北方に位置していた北海道庁真駒内種畜牧場事務所旧庁舎の玄関前に植栽されていたもので、旧庁舎の一部を移築し、中央公園管理事務所(現エドウィン・ダン記念館)を建築したことにちなみ、ゆかりの建物とともに現在地に移植したものです。樹齢推定120年(現在:推定130年)。なお、旧庁舎前には一対となって、このイチイが植栽されていましたが、いま1本の方は北海道本庁舎正面玄関前庭に移植されました。
033 オンコザクラ2012.5.3
今から、30~40年前に、樹齢100年弱のイチイの樹上にサクラ(エゾヤマザクラ)が芽を出し、現在では、オンコ(イチイ)の生育に障害が出そうなくらい大きく成長しています。
それにしても、このサクラ、どのようにして水分や栄養を取っているのでしょうか?
サクラが芽を出したときは、イチイ(オンコ)の幹にちょっとした溜まりがあり、そこに根を出して生きていたと思われますが、今のように大きく成長するためには、根を広げ養分を吸収するための土壌に変わるものが必要です。
サクラの根は、ヤドリギのように不定根を出して直接樹木の細胞から水分や栄養を吸収出来ませんので、どうしても、土壌に変わるものが必要です。
それは、オンコの幹の中に虚(うろ)があり、そこに、オンコは根を広げているようです。虚(うろ)の中は、樹木の隙間から入った雨水で湿気っており、また、樹木内部の腐朽により,半土壌化した木屑が存在し、それらから水分と栄養を吸収していると考えられます。当樹木の管理者の話によりますと、イチイの虚は地面まで達しっていないので、同様に、サクラの根も地面には到達していないのではないか というお話です。もし、サクラの根が地面に下りると、サクラの生長は加速度的に早まると思います。
この写真は、イチイ(オンコ)とサクラの接合部を撮ったものです。
032 オンコザクラ2012.5.6
サクラの幹がイチイの幹を引き裂くように、押し広げる様子が分かります。
このオンコザクラは、まだしばらくはこのままの状態でいられると思いますが、10年単位で考えると、今後どのようになるのでしょうか?
おそらく、何年後、何十年後かは分かりませんが、サクラの幹はイチイの樹幹を引き裂くと思います。
それを心配するより、その前に、サクラがこれ以上大きくなると、強風により、接合部から折れることが懸念されます。そのためにも、また、サクラの生長を少しで遅らせるためにも、サクラの樹冠をこれ以上大きくしないための極め細やかな剪定や総合的な対策が必要になってくると思います。
このオンコザクラの姿を末永く保つために、管理者の英知と日ごろの思いやる管理に期待します。

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真駒内緑町緑道

地下鉄駅真駒内駅を降りて、正面の道路を真っすぐ300m程歩くと、右手に中央分離帯のある広い道路にぶつかります。そこから50m程先に、マンションが数棟建っていますが、そのマンションの間に小さな川(真駒内用水)が流れています。その土手の上にサクラが植えられています。
015 エゾヤマザクラ 緑町緑道2012.5.3
緑町緑道です。
5月3日にサクラの写真を撮りに行ったのですが、撮影中に写真を撮りに来る人に2~3人出会いました。地元の方の話によると、「10年ほど前までは、報道関係者が新聞記事にするために、写真を撮りに来るほどきれいに咲いていた」という話です。また、地元の方かどうかは分かりませんが、私が写真を撮っている10分ぐらいの間に何人もの人がサクラを見上げながら緑道を歩いて行くのを見ました。
この緑道は、サクラ(花)と小さな川(水)と生垣(緑)という写真撮影にもってこいのシチュエーションです。
020 エゾヤマザクラ 
サクラの種類は、エゾヤマザクラが主体で、エゾヤマザクラより1週間程開花が遅れるカスミザクラも中に混じっているようです。樹齢は、昭和30年半ばから真駒内団地が造成されましたが、その時に植えられたもので、50~60年と思います。
この並木にはソメイヨシノも混じっています。これらは、エゾヤマザクラが何らかの理由で枯れた後に植えられたものと思います。
真駒内用水沿いの緑道の幅は2~3mで、そこにサクラが植えられているため、人がすれ違うには狭いぐらいの歩道幅です。見上げると、サクラの枝が住宅地に入り込んで花を咲かせています。
040 エゾヤマザクラ  緑町緑道
これは、地元の方に頂いた写真を、再度、カメラに収めたものです。そのときの説明によると、平成10年前後に撮ったものではないかという話です。
カメラの質によるのか、天候の所為なのか、それとも樹木の樹勢が良いためなのか、その原因は分かりませんが、この写真に写っている花の色は、ピンク色で実に艶やかです。
実は、この写真を取り上げたのは、花色の違いを表すために載せたのではなく、樹勢の違い、写真を撮った当時から約15年を経て、樹齢が50~60年を過ぎるとサクラの樹勢は衰えてくるものだ ということを示すために掲載したのです。しかし、写真では、現在のサクラ並木は当時に比べて、小枝の付き方・密度、花数は少なくなっているようですが、樹勢の衰えは花色ほどはっきりとした違いは分かりません。
しかし、この緑道の中を歩くと、伐採された切株が所々に見られます。太い枝が切られている樹が多々あり、サルノコシカケの仲間のキノコが生えている樹もあります。この並木のサクラは全体的に弱ってきているようです。
その一方で、3m前後の新しい樹が伐採された切株と切株の間に補植されています。今ある老木を守り、枯れたところには新しい樹を植えることで、この緑町緑道のサクラ並木は、サクラの枝が宅地に入ってきてもそれを受け入れる地元の方の理解と協力のもとに、緑道の管理者の日々の維持管理によって、大事に守り育てられていることが伺えます。
真駒内用水について
この用水は、真駒内地区で最も南に位置する南町で真駒内川から取水されています。そこから、真駒内川緑地、エドウィン・ダン記念公園、緑町緑道、緑町公園、団地中央線、曙公園をとおり、ニセアカシアの大木が立ち並んでいる自衛隊隠蔽緑地に沿って流れ、最後に自衛隊真駒内駐屯地に入っていきます。
この用水は、真駒内地区のほぼ中央を縦断しており、この地区の景観を形成する上で大きな役割を果たしています。その歴史と概要を説明した案内板が、真駒内曙町の自衛隊隠蔽緑地沿いに立てられていますので紹介します。

012 真駒内用水
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